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2024年正月のPNKT日誌 7

墓参りの次は、実家の倉庫だ。

倉庫の敷地内にゴミを不法投棄する不逞の輩がいて、隣町の町内会長の手を煩わせたらしいという件に対処するための策を姉と相談する。

隣町と言っても昔の区分で、~町と名前がついているもの、で現代では自治会のようなくらいの単位だと思う。

小学校での集団登下校時はこの~町という単位で行っていた。今は子供が少なくなっているからそういったことはしていないかも知れない。

この旧町名ほ現在の住所表記からは一部を除いてほとんど失われているが、日常生活の中にはしっかりと残っていて機能している。

隣町の町内会長から網でもかけておいてくれ(おそらくは地元の言葉でカケテーテー)と言われたことから姉は網を買うつもりにしていた。

前日ホームセンターで網を物色し目星をつけておいたものがあったが、倉庫のつくりを見る限りではうまく網をかける方法を見つけ出せなかった。

誰かこうしたことに慣れている人の意見でも聞かないと、きょうだい二人ではその場ですぐに解決できそうなことではなさそうだ。

しかも姉は隣町の町内会長と名乗った人がどこの誰だか、面識もなく特定できない、と言う。民生委員に尋ねるなどできないのだろうか?と聞くが、姉が言うには民生委員を探す方が面倒だろうとのことだった。

田舎のコミュニティにおける関係性の濃淡については時々驚かされる。

となりの町の知らない人が(倉庫はその町にあるので)、倉庫の敷地のことを心配して、ゴミをよけてくれたりするのである。

ひょっとすると生前の父のことを知っているからかもしれない。

自分もある時期までその中で育ったわけで、知らず知らずのうちにそれを当たり前として受け止めているところもないではない。

うちのあたりは、私見だが、歴史ある大きな仏教寺院を中心に発展した古い門前町と商店街の名残りがあるように思われ、おそらく農家を中心とした他地域と比べても特徴的なところがあるかもしれないし、新興住宅地とも違うだろう。

ともあれ、ひとまず網は保留することになった。

この倉庫はなかば放置されているような状態となっているために悪意でゴミ捨て場と勘違いする者がでるのだ。

塩漬け状態もどうかと思うし、もう少し活用できる方法がないのかと思ったりもするが、両親が生前頑張って残したものだけに手放しがたく、姉弟共々今のところ売却するといった意志は頑としてない。

当面はゴミを投棄されやすい場所にカラーコーンを設置し、フルタイム勤務で多忙ではあるが姉が定期的に清掃や監視をすることで着地した。

今回時間があれば自分も掃除まで手伝うことができたのだが、それは次回以降のこととする。

そんな話をしながら改めて倉庫を眺めているうちに、経年劣化が著しい部分がいくつも見つかった。実家も古いもので、電球一つ取り替えるにしても姉の手の届かない場所があり、それが深夜に階段を照らすためのものであったりすれば、電球が切れたままではよほど不便であったろうと思う。

こんなことも含めて、修繕や保全に関しては、今までほとんど役目を果たしてこなかった長男たる自分がポンコツであろうがなんだろうが働かなければなるまい。

それをして生前孝行らしいことが全くできなかった(介護もしていない)両親や先祖に対してのせめてもの恩返しにかえられるだろうか?

(つづく)

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