盤上の敵 2022.5.20読書記録


読んだことを後悔した。

まず誤解のないように。
ミステリ小説としては面白かった。
叙述トリックと言うか、どんでん返しと言うか。早く続きが知りたい!となる内容だった。世間的にも評価が高い作品のようだ。

ただ、この早く続きが知りたい!の部分は後悔にもかかっている。
登場人物の背負っているものが辛すぎて、救いを求めて次々ページをめくったと言っても過言ではないからだ。

著者は、ノベルス版の前書きで、「読んで傷ついたとのお便りをもらった。そういう側面がある作品なので、心配な人は読まないように。」といった趣旨の注意書きを載せていたが、私は凄惨な描写は比較的読める方だし、何より北村薫という作家を深く知らなかったため、忠告を聞くべきかの判断ができなかった。

結果、後悔したのである。

著者がどの部分を指して、読まない方が良いと言ったのかは意見が別れると思うが、私は、根源的な、抗う術のない悪、という存在があることを突きつけられ、ショックを受けた。
生物の本能と言ってしまってはそれまでだが、綺麗事では済まされない面が世の中にはある。
なんとなく目を逸らしていたそれらを突きつけられた、と感じた。

ちょっとポップな探偵が、コミカルに事件を解くようなミステリが好きな私には、重すぎた。
共感性が高い方にもあまりおすすめできない。
北村薫であれば、覆面作家シリーズがおすすめです…

衝撃が大きすぎて、どこかに吐き出したかった。
読んで頂きありがとうございました。

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