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ベニスをめぐる冒険。

 note以外で、猫のラフ書きを描き続けている。
 こんな具合。

【恋はひとりにひとつずつ。欲張ってはいけない。国民性かねえ?】

 ストーリーは【恋はひとりにひとつずつ。あんた、欲張ってはいけないよ。国民性なのかねえ?】といった具合。ふだんは人の役に立たない猫の手が、他人の恋路に割り入ろうとしている横恋慕野郎の邪魔を引き止めにかかっている。本人、いや本猫は役に立っているつもりでいる。
 追いかけられれば悪い気はしない乙女心、邪魔をする猫の手は、彼女にとって迷惑なお厄介となってる可能性がある。やはり猫の手は役立たずなのか? 水の都で突如繰り広げられた、不条理を含んだ勧善懲悪風物語。 

 ラフ書きはこの↑レベル。記憶に残るベニスはこの程度かと、腕前に加えて記憶力の乏しさに臍を噛んだ。ネットで探し、写真をラフスケッチしてみた。

 それがこれ↓。

 絵の出来不出来を問うてはいけない。iPadの問題なのではない。技量の限界。

 ただひとつ筋を通していることがある。見えたままではなく、感じたものを心のままに取り入れる。だから閃きの冒険はする。写真では運河は暗く心象が重かったので水に光を入れてみたり、揺れていた水面の影は静止画らしく固定化したり。質感の単位を変えることで、現実からの地滑りが大きくなる。そのようにして絵をリアルから遠のけていく。
 遊びも取り入れる。橋のたもとで魯を漕ぐ男に向かって、赤い口紅の女に手を振らせてみた。絵の真ん中で背中に注目を集めていることを意識した男は、緊張から体をかちこちに強張らせ、照れをおさえながら最小限の動作で女に応えている。手の振リ返し方が恥ずかしさに縮こまり、体格に似合わずささやかで可愛らしい。

 堅苦しいのは好きじゃない。大事なものが1本足りない腑抜けた感じがいい。絵も文章も。そのほうがなにかととっつきがよく、腑に落ちやすい。個人的な好みとして。

 たまに、見落として当然な慎ましい悪戯を仕込むことがある。気づかれなくて当然の些事。なのに、そのような大人しやか▼▼▼▼▼な遊びを発見してくださる方がいる。ありがたいことだ。また嬉しくもある。

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