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狂ったファンが推しのコンサートを開催します

10年来の推し、白尾隆氏のリサイタルについての想いを書きたいと思う。

そしてこの記事は狂ったファン (当ホール副館長) が主催している「推しのコンサート」の宣伝であることを先にお伝えしておかねばならない。
白尾隆フルートリサイタル配信【音降りそそぐ武蔵ホール】 | オンライン (teket.jp)

「推しが境地に?マジ?」

白尾氏は大学時代の私のフルートの師匠である。
それはもうこてんぱんに怒られたし、涙と鼻水垂らしながらレッスンを受けたりしたものだ。

レッスンが終わると繰り広げられる音楽談義や雑談が 落語かな?と思うくらい楽しくて、怒られたことも忘れてどこへでもしつこく付いて行っていた。

当時から、目標にするにはあまりに遠く、音楽を学べば学ぶほど「いかに遠いか」が浮き彫りになるだけで、それはまるで足元だけを見て山だと思って登っていた道が、実は登山道にすら辿り着いていなかったような絶望的な気持ちになることもよくあった。

しかし、そんなエベレスト先生と同時代に生き、なんならそのエベレスト先生がてっぺんに辿り着くその瞬間にこうした仕事ができていることは、不思議な巡り合わせで 幸運を通り越してもはや私の使命なのだと思う。

白尾氏は、同じくフルーティストであるお兄さんの勧めでフルートを始めた。兄に負けじと練習しているうちにのめり込んだことが楽器を始めたきっかけだそうだ。お兄様グッジョブ。

悪友と悪さをしながら研鑽を積んだ高校時代の話から、ヒッピーの兄ちゃんに依頼されて小さな車で村まで演奏に行ったドイツ留学時代の話まで、色々な話を聞いた。

フルートを始めてから今まで、60年以上ずっと楽しく夢中だったらしい。

前回のリサイタルでは、その「ずっと夢中である」こと自体がなんと尊いことかと感じていたが、今回は「わくわくを60年持ち続けた人がついに辿り着いてしまった境地」というのが垣間見れるかもしれない…という、恐ろしいような楽しみなような、そんな状態に武者震いをしているのである。

想像できるだろうか?
常に新しいことに挑戦し、面白いことはないかと目をキラキラさせ、命の燃焼のような熱さで演奏し続け、歓びと愉しみに満ちて60年間フルートを吹き続けてきた人の音を。

随分前に師匠にいただいた本を 最近ふと手に取った。
正直、以前は難しい漢字に邪魔されて意味が頭に入ってこないなぁなんて思っていた。
しかしどうだろう、よくわからない文字があろうが使ったことのない言い回しがあろうが、目の前に景色がありありと見えるではないか。これが年齢を重ねるということか!

なんだこれは?と思い、何度も読み返すが 何度読んでも美しい。そして尊い。おかげでたっとい、と読めるようになった。

著作権も切れているので、お気に入りの冒頭を載せてしまおう。

山路を登りながら、こう考えた。

 智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。

 住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生まれて、画が出来る。

 人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。やはり向う三軒両隣りにちらちらするただの人である。ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。あれば人でなしの国へ行くばかりだ。人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。

 越す事のならぬ世が住みにくければ、住みにくい所をどれほどか、寛容て、束の間の命を、束の間でも住みよくせねばならぬ。ここに詩人という天職が出来て、ここに画家という使命が降る。あらゆる芸術の士は人の世を長閑にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。

 住みにくき世から、住みにくき煩いを引き抜いて、ありがたい世界をまのあたりに写すのが詩である、画である。あるは音楽と彫刻である。こまかに云えば写さないでもよい。ただまのあたりに見れば、そこに詩も生き、歌も湧く。

 着想を紙に落とさぬとも璆鏘の音は胸裏に起る。丹青は画架に向って塗抹せんでも五彩の絢爛は自から心眼に映る。ただおのが住む世界を、かく観じ得て、霊台方寸のカメラに澆季溷濁の俗界を清くうららかに収め得れば足る。

 この故に無声の詩人には一句なく、無色の画家にはには尺なきも、かく人世を観じ得るの点において、かく煩悩を解脱するの点において、かく清浄界に出入し得るの点において、またこの不同不二の乾坤を建立し得るの点において、我利私欲の羈絆を掃蕩するの点において、―――千金の子よりも、万乗の君よりも、あらゆる俗界の寵児よりも幸福である。

夏目漱石「草枕」冒頭より

読めない漢字もたくさんあるけれど…
ただ漠然と「ああ、白尾先生だ。」と思った。

今回のリサイタル、どんな景色が見えるだろう。どんな音が降ってくるだろう。どんな気持ちになるだろう。

ただただそのままを受け取れるよう、幼い我が子のように、晴れた青空のように、白尾氏の音楽の前では素直でありたいと思う。
偶然手に取った「草枕」を読みながら、そんな風に思った。

…とか締めくくったらカッコいいかなって。(照れ)
以下、泥臭い宣伝始まります☆


配信コンサート詳細

【白尾隆フルートリサイタル配信】
■視聴可能期間 : 2023/7/1(土) 00:00 ~ 2023/9/1(金) 00:00
 配信は、7/1〜8/31の期間、何度でもご視聴いただけます。
■視聴料金 : 視聴のみ 2,000円 / プログラム付き 3,200円

