《鶴見俊輔の言葉と倫理 谷川嘉浩》

2022年にずっと読んでいた大好きな本です。
愛読していた本から、重要と思った点をまとめました。
鶴見は、終戦後、価値観の変化の激しい時代において、自分の経験を基にして考える事や話す事を重視しました。情報量が多く、多数派の基準でマウントをとりがちな現代においても、学ぶべき点はあると思いました。
自分で考える事について、考えたい方にオススメです!!

1 鶴見は単にエピソードを詳しく語るのではない。自分の観点から、エピソードを編集、要約して自分のメッセージを示す(文献、エビデンス的な正しさよりも、自分のメッセージを託すことが大切)。
2 読み手の人生経験と連動して、物語の登場人物をとらえる。登場人物は、読み手が人生経験を捉えなおす媒介となる。
3 自然にも、文明にも属さない境界的(マージナル)なあり方が、社会の自明性を揺るがし、新しいものが生まれる。
4 自分の経験を基にして話すべきである。その時には、失敗のような自分にとっと不利な経験も、正直に話すべきである。その時に流行っている、正しいとされる事だけを話して、自分の経験を抜け落ちさせてはいけない。考え方を転向したならば、それについても隠さずに語るべきである。
5 一方で、自分の経験を絶対化しない批判的な精神が必要である。理論とは自分の経験を相対化するためにあるのである。
6 生活感のない学術用語、ジャーゴンを使わずに、生活の中で受け継がれた、具体的な感覚とつながり、意味の揺れを許容できる言葉を使うべきである。
7 ステレオタイプな言い方は、生活感を反映しないので、注意するべきである。とはいえ、言語表現は、何らかのステレオタイプな要素を含むので、ステレオタイプ性を引き受けつつ、実践に即した表現になるように切り崩していくことが必要である。
8 「状況によっては、自分も人を殺すかもしれない」というネガティブな可能性を引き受けなければ、平和について語る事はできない。
9 自分が向き合うべきである原体験にずっと悩まされつづけているのが、哲学者である。一般的な問題に取り組むのではない。
10 同情は哲学の機能の1つである。ちゃんと他人に同情するために、自分の内部の人間を成長させる。
11 抵抗の意見表明の選択肢が多様であること大事である。特定の抵抗のみが正しいわけではない(ステレオタイプ批判)。
12 共同性を考える前に、自分の好みを追求する。

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