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ポップンミュージックにまつわる「そのほか」~~そのほか1『pop'n 対戦ぱずるだま ONLINE』/ぬのじ

カルチャーを受け止める機種としての宿命なのか、それともなんかもうそういう"習性"なのか、ポップンミュージックというゲームはしばしば外伝作品を出している。
キャラクターが多い作品としての、特有のフットワークみたいなものがあるのかもしれない。キャラが出張するコラボレーションなんかはある意味お手の物だろうし、あらゆるキャラクターを本編のポップンワールドへ受け入れる事だってよく行われていた。
それにしても、バラエティに吹っ飛んだラインナップが歴史にちょくちょく登場するのがポップンミュージックの外伝作品群である。文化に於いて世界が単純な事は無く、探求が尽きる時も、また訪れない。

今回はそんな味わい深いポップン外伝作品の中から、筆者が個人的に気になる要素を持つ作品を選び、その中身に触れていきたい。
本来ならば3作品程をまとめた記事にしようと思っていたが、(思ったより文字数が嵩み、締め切りにぜんぜん間に合わない!)折角なので連載形式を取る事を考えた。万一紹介したい作品が増えてしまったとしても、これなら融通が利くだろう。

今回は、『pop'n 対戦ぱずるだま ONLINE』について見ていく。

ポップンの対戦ぱずるだま
『pop'n 対戦ぱずるだま ONLINE』/PlayStation 2

・パズルゲームの流行、そしてぱずるだま

筆者にとってゲームセンター文化が盛んだった頃というのは遥か物心が付くより前の出来事だが、それでもその頃の兄姉との思い出の中には音楽ゲームの姿が少なからずあったし、同様に、それと同じぐらいにはゲームセンターにはパズルゲームの筐体が並んでいたと思う。

世界中に大規模な落ち物パズルゲームブームを齎したのは1980年代の末から現れた「テトリス」。
1991年には従来の落ちゲーに"対戦と連鎖"の要素を新たに加える「ぷよぷよ」が参戦し、パズルゲームブームはより一層加速する事となる。

「対戦ぱずるだま」は1994年、そんな落ちゲーブームへ乗る形でコナミに開発されたアーケードゲームだ。
見てくれにも開発環境にも「ぷよぷよ」の影響が色濃く見て取れる「ぱずるだま」だが、当然というかゲーム性はそれとはかなり違う。
ざっくり説明すれば、相手のキャラクターが持つ攻撃パターンに応じて、パズルの効率的な攻略方法が適宜変わってくるシステムになるのだ。
無印作から対戦パズルゲームとしてのクオリティ高く、シンプルなルールと戦略性で初心者はとっつき易く、また上級者であっても最後まで油断できない絶妙なゲームバランスを持つ。コナミの繰り出す良作対戦パズルゲームとして受け入れられた作品だ。
今回見ていきたい『pop'n 対戦ぱずるだま ONLINE』は、そんな対戦ぱずるだまシリーズのPlayStation 2移植版という立ち位置の作品になる。

・パズルゲームとキャラクター、オンライン対戦

ぱずるだまシリーズの各コンシューマー移植作は、コナミの自社IPだったり、漫画・アニメなどの版権作品にキャラクターを差し替えて展開される事が多い。
実は「pop'n 対戦ぱずるだま ONLINE」としてリリースされた作品は2つあり、ひとつはポップン5のデザインを基にしたWindows版、もうひとつがポップン7のデザインを基にしたPlayStation 2版だ。

ぱずるだまシリーズ中での「pop'n 対戦ぱずるだま ONLINE」の立ち位置はずばりそのタイトルの通り、インターネット回線を利用してのオンライン対戦が出来たという所にある。
キャラクターや攻撃パターンなど、各要素の解禁はほとんどこのオンライン対戦を重ねる事で解禁していくことになるのだが、残念ながらPS2でのオンライン対戦サービス自体は1年半ほどで終了しており、それ以降はそれらのオンライン限定要素を解禁する事が不可能になってしまっている。通信 is 儚い。

