見出し画像

一つに溶け込んだ声が詰まった、Burrito

自立したソリストとして活躍する一人と一人。
それが集って出来た、Solo Duo。

結成から15年というタイミングで、新たな作品、Burritoが生まれてきた。

タイトル・ソングはどこだろう、と思って探してみたが、「Burrito」という曲はなかった。笑

代わりに、レコーディングの時に頼んだという、行く種類もの具材の詰まったBurritoのように、名ジャズ曲からマイケルジャクソン、そしてこのアルバムに合わせて出来上がった5次元の世界に誘い込むオリジナル曲と、振り幅の広い曲たちがギュッと詰まっている。

それだけ聞けば、果たして一つのアルバムとして成り立つのだろうか、と思う人もいるかもしれない。

でも、不思議とこのユニークな選曲に違和感は感じられない。

それどころか、二人の声が折り重なり、融合していることが際立って感じられるアルバムだ。

時として、どこからが「矢幅歩」でどこまでが「ギラ・ジルカ」かさえ、分からなくなるほどに。

月日を重ね、互いの息使い、声色、リズムを理解し、尊重し、歩み寄った結果なのだろう。

一度このアルバムを聴いてもらえたら、きっとこの感想に納得してもらえるのでは、と思う。

決していじってはいけない、と思っていた名バラード曲に絶妙なハーモニーが重ねられ、
溶け合った高音デュオから、このアルバムでは貴重な低音ボイスまでおさめられている。

器楽的な声を五感で楽しんだ上で、
改めて歌詞をじっくりと読み、
描かれた世界を想像しながら聴くと2倍楽しめる、「Space Hero」。

なかなか癖になるこのアルバムは、お散歩のお伴にも向いているかもしれない。

それには、大半の曲に編曲マジックを加えたギターの竹中俊二さん、
節々で一番の存在感を放つ楠井五月さんのベース演奏も、
このアルバムの聴き心地を増幅させてくれている。

でも、何度聴いても聞き逃してしまうことがある。
ギラさん、歩さん、そして二人に絡むメンバーが作り出すその場の空気感だ。

それが味わいたくなる頃には、ひょっこり生演奏に顔を出せるタイミングを見つけていきたい。

Burrito by Solo Duo
Geila Zilkha (vo)
Ayumu Yahaba (vo)
Shunji Takenaka (guitar)
Satsuki Kusui (bass)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?