夕闇前の薄暮に沈んだ日。
微かに明るさを残すかなり傾いた夕暮れに、仕事、終わる。もう少し早く終わっていれば、だいたいそうね30分ほど早ければ、沈む前の陽を掬い取ったみたいで得した気分になれたものをと悔やんでみたが、過ぎた時間は巻き戻せない。
結局は損をしたのかと思いが至ると、肩が落ちた。暗さは差し迫る夕闇だけではなかった。気持ちが鶴瓶を落としたみたいに暗く沈んだ。
仕事終わりは勝手に決められないから仕方のないことなのだけれども、社会の会社に振りまわされているようじゃ、気分の安寧はこの先、望めないのだろうな。それでも仕事あっての我が身の暮らし。生活安定と精神安泰やじろべえを、右に傾け、左に傾けしながら、トータルでバランスをとりながらの課利苦しの在りえっ体。
欲しくても、手に入りません、克までは。追いかけてもつかめぬもののひとつやふたつ、あって当前、このように、伸ばした手が宙を切る無駄足ならぬ無駄手の空まわり、虚し。
そうこう考えているうちに、薄暮の名残が滅し、濃い闇に包まれていて、もがき苦しむ我が身なり。
ぐずぐずが、渦を巻く。
でも、いつまでもぐずぐず燻っているわけにもいかない。
さ、家路を急ごう。
意識境の暗く長い公園を抜けると、甘い水のように家路鉄路の駅が光を放って待っている。
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