人気YouTuberをみて感じたこと

年末は、姉家族と妹家族が実家に来る。毎年楽しみにしている時期だ。姉と姪っ子は、大晦日の朝まで滞在するというので、お寺の年末準備を一緒に手伝ってもらった。


毎年12月30日の早朝からお餅つきをする。前日からもち米を10㎏分洗って水につけておくのだけど、冷水を使って手を真っ赤にさせながらする作業は少し億劫だった。


「みんなで一緒にやろうよ!その方が早く終われて楽しいでしょ!」
来年中学生になる姪っ子が声をかけてくれて、小学校2年生の姪っ子と3人でもち米を洗うことになる。米粒がこぼれたり、姪っ子同士でケンカしだしたり、3人でお米洗いをするには少し狭い台所での作業は、一人でやるより時間がかかったけど、みんなでわいわい言いながらだと、面倒な時間も楽しくなる。そういえば、自分が小さい頃は、みんなでお墓掃除するもの楽しかったなと思い出す。


今どきの小学生は、遊ぶといったらゲームやYouTubeを見たがる。今日の紅白歌合戦にも初出場する“すとぷり”も小学生に人気があるようで、休憩時間は、姪っ子がすとぷりの人気曲『スキスキ星人』をリピートしてみていた。今年の紅白歌合戦をみると、知らない歌手が多い。自分も歳をとったな、と思いつつも、もっと流行しているものに興味を持っていかないといけないな、という焦りもある。


デザイナーの仕事をやり始めて、特に流行というものに敏感になるようになった。自分の無関心さを目の当たりにして、一時は向いていない、と諦めかけていたけど、なんとか食下がろうと、前よりもアンテナを張るようになった。それでもまだまだ知らないことは多い。自分だけで情報を得るのは難しいから、できるだけ若い世代とコミュニケーションをとりながら、何が魅力的なのか、若い世代は何に魅力を感じているのかを知ろうとしている。コミュニケーションをとりながらだと、情報収集の時間も面白くなる。


「あの子、女の子みたいな体型じゃない?」
“すとぷり”のYouTubeを見ている時、姉が指摘した。“すとぷり”は、顔出しをしていない。YouTubeのライブ映像も、それぞれのメンバーのイラストキャラクターで顔だけ隠されている。だから余計に体型が目に付いたんだろう。キャラクターも全員男の子っぽいイラストだったから、全員男の子だと思った。でも、赤色担当の子だけ、太ももに張りがあり、女の子っぽい体型をしている。


YouTubeの検索で、赤色担当の子の名前と“女の子”というキーワードを打つ。スマホでググればすぐにわかるのだけど、みんなで謎解きをするかのように、テレビ画面に注目しながら、リモコン操作で50音をひとつずつ打っていく。


すると、すぐに理由が分かった。性同一性障害(性別不合)による、性適合手術をしたという報告動画が上がっていた。調べると、もう5年前からカミングアウトしており、手術も昨年のことだ。姪っ子たちは理由がよくわかっていなくてポカンとしていた。性転換に関して、世の中では前よりも当たり前になってきて、姉は「なるほど、そういうことだったんやね」と納得した様子だったが、自分は、少し不安げな気持ちになった。


今年、LGBT法案が与野党からの大反対を受けながらも強制可決された。審議はわずか1日で終了、慣例の全会一致もままならないという異例中の異例の流れだった。英米では、一足先にLGBT法が施行され、未成年が親の承諾なく性転換手術ができるため、手術をして健康被害が急増し、取り返しのつかない社会問題に発展している。日本でも女子トイレの利用を巡った問題は記憶に新しい。


もちろん、マイノリティーに対して寛容な世の中になれば、今までよりも生きやすくなる人も多い。私も大学時代、友人が性同一性障害の彼氏を連れてきて、3人で過ごしていた時があり、本人がカミングアウトすることにとても抵抗を持っていたのを覚えている。


私が不安に思ったのは、こういう若い子たちに人気がある人たちが、このような問題に関して発信することで、正しい判断がしづらい子どもにも影響を与えてしまうということだ。もちろん、それで救われる子どももきっとたくさんいる。それでも、世の中の流れをみていると、これも一種のプロパガンダか、なんて疑いたくなることもある。


その時の判断がよかった、わるかったなんていうのは、もっと先にならないとわからない。とくに、法改正や教育なんかは、結果がでるまで時間がかかる。それでも、判断しなければならないことが目の前にどんどんやってくる。自分の知識や経験を増やして、できるだけ高い位置から未来を見据えた判断ができるようにしていきたい。

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