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ぷっちん、ふた粒。

 ささやかな露出を楽しんでいる。ノーブラタンクトップの上に薄いカーディガン。カーディガンを肩から落とせば、はっきりふた粒。
 ひと気の少ない休日朝のホームでやる。背中を見ればノーブラは明らかだが、前にまわらなければ確かめられない。朝から血気盛んな男もいて、鼻息荒く前にまわり込もうとする不埒があるが、誰がそんな下卑たヤツの餌食になどなるものか。すかさずカーディガンでぷっちんふた粒を隠す。カーディガンは、ふたつの突起のガーディアンだ。
「チッ」
 男の舌打ちは、期待に届かなかった悔しさ。あちらさんが臍を噛めば、こちらはしてやったりのしたり顔。
 前に歩く男の目は気にしなくて済む。前から歩いてくる男の目に注視していれば事足りる。
 ちらと見られて、異変に気づかれる事がある。異変に気づいた男はたいがい好奇のタネを発芽させ二度見を試みようとするけれど、やり直しはさせはせぬ。残念でした。確かめさせてやるものですか。カーディガンですかさずガードする。

 あたしって変態かしらと思うことがある。でもいつでもいい子でいるのは辛いから、息を抜く。ブラを抜く。
 それって、幸せ分配器。かつ、あたしの道楽気。あたしにとっちゃクールダウンのピタゴラスイッチ。気になる男はこいつで朝から熱をあげてちょうだいな。
 女のサガはいつだって男を悩ますためにある。

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