ここまで読まれた皆様には薄々バレていると思うが、「pop'n 対戦ぱずるだま ONLINE」はポップンシリーズの外伝作品ではなく、ぱずるだまシリーズの一作品と呼べるものだ。
音ゲーの記事を書いていると思ったら、いつの間にかパズルゲームに少し詳しくなってしまった。意味がわからない。わからなくなり過ぎて、今はSwitch移植版出ないかなとかちょっと考えている始末である。落ちゲー苦手だろお前。

ポップン関連作品として見た時のポップンぱずるだまの魅力は、先述の通りキャラクターの解禁要素が最初に挙げられるだろう。
デフォルトで使えるのはミミ、ニャミ、キング、マリーのお馴染み(!)主人公4人。オフラインモードで解禁できるキャラクター数は15にも及び、ダウンロードで解禁できるようになる8キャラクターを加えれば、そのキャラクター数は他のぱずるだまシリーズ作品で扱う事の出来るキャラクター数を大きく超えることになる。
また、対戦中の楽曲もポップン定番曲達が、パズルゲームの邪魔をしないカラオケテイスト、かつループアレンジがなされ、"ぱずるだま仕様"となって用意されている。
これらもデフォルトが2曲、オフラインの隠しコンテンツ4曲に加え、ダウンロードコンテンツとして3曲が追加されていた。
デフォルト楽曲は「ソフトロック / Homesick Pt.2&3」と、「J-テクノ2 / power plant」の2曲。J-テクノはpower plant派の筆者(PMP出身)も、これには少しキュンと来た。

・ポップ君が喋る、ものすごく

ポップン要素として注目すべきは、本編から直接互換されたコンテンツの多さだけに止まらない。対戦ぱずるだまの原作は、対戦の盤面や繰り出す連鎖に応じてキャラクターがボイス付きで盛り上げる要素を持っていたのだが、本作ではその要素を担い、画面中央にちょこんと座する赤ポップ君と青ポップちゃん、ふたりのポップ君が怒涛の掛け合いと漫才でものすごく喋るのである。
なんとここでのCV、ボイスアクターとも呼べる役割はそれぞれ、赤ポップ君はすわひでおさん、青ポップちゃんはsanaさんが担当している。
これは「PS1版CS1~6の曲を、PS2へ厳選移植/収録」を銘打ったポップンCS作品、『ポップンミュージック Best Hits!』内で展開されたベストヒッツモードから続いたもの。
アーティストが"ポップンライク"なテンションで絡みを披露する様は、アーティストのファンにとってもかなり嬉しい要素だ。それがパズルゲームという場で行われて違和感が無いというのも、ポップンという世界観の持つ"特性"のひとつだろう。
また、個人的な趣味嗜好の話だが、筆者はノーツに実体や質量が感じられる状況や、そういった設定に極端に弱い。急になんだという話だが、ニッチなヘキを持つ筆者にとっては、ポップ君が公式でお喋りしているという状況は……すごいのである。なんという事だろう、まるでマスコットではないか。愛おし過ぎる。両手でそっと掬って、懐に入れて連れて帰ってきてしまいたい。連れて帰って来た後は枕元に置いて、一緒に寝るのである。なんの話だっけ?

