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ペットロス

私は登山が好きだ。自然の中を自分の足で歩くのはとても気分が晴れる。

しかしそこで困ったのは虫だった。もともと虫は得意ではない。ブンブン羽音を立てて付きまとわれたり、払っても払っても視界に入ってくるのが非常に鬱陶しかった。加えて、ヒルやアブ、ハチなど、噛まれたり刺されたら害になる虫も山にはたくさんいる。参った。

私は虫について調べることにした。徹底的に調べた上で対策を練れば、もう虫に悩まされることはなくなると考えた。
なるほど、湿気の多い場所を避け、ディート成分の濃い虫除けスプレーとハッカスプレーを使い、大半の虫の天敵であるオニヤンマを模したキーホルダーをつけて、黒い服を極力身につけない…
虫の生態がわかってくると、その虫の食べるもの、活動時間帯や範囲、その虫の天敵などから効果的な対策を考えることができる。全く虫に出会わないことは不可能だが、ストレスは十分減らすことができた。

そして、虫たちの弱点を調べていく中で不思議な感情が湧いてきた。


なんかかわいいかも…?


私は、オオスズメバチを飼うことにした。なぜならかわいいから。敵について必死に調べていたら、つい仲良くなりたくなってしまった。

先に注意書きをしておくが、これはオオスズメバチの飼育をすすめる記事ではない。彼女らは気性が荒く攻撃性も毒性も強い。出会ったらそっと、しかし一目散に逃げることをおすすめする。

ではこの先何が書いてあるかというと、オオスズメバチのかわいさと、ペットの飼育に関する苦悩である。虫に限らずペットを飼ったことがある人にはわかってもらえる可能性があるが、これからオオスズメバチを飼いたい人の参考にはならないと思う。申し訳ない。

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