走る夜東京


私は笑ってる。
「え〜そうなんですね、すごーい!」
私はそう言いながら、口元に手を添えて微笑む。

「うんうん、大変だったね〜」

いつからだったかな。
自分のことを話すよりも人の話を聞く方が楽だと気づいたのは。
人の話を聞くのは楽だけど退屈だとわかったのは。

言いたいことを飲み込む。
面白くもない話を、まるで面白い話みたいに聞く。
ニコニコする。
程よく相槌を打つ。

疲れた、という感情は
家までの電車で気づいたら溢れ出す。
家に帰るまでの気力を奪われないように、気をつける。

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