松の老木
こんにちは、ご覧いただきありがとうございます。
絞り染めの作品について少し紹介したいと思います。
今回の課題は「絞り染めの技法で画面を構成する」です。
ご存知の方もいらっしゃるかも知れませんが、絞り染めとはなんぞやと申しますと、布をザクザク縫ってそこを絞った状態で染料につけると、絞った部分には染料が浸透せず模様として残る、という技法です。
その絞り染めと一口に言っても絞りの技法には「木目縫い」や「からげ縫い」など様々な技法があります。
今回の作品のソースはこちら↓
\ ド 地元、香川県高松市の栗林公園の松の木です! ン /
写真では伝わるか分からないんですけど、とてもどっしりとした生命感や幹のねじれやのびのびとした枝のつき方、自分より年上なこの松そのものの佇まいに惹かれ、このエネルギーを絞り染めという作品に落とし込めないかと考えました。
エスキースの一部大公開!↓
いやまぁ全然関係ない事とかも書いてるんですけどね。。赤裸々すぎるな…これでも一番綺麗な方のページです。。
私はエスキースをかく時はその時に頭の中にあった全部を気の赴くままにぶちまけていくスタイルです。お腹すいた〜とか教授の独特な服の柄〜とか…
あと余談で高校の頃にレタリング検定二級とったんですけど、そこからタイポグラフィーが好きになって文字を書くのが好きなので落描きみたいにそういうのも書いたりしてます。
集中してないんじゃないかと思われるかもしれないんですけど割とそんな事なくて、そういう落描きみたいなのでうまく引けた線から作品ができたり制作のヒントになったりするので案外捨てたもんじゃないですヨ!
で、このエスキースでは何をしようとしているかと申しますと、上にもちょろっと書きました通りどんな風に画面として切り取ればこの松の木の迫力が伝えられるだろうか、っていうエスキースです。
布を縦に使うのか横に使うのか技法はどうするのか、そんな事を考えながら色々描いてました。
最終的には木は天に向かって生えてるものだし縦位置にしよう!という事で布は縦に使うことにし、縦位置でも狭く見えない様広がりを意識した構図で制作することになりました!
ラフスケッチ ↓
上のラフスケッチを絞りの技法も交えて本番の布に青花液という水で消える液で下書きをしたもの↓
これを長い布団針みたいなのに強い手縫い用の糸を通して絞っていきます!長い旅の始まりです……大きさが約170×98cmなんですけどそこらへんの成人男性ぐらいありますよ。という事で当時の私はこの布が2019年夏の私の彼氏だと思って制作を進めることにしました。
そんなこんなで青花液の下書きに沿ってザクザクと色々な技法で縫っていくわけなんですがまぁ終わりが見えないし絞る時に指が痛い…この課題が夏休み前〜夏休み明けに染めるという期間設定だったんですけどめちゃくちゃ大変でしたね…(ポエムを添えた彼(綿布)とのランデブーの一部始終を私のインスタのストーリー集の「彼氏2019夏」というのにまとめてあるので興味のある方はぜひ覗いてみてください。)
ちなみに絞りの技法を変えるということはどういうことかと言いますと端的に言えば染めた時に出てくる柄が変わります。その柄の出方で今回私は松の木の樹皮のゴツゴツした感じや捻れた幹の面の向きなどを表現しようと考えたのです。またその針目の大きさによっても出したい模様の大きさや白の濃さが変わってきたりするのでテキトーに縫ってる様に見えて最初の設計は何気に大事なのです。
絡まるよねぇ〜
夏休みが明けて、あんなに背の高かった彼氏も絞り終わってしまうとあら不思議。
染めに余分な糸を散髪
あらスッキリ。小さくなってしまうものですね。
絡まったり手が痛かったりうまく進めないこともあったけど二人で越えた沢山の夜、私は忘れないよ…立派な大作になってね…
縫ってる間にリアルに血とか汗とか涙とか手垢とか色々しみちゃってるんで精錬(きれいに煮ること)します。
そして染料を入れて煮ること2,30分…今回はスレン染料という酸性染料を使いました。緑と紫の染料を混ぜることできれいな藍染風に染まります。
\ デ そして染まったものがこちらになります。 ン /
この写真は本当に染めた直後でちょっと濡れてて紫味が強いんですけど乾いてみるとちゃんと藍色の染め物になります。
この状態から絞ってある糸を切って解いていくと…
こうなります!!
大変な思いをした分とてもきれいで迫力のある作品に仕上がったと思います。
おまけ
2019年の秋に女子美術大学の香川県支部OG様方の作品展があるとのことで若輩者ながら作品を高松市の美術館に並べていただけることになりました。
大学外でこうやって自分の作品を展示していただける機会というのはあまりなかったのでとても嬉しかったです、ありがとうございました。