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トルツメ。

「ばれなきゃいいじゃん」発想が横行している。電動アシスト自転車の法定速度を超えたパワフル商品を販売していた業者が摘発された。ネット広告を見ていると、闇に紛れた違法自転車販売業者はほかにもたくさんある。闇には「大人の分別をもって判断してね」という含みを持たせた、責任転嫁型も含まれるからご用心。彼らの謳い文句は決まって『公道では使用しないでください』とあるからすぐわかる。だけどそんなもの、消費者だっていろいろ考える。似たものはたくさん走っているし「バレなきゃいいんじゃね?」。「バレなきゃいいじゃん」発想は、蒔かれた瞬間からまたたく間に無垢な心を灰色に染めていく。
 それにだよ、日本全国津々浦々、公道ではないところで実用性を発揮できる走行場所なんて、ざらにあるもんじゃない。しかも、そこまでどうやって移動すればいいっていうの?
「売れると思って」と、主犯格は捕物帳にしっかりと記録された。そりゃ消費者だって、見かけは合法と区別がつかず、パイパワーで格安とくれば欲が出る。よからぬこととは知りながら垂涎が非合法を上四方十字固めで押さえ込み、ポチッと購入ボタンをタップする不届者が出ることくらいわかる。その数、ウナギのぼりで増えていったんだね。だから目をつけられた。
 最初から尻尾を出している商品だもの。追いかける側にも情報が開示されてるわけだから、目に余れば捕まるのは時間の問題。世間一般に「バレなきゃいいじゃん」と思われるようなアイデアや商品は、実は最初からバレバレなものだったんだ。

 そうなんだよ、バレりゃあ捕まる。でもさ、何でもかんでも取り締まればいいってもんじゃないと思うのよ。問題は捕えることじゃなく、根源は取り締まらなければ野放しになっちゃう社会のほうにあると思うのだけれど、どう思う?
 偉そうなこと言える権限持っちゃいないから、厳重注意なんて間抜けな正義を振りかざすつもりはないけれど、世の中にはいるんだね、正義は狼の皮で、狐でも被れると思っているけしからん勘違い野郎が。だって、考えてもご覧よ、法律を説いて見ず知らずの人を脅すように説教したら、脅しの一点を掬い取られて返し技で1本取られる。脅迫とかで。あるいは法律代行者みたいな顔していたら、法を盾に人を押さえ込もうとしているわけだから、職業詐称になっちまう。間違った正義は今の時代、早々と矯正の波に乗っている。

 このようにして社会のバッテン部分は、心の中で文字校正で修正するみたいにして赤字を入れることにしたんだよ。間違った部分を赤線で消して、引き出し線引いてその先に入れ替える文章をさらさら書き込んで。不要なところがあれば、潔く『トルツメ』。不快も『トルツメ』。あれもこれもそれも、ダメなところは全部『トルツメ』。

 平穏な毎日をざらつかせるはみ出し行為を見たら聞いたら、モラルで克服できるようにするために。ひとりまたひとりと意識する人が増えていかないと、いつまでたっても野放し状態はおさまらない。だから今日から仲間入り。やったの見たら、まずは自身の育成。いけないことを『トルツメ』。見なかったことにするんじゃない。あってはならない行為に赤字を入れることで、「こうありたい」と願う姿に近づいていくんだよ。

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