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浄土宗のお歌の心を味わう「花まつり和讃」

仏教を開かれたお釈迦さまのお生まれになった4月8日に、その誕生を祝う行事を灌仏会(かんぶつえ)と申します。

別名としては降誕会(ごうたんえ)、仏生会(ぶっしょうえ)、浴仏会(よくぶつえ)とも言われますが、一般には「花まつり」という言葉が親しまれているでしょう。

白い像の上に飾られた花御堂の中におられる小さなお釈迦さま(誕生仏)に甘茶をかけてお釈迦さまのお誕生をお祝いする、そんな経験をされた方もおられるのではないでしょうか?

この「花まつり」におとなえする和讃が「花まつり和讃」です。

花まつり和讃画像

恭敬礼拝誕生仏
1番
仰げば遠し三千年 インドの春のカピラ城 
卯月八日の花園に 生まれたまいし国の王子

2番
七歩あゆみて天地を 指さしながら呱々の声 
たかくも唯我独尊と 四方にひびきしかしこさよ

3番
昔をしのぶよすがとて 花のかずかずつみあつめ 
心をこめてうつくしく ふきたてまつる花御堂

4番
甘露の雨になぞらえて 甘茶のかおりかんばしく 
老も若きもこもごもに そそぎまつるぞありがたき

5番
仏のおしえつちかいて 心にさきし一輪の 
花をもそえてもろともに 祝いまつらん花まつり

6番
甘茶の杓は小くとも そそげば匂う法の水 
清くむすびてとこしえに たたえまつらん花まつり

【お歌の解説】

今から三千年前、インドのカピラ城の王子様が、花園でお生まれになりました。その日は四月(古い言い方では卯月)八日でした。
王子様はすぐに七歩あゆまれ、右手を上げて天を指し、左手を下げて地を指し、呱々の声(産声)を挙げられました。そのお言葉は「天上天下唯我独尊(天の上にも天の下にも、ただ私がひとり尊い)」その意味はひとりひとりがかけがえのない尊い命であるということです。
王子様はその後、悟りを開かれ仏陀となられました。私達はお釈迦様と尊称します。

お釈迦様が花園でお生まれになったことをしのび、御堂の屋根をたくさんの花で美しく葺いて飾ります。
お生まれのとき、空から甘露の雨がお釈迦様に注がれたように、私達も甘茶を注ぎます。

お釈迦様の教え、それは私達に命の尊さを教えて下さいました。土を耕すように仏の心、慈悲の心を養うことをお導き頂きました。
甘茶の杓は小さいですが、注ぐと良い匂いがしてこうふくな気持ちになります。これこそ「法」つまり、仏の教えによって幸福になることです。
清らかな気持ちで皆さんと縁を結んで、末永く、お釈迦様のお誕生をお祝いしましょう。

(お歌の解説は浄土宗総本山知恩院が発行する『知恩』に連載されている浄土宗詠唱教導司の加藤良光先生の「詠唱をあなたに」の2019年4月号の解説を参考にさせていただきました。)

全国各地の仏教寺院または仏教系の幼稚園・保育園で4月または旧暦として5月の上旬に「花まつり」の行事が行われ、お釈迦さまのお誕生をお祝いされています。(弘願院では旧暦の5月にイベントを開催予定です。)

また、最近ではお釈迦さまがお生まれになったインドにちなんで「花まつり」の日にカレーを食べてお祝いしよう、という動きもあります。

仏教を開かれたお釈迦さまのお誕生をお祝いする「花まつり和讃」をおとなえしてみませんか?
実際のおとなえをYouTubeにしております。

「花まつり和讃」の詞を書写する写和讃もどうぞ


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