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免許、欲しいのかな?

 小型限定普通二輪車免許(以下「原二」)を取得する人が増えてるんだって。免許改正が行われ、普通自動車ばかりでなく二輪車にもAT限定という区分ができたことで、普免を持っていれば最短2日で原二オートマの免許が取れる! と謳ってニーズ喚起を図ったらしいけど、煽るまでもなく取得希望者が殺到し、時間枠いっぱいまで教習が受けられず、とうてい2日で取得することはできない状況なのだとか。原二オートマは、クラッチ操作のないスクーターがメイン。とはいえ、ギアはついてるけどクラッチレバーのないホンダのカブもAT免許で乗れるらしいから、カブ目当ての未来のライダーもたくさんいるんだろうなあ。カブは昨今すごい人気だっていうし。
 2年後には免許改正が行われ、現在の125ccの小型二輪が普免で乗れるようになるのにね。
 だけど、手放しで喜ぶわけにはいかない。どうやら条件付きになるらしい。車体は125ccでも出力は現行の原チャリ程度におさえられるのだとか。
 だからかねぇ、制限速度30キロに2段階右折の縛りにとらわれない原二免許を今のうちにってなるんかなぁ。

 日本のバイク事情は黎明期を経て大きく育ったけど、二輪バブルはしっかりはじけてしばらく低空飛行を続けていたのさ。ホンダのマーク、翼がなんだか虚しく見えたっけ。
 だけど昨今のバイクブームは、地中に潜っていたセミが潜在するのをやめて地上に這い出してきた感じ。もともと備え持っていたバイク熱がじわじわ地表に染み出して、いっせいに羽化したみたい。地上を走るホンダの羽が増えてるもんね。
 もちろんヤマハもカワサキもスズキも頑張ってる。

 アジアはバイクを足代わりに使うけど、車もあれば都市部では公共交通機関に抜かりない日本はだいぶ事情が違ってる。実用の足としてではなく、趣味のコミューター的役割を担ってる。暮らしを支える縁の下の力持ちだと気持ちの余力は持てないが、種々のしがらみから自らを解き放つ翼なんだ もの、そりゃ楽しいに決まってる。
 気軽にコンビニまで行けて、意気揚々に遠くまで走れて、しまなみ街道は格安で渡れて、しかもスーパーカブならリッター60キロ走る。東京ー京都で10リッターあればこと足りる。金額にして、ガソリン高騰のおりでも2000円とかからない。もちろん移動金額の安さは所要時間と反比例。原二じゃ高速道路を走れないから、ひたすら下道をびたびた走る。総走行距離およそ500キロ。半日走り続けても着きゃしないけど、社会で急かされながら生きてるわたしたち。たまには足掻いてももがいても、時間が経たないと解決しない不便さに身を浸してみるのもいいんじゃない?

 途中で1泊する? となると新幹線移動と料金的にはそう違わなくなるけれど、割と贅沢な旅の思い出がもれなくついてくることに。

「せまい日本 そんなに急いでどこへ行く」
 これは1973年(昭和48年)に広がった全国交通安全運動の標語。
 わたしたちは効率化を求める社会に急かされっぱなしだった。疲れるよね、息つく間もなく走り続けていたのでは。このあたりでアクセルを緩めて、路傍に咲く花に目をとめるーー車だと後続車に傍迷惑だとクラクションを鳴らされそうだけど、原二なら割と容易に駐車スペースを見つけられそうだから、休み休みの長閑旅。
 おひとつ、いかが?

【原二を取ったら中免もね。大型二輪への道も拓かれる?】

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