投資家が過剰なリスクをとってしまう理由
もしなれるのなら金持ちになりたい。そして金持ちになれるのならば、その時期は早いに越したことはない。
そう思っている人は多いのではないでしょうか。
しかし現実にはそう簡単に金持ちにはなれません。だからこそ世の中にはいろんな儲け話があるわけです。
投資の世界の原則はハイリスク・ハイリターン。
もし投資で短期間のうちに億万長者になることを目指すのであれば、かなりのリスクをとっていく必要があります。
しかしリスクをとればとるほどリターンが大きくなるかというと、そんなことはありません。
投資の世界には基本的にローリスク・ハイリターンは存在しませんが、その逆のハイリスク・ローリターンな金融商品は五万とあります。
無駄にリスクだけは高いのに、てんでそれに見合わないようなリターンしか期待できない(シャープ・レシオの低すぎる)投資案件。
世の中には、楽して一気に金持ちになりたいと思うがあまり、そういった無謀な賭けに出てしまう人が存在します。
また普段は冷静であっても、何らかの理由でトリガーが引かれ、経済的に不合理な選択をしてしまうということもあるでしょう。
今回はそのような過大なリスクをとってしまう心理とはどのようなものなのか、ということについて考えてみたいと思います。
華々しい成功例が強く印象に残り、リスクに盲目になってしまう
少し前に仮想通貨で大きな儲けを出した、いわゆる仮想通貨長者がテレビのニュースで紹介されていたことがありました。
マネー雑誌なんかでもよく、短期間で資産を数十倍~数百倍に増やした億り人が取り上げられていたりします。
そういうのを目にすると、自分にもできるんじゃないかと思ってしまう人は少なくないと思います。
ただ問題はたいていの場合、そういった手法には再現性がないということです。
端的に言えば成功したのは運がとても良かったからであり、真似しようと思ってもできるものではありません。
そしてそのようなケースはその実、レバレッジをかけられるだけかけて途方もないリスクを負い、博打に打って出た結果、偶然うまくいったというような事例である場合がほとんどだと思います。
ごく一部の天才的なトレーダーを除いては、その人自身にも再現できないやり方なのです。
そしてその華々しい成功例の陰には、数多くの屍が横たわっているということに思いを馳せなければなりません。
現状をどうにかしたいという気持ちが強すぎる
世の中のたいていの問題はお金で解決すると言われたりしますが、逆の見方をすれば、お金がないといろいろなものに縛られてしまうということです。
金さえあればという気持ちが先走ってしまうと、一刻も早くその状況を脱しようとして一獲千金を狙ってしまいやすくなります。
先の話とも被りますが、もし億万長者になったらという青写真を描きすぎると、潜在的なリスクを無視してしまいやすくなるということもあるかもしれません。
さて、なぜそう思ったかといえば、今の私もそれに近い心理状態にあるような気がしているからです。
私が投資をしているのはセミリタイアを目指してのことですが、今の生活を将来もずっと続けていきたいとは決して思っていません(※)。
現状に満足していないからこそ、無意識のうちにリスク志向になってしまっているということです。
逆に、別に現状に特別不満があるわけでもないし、リタイアを目的としていない人の方が安定的な資産運用ができているのではないかと思います。
ただし徐々に資産が積み上がってくると、それに合わせて労働のペースをダウンしたりすることもできるようになります。
そうすると日々の生活や気持ちに余裕も生まれ、自然とリスク志向にもセーブがかかるような気もします。
いずれにせよ、安定した真っ当な投資を続けたいのなら、ある程度日々の生活に余裕や満足感といったものが必要なのかもしれないなということを思います。
他人の投資を気にし過ぎる
ブログやツイッターなどで投資成績を公開している人は多くいます。
実績を公開しているからこそ、その投資手法に説得力が生まれるというのは確かだと思います。
しかし一方で、それを見る側には注意が必要です。
どういうことかと言うと、他の人の投資を意識し過ぎると、知らぬ間にリスクを取り過ぎてしまいやすくなるのではないかということです。
たとえば、ある時期にすさまじいリターンを叩き出したと豪語している人がいたとします。
たいていの場合、それは偶然の要素によるものであることが多いものですが、それに負けまいとするうちに、気付いたら途方もないリスクを負ってしまっていた。そんなケースはよくあるのではないかと思います。
投資はある意味、麻雀に似ていると思います。
麻雀はある程度の打ち手が集まると、数百~数千半荘打って(試行回数を数百〜数千と増やして)初めて実力の差がわかるような運の要素が大きいゲームです。
株価の動きも結局のところランダムの要素が強いため、数ヵ月~1年といった短い時間軸ではなく、数年〜数十年のスパンでみないとわからないものではないかと思います。
たとえば優れた腕を持つトレーダーがいたとして、1年程度の短期間ではインデックス指数をアンダーパフォームすることは普通にあり得ることです。
麻雀の話に戻ると、たとえ半荘1回をミスなくプレイしたとしても、運悪くビリになってしまうなんてことはザラにあります。
半荘単位での結果というものは、ほぼ自分のコントロールが及ぶようなものではありません。
しかし長期でみたときに、麻雀の腕の優劣というのは確かに存在しています。
その違いを生んでいるものは何か。
それは、その時点での最善手を打つというプロセスへの集中ではないかと思います(※2)。
相場も麻雀の戦況と同じように刻一刻と状況が変化していきます。
そのような環境下ですべきは、リスク・リワード比の高い、エッジのあるタイミングで市場にエントリーするということに集中することだと思います。
決して一回のトレードや短期間の成績に答えを求めてはいけません。
そしてむやみに他者との比較をするべきではないと思います。
投資はある意味、自分との戦いなのです。
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今回は投資家がリスクを取り過ぎてしまう理由について思いついたものを、自戒の意味を込めて書いてみました。
相場で一番やってはいけないこと。
それは大きく資金を減らし、市場から退場してしまうことです。
過剰なリスクを取りすぎていないか、ということは常にチェックするようにしたいですね。
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