【公開収録】
白尾隆フルートリサイタル公開収録 in埼玉 - パスマーケット (yahoo.co.jp)
■2023年6月14日(水) 16時開演(15時半開場)
■会場:音降りそそぐ武蔵ホール (西武池袋線 武蔵藤沢駅西口 徒歩1分)
■料金:一般 4,000円 / 学生 2,000円
(学生インターンとしてお手伝いいただく事で無料で配信視聴できるチケットも若干数あり)

プログラム
ヘンデル フルートソナタ イ短調
バッハ アルトフルートのための無伴奏ソナタ イ短調
イベール フルートコンチェルト
カルク=エーレルト シンフォニッシェ・カンツォーネ

配信視聴チケット 購入はこちら
白尾隆フルートリサイタル配信【音降りそそぐ武蔵ホール】 | オンライン (teket.jp)

リサイタル主催のあれこれ

鼻水たらした音大生だった私が、白尾氏のいちファンとして「自分が武蔵ホールで聞きたいから」という理由で個人的に主催してきたこの音楽会も早4回目。

「僕が楽しくフルート吹いて、喜んでくれる人がいるならいつでも吹くよ」と言っていただいたことを真に受け、主催者も演奏者もお客さんも楽しい音楽会がつくりたい!と、やりたい放題やってまいりました。
(しぶしぶ公認の)グッズを作ったり、やたらこだわったプログラムを作ったり、お客様から提供を募集して大きな花木を舞台に生やしてみたり…。

欲にまみれた私のきもちは「白尾先生の演奏している姿や音をいつでもいつまでも見られるようにしたい!」とエスカレートし、赤字覚悟でYoutubeにて無料生配信やらアーカイブ公開などをしてきました。

いつの間にやら開催場所である武蔵ホールの副館長になったということで主催名は変わりましたが、やはりエスカレートした想いは変わることなく、今回も最高の映像と音を残したいと思っています。

しかし皆さんご存じでしょうか…
配信や撮影には「ひぃっ…!」と背筋が凍るほど予算が掛かることを…。

白尾さんは「僕ねぇ、今が一番鳴ってるのよ。」と 毎年ピークを更新しておられるノリに乗ってる時期です。しかも毎回ハタチの若者ですら息切れするようなフルコースのプログラムばかり…。(ご自身でプログラム組んでいらっしゃるのですが、今回のプログラムも「殺人プログラム」だそうです笑)
うう~む、一年たりとも聞き逃したくない!!
今年も、そして今後も 上質な音楽会を全国の同志(白尾隆ファン)に届けるべく、そして年老いた私が末永くアーカイブをいつでもどこでも見られるよう、この活動を続けていきたいと思っています。ので!是非!お布施…いや応援をよろしくお願いいたします。

リサイタル運営費のサポートや白尾さんへのファンレター

①このnoteの記事から応援

この記事の最後に「気に入ったらサポート」ボタンがあります。100円からお好きな額をご支援いただけます。狂ったファンの推し活(推しを応援する活動)の運営資金にさせていただきます。


②白尾隆さんに有料ファンレターを送ることで応援

実は白尾さんが一番うれしいのがこちら。
というのも、音楽会の反応をダイレクトにもらえる機会が意外に少ないそうで、実はちょっとさみしいんですって!
ファンの皆さま朗報ですよ!推しがファンレターを心待ちにしています!
私みたいに暑苦しい想いを5000文字でもOK、シャイなあなたは絵文字だけのお手紙(絵文字は1文字4円)でもOK! 1文字2円で、購入文字数以下の短い言葉でもお送り頂けます。(1000文字分購入して「ありがとう」だけでもOKです)
ご感想、次回のリサイタルのリクエストなどもお待ちしています!ちなみに白尾さんは、実際にリクエストを参考にプログラミングなさっています。
「だってみんなが聞きたい曲吹きたいじゃない?」だそうです。

https://ofuse.me/musashihall/letter



③グッズ・プログラム購入で楽しみながら応援

撮影・配信を行う武蔵ホール進藤組のナゲセンオンラインなるショップから、白尾隆さんの(しぶしぶ公認)グッズ「ケほどのマ ピンバッヂ」や当日配布するプログラム(PDF版)を購入いただくことでご支援につながります。
プログラムは配信チケットと一緒にご購入いただく事で、ご自宅でもコンサートを聴きに行ったような気持ちになれること間違いなし!郵送される冊子版ではなく、お手元のスマホやパソコンでいつでも読めるので便利です♪
※pdf版プログラムは7月下旬より販売開始です。
ピンバッヂは生活にさりげなく取り入れてお楽しみいただけます。普通にかわいい!ファッショナブル!
https://nagesendayo.thebase.in/items/71368181


④シンプルに寄付(振込)

盲点でした。シンプルイズベスト。下記の口座にご入金いただけます。
その際、もしできましたら、お振り込み人のお名前に「シラオリサイタル」など、配信へのご支援だとわかるような文字をお書き添えください。
なんだかんだこの方法が一番安心!と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

埼玉りそな銀行 武蔵藤沢支店 普通口座 4192147
(特非)音降りそそぐ武蔵ホール


おわりに

秘めたほうがかっこいい想いとか、お金のことなど…普通だったら蓋をしておくことをべらべらと書き連ねてしまいました。お読みいただき心から感謝いたします。
今後も「ピーン!」ときたら迷わず突っ走っていきたいと思っていますので、応援よろしくおねがいいたします!

武蔵ホール副館長・狂ったファン 高城いずみ

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