・オリジナルキャラも居たらしい

ポップン対戦ぱずるだまのメインはオンラインモードだが、オフラインモードにはCPUを連続で相手取る、対戦パズルゲームにオーソドックスな勝ち抜き戦が用意されている。
対戦は全部で8戦で、5戦目まではこちらで対戦相手と、相手の攻撃パターンを指定できる。ぱずるだまというゲームは相手の攻撃を利用して連鎖を撃ち返すのが要のゲームであるため、それらを自分で選べる事は幅広い難易度調整であったり、練習相手を選ぶことと繋がっている。
6戦目以降はキャラクター、攻撃パターン共に固定の連戦ボスとなり、通常時より強化された攻撃はプレイヤーの実力が試される。なお、これはコンシューマ作品なのでコンティニューし放題である。
6戦目の対戦相手であるレイヴガールと、7戦目の対戦相手であるMZDを倒し、8戦目で遂に現れるラスボスこそが、ポップン対戦ぱずるだまにのみ登場するオリジナルキャラクター「ジャージメン」らだ。

揃いのジャージにはそれぞれポップンカラー、びしりと揃う同じポージングに、しっかりと全員整えた、ふかわりょうみたいな髪型。アコギを携えるリーダーを持つ無表情な彼らは、服装だけ見れば4人組になったテツandトモみたいな印象を受ける。
当時のサイトに掲載されたプロフィールを確認すると、どうやら彼らはパフォーマンス集団であるらしい。
コピーペーストもいいところな彼らのデザインから放たれる、4人とも同じ市役所で働く公務員であるだとか、キーボードの隙間にたまるホコリが嫌だとか、好きなものは貯金と、アイロン掛けされた下着であるとか……パーソナルから放たれる丁寧な生活感、お出しされるキャラクターとしての異質さに、プロフィールを確認する筆者の目眩が止まらない。

また、彼らには専用曲が存在する。ポップンで言うのならば担当曲という表現になる筈のそれは、対戦ぱずるだまのフォーマット上に於いては勝ち抜きモードのラスボス曲である。
楽曲「ぱずるだま / ジャージメン 愛のテーマ」は、落ちものパズルゲームのボス戦に絶妙にマッチし、そもそもから対戦相手として強いジャージメンを際立たせている。

『pop'n 対戦ぱずるだま ONLINE』は、あらゆる面でポップンよりの外伝作品とは言い難い。
先述したジャージメン達は本家に参入しなかったし、「pop'n music うさぎと猫と少年の夢 Original Soundtrack 20th Anniversary Edition(CD+DVD)」での「ポップンミュージック キャラクターイラスト コンプリートDVD」……つまり、歴代のポップンキャラクターが殆ど収録されているDVDにも、「pop'n 対戦ぱずるだま ONLINE」の存在共々、収録には至っていない。ある種貴重なキャラクターと形容して差し支えないだろう。

自由研究的範囲で調べる中で個人的に感じたのは、この作品のキャラクター要素は、CS版ポップンミュージックからの更に派生部分なのだろうかという所。先述の喋るポップ君達の存在からは、それを顕著に感じられる。
制作スタッフの事まで詳細に調べるべきか、とも感じたが、現在の筆者の基礎知識では締め切りがいくら伸びてもまとまらない事を確信したため、ここでは一旦断念する事にする。詳しい仙人が出てきて教えて欲しいです。
衝動的に選んだタイトルを調べる内に、そもそもポップンにとって最も身近な外伝作品であったCSタイトルの存在に戻ってきた。これは冗談抜きで本当の探求が尽きないやつかもしれん。CSタイトルの事も把握していけたらいいなあ、深みにはまっていくんだなあと感じられた筆者になりました。

まとめ

・ポップンとパズルゲーの相性……そこそこ良し!
・ポップ君が喋り、最高
・本当に知らんキャラが居る…怖……

続き物の予定にしてしまったので続きを書かなければなりません。つまりまだ書いてません!
次回の「そのほか」の予定は多分DSのやつになります。
機会があえば、またよろしくおねがいします。



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書いた人:ぬのじ
2013年以降を中心とした音楽ゲーム自由研究人間のオタクで、主に機種連動や合同イベントについてを多く口に含みつつ、どちらかというと常に世界観の事を考えている不審人物。脅すと原稿が出て来るらしい。
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次回の更新は6月3日(土)「音楽ゲームの架空アーティスト名義の話:チャーミングスは実在すると思っていた/市村圭」の予定です。お楽しみに!