![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/75784232/rectangle_large_type_2_b2f4392cd1e8a3abe0973e20629081cd.png?width=800)
未来の自分に出会うことってある。闇の隙間や本の下あたりからにょいって現れて、じっとぼくを見つめてくるんだ。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/75784239/picture_pc_4292ae0590e3b77ccf779544b563c9b1.png?width=800)
まさかとは思うけど、あの老人は僕自身の未来の姿だったのかもしれないね。
記憶の玩具箱、無造作に思い出を放り入れてきたものだから、時間の順序が出鱈目で、先に起こったことが後に記録されていたりする。
「どこかでお会いしましたっけ、おじいさん」
なんだか幼なじみのようにも思えるものだから、勇気をもって訊いてみた。
すると、するとね、おじいさん、僕と口調を合わせて同時に同じことを訊いてきたんだ。「どこかでお会いしましたっけ、おじいさん」
鏡に映ったおじいさん、あなたは何を見ているのでしょうか。夏、碓氷から霧積へゆくみちで、谷底へ落としたあの麦わら帽子を、でしょうか。
それとも。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?