暖簾の謝罪会見。
「申し訳ありませんでした」
此度もまた不正の発覚で、テレビで大企業のお偉さんが頭を下げた。
誰に謝っているのだろう? 何を謝罪しているのだろう?
ごまかした商品を買ってしまったお客に? 株主に?
ごまかしてしまったことを?
いつまで経っても絶えない不正は、「バレなきゃいい」精神が蔓延しているからなんだろうな。でなきゃ、コンプライアンスは叫ばれなかっただろうし、忘れかけたころに必ずといっていいほど再発したりしない。
子どもじゃないんだから、バレて頭を下げるより、頭が下がるくらい真面目にやりなさい! なんだから。
かつて『正直者がバカを見る』なんて言われていたものだから、バカを見たくない精神がバレなきゃいい精神に変化していったのかもしれないね。
では現代は?
不正はバレる! という実績を積み上げているさなかかな。不正や嘘や、知られると困るような秘密の利権・利益は、文春砲よろしく正義の砲弾が防御の壁を打ち砕く。
とはいえ、不正がバレて明るみに出たとして、不正する方しない方双方に説得力が欠けてるように見える。なぜかな? きっとそれは、すり替えの術にみごとに惑わされているから、なんじゃないのかな。
つまり、こういうこと。
「この度は(会社が)悪いことをしてしまいました。(組織の命に逆らえない私はちっとも悪くはありませんが、会社になりかわりまして)お詫び申し上げます」
うまくできたトリックだ。
これは責任の所在たらい回しの術。これではいくら怒りの腕を伸ばしても、相手は暖簾のごとくサラリと交わし続けることができる。この目眩し、見抜けぬ正直者は鼻をつままれ、ケムに巻かれることになる。
進化しているのはテクノロジーばかりではなかったんだね。
不正者は暖簾の体で頭を下げるのに、正直者が顔を上げて歩く日はまだ遠い。
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