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2020NHK杯フィギュア を終えて ①男子シングル編


ということで前回の記事

の続き、2020NHK杯フィギュア 男子フリーを終えて感じたことをつらつらと書いていこうと思います。

ちなみに女子については以下にまとめました。

やはり今シーズンは十分に練習を積めなかった選手やケガを抱えた選手も少なくなく、そのパフォーマンス十分に発揮できなかった選手が多かったですが、そんななか結果をしっかりと残した選手はやはりいました。

男子シングル6位 三浦佳生 選手

男子シングルフリーは正直泥試合だった。
上位選手が軒並みジャンプで失敗し、なかなかスコアが伸びずないなか最後まで大崩せずにいい滑りを見せてくれたのが彼
フリーだけの順位で言えば優勝した影山選手に次いで2位、ショートでのミス(あのスピン転倒)がなければ表彰台をも狙えるものだった。
やはり魅力はそのスピード。彼の滑りは見ていて本当に気持ちがいいもので、点が伸びる伸びないに関わらず彼のスケートが好きになった自分がいた。
まだ若い選手なので、これから芸術性や技術を磨いていきどのような選手になっていくのかが非常に楽しみだ。

男子シングル5位 佐藤駿 選手

昨年のジュニアグランプリファイナルで、あの鍵山優真選手を抑え優勝した佐藤選手。ジュニアにはもう1人世界と十分に戦える選手がいたことを証明した。
その武器は世界的に見ても飛べる選手は数えるほどしかいないという4回転ルッツ。しかし本大会では彼の美しいルッツを見ることは出来ず、結果につながらなかった。
しかし個人的に、昨年と比べてジャンプ以外の要素で大きくレベルアップしていると感じた。
昨年は「4回転は飛べるけどそれ以外の要素はそれほど」という印象だったが、今年は特にスピンが昨年とは比べものにならないほどレベルアップしていると感じた。
またスタミナ面も強化したのか、
残る課題は本人も言っていたように「安定感」だろう。


男子シングル2位 友野一希 選手

実は今一番好きなのが彼、友野選手である。
昨年から引き続きのフリー「ムーランルージュ」。真っ赤な衣装に身を包んだ友野選手が演じるこのプログラムは、自分の世界を構築・展開するように感じた。それは例えるなら固有結界のように

曲の世界観を表現するのが上手いスケータ―、ジャンプが得意なスケーター、スピンステップなどの要素が秀でたスケーターがいるように自分の世界を構築してしまうスケーターもいる。それが彼だと思う。
今回の2つのプログラムはまさにそのように感じた。
しかし世界と戦うにはまだ課題が多いのも事実。

今回はジャンプが思うように決まらなかった。
冒頭2本の4回転ジャンプの成功率があがらないのは仕方ないとしても、終盤のコンビネーションジャンプがリピート扱いになって無効になってしまうのは非常に勿体ない。
今後4回転の成功率やスピンステップのレベルが上がっていけばまだまだ加点が見込めると思う。
こんな順位で小競り合いをしているような選手ではない筈だ。

男子シングル1位 鍵山優真 選手

優勝候補筆頭がそのまま優勝するというのは実は簡単なことではない。
そんななか見事優勝してしまったのがシニア1年目の鍵山優真選手。
美しく安定した4回転ジャンプ、高精度のスピンステップに演技構成も加わって文句なしの優勝を遂げたのが鍵山選手。

前述したように今年はコロナの影響で十分に練習を積めていない選手、ケガを抱えた選手も多く、正直鍵山選手が滑るまでは泥試合。特に後半の選手はジャンプが抜ける(4回転ジャンプを飛ぼうとして2回転や1回転になってしまうこと。こうなると単に転んだ時より点は下がってしまう)ことがたて続いてしまい、正直鍵山選手はよほどおおコケしても優勝はカタイという状態だった。
しかしそこは鍵山選手。完璧な演技で2位と50点近く差をつけ試合を絞めてくれた。

そんな鍵山選手、どんなスケーターになりたいかとのインタビューに
「オールラウンダー」
と答えていたのが印象的だった。

というのも、少なくとも今回この試合に出ていたどの選手よりも彼は「オールラウンダー」であったと感じたからだ。
リンクを離れるとそこは17歳、まだまだあどけなさが残る印象を持つ彼だが、スケーターとしての彼は自身の方向性を見極めているのだろう。


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