盃つまんで Vol.16
仕事場が本でいっぱいになり、整理して古書店に出すことに。ついでに家からも運び、大きな打ち合わせ机は本、雑誌の山になった。
教員だった私の父は部屋に広い座卓を置いて、書く仕事をしていた。座る畳まわりにはすぐ参照できるように資料本が幾冊も広げ置かれる。遊び盛りの子供の私が走り回ると「本を跨ぐな」と叱られた。父は、知の集積である本は貴いものとしていた。そのため私も本は捨ててはいけないが身につき、長い年月を経てあふれてしまっていた。昨年も今ごろ大量に古書店に引き取ってもらったが、それは仕事資料など必要がなくなったもので、愛着のある本は残した。
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