在宅療養で部屋に置く収納棚のこと

在宅療養が決まると、「何を準備すればいいですか」と聞かれます。
私たち看護師は「特別準備する物はありませんよ」と答えますが、寝ている時間が多い方の療養生活となると、病室のように整えるイメージを持つ家族があるのです。家に病気を持ちながら生活する人がいるのだから当然だと思います。
でも、在宅療養は病院の応用をするところだと思うのです。

療養する一人一人の方や家族が、今まで通りの生活が送れて、ホッとできるのが我が家の良さだと思うからです。

ほとんどの家では、介護用ベッドが入る部屋には、着替えやおむつ、処置の必要な方なら、お手当する道具や吸引が必要なら吸引機や吸引チューブを置きます。
元々あったタンスやカラーボックスを空けて、それらを入れて用意する家が多いように思います。
押し入れの中に並べて置いてあるお宅もあります。
部屋の一角はおむつがパッケージされた袋のままあって、手当する道具は棚の上に出ている家もあります。

見えない所にしまってあると他人の家にお邪魔している身としては、意外と押し入れなどを開けることに勇気がいりますので、出してある家は、ちょっとホットします。

いづれにしても置く場所が決まっていれば、それだけで関わる人は助かります。

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病院看護と在宅看護の違いを感じます。

訪問看護は、事務所から1件目の家までの道順と、1件目から2件目の道順をつなげられるだけ道路を覚えなければ相手のもとに行きつけません。
そして駐車場に着いたら、玄関を開けてもらって、手を洗う場所に行き、部屋の中で、どこに何が置かれているかを思い出しながら、お手当を始めます。
1件目の家と2件目の家では、家の中の様子、洗面所や部屋は当然違います。

病院は、患者さんは私たちの元に来てくれます。そして自分たちが置き場所と決めたところに物品はあるのです。


在宅ですと、訪問して、傷を手当し始めたら悪化していて、寝衣が汚れている場面にあうことがあります。
傷の手当に、着替えが加わるということです。
そんな時は、手早く想定外の着替えを終えて、苦痛を減らすことが看護師の目標になります。

家族や訪問介護や訪問看護が部屋に入った時に、誰が探してもわかるようにしておくと、本人にとっても、ケアする人にとっても時間や手間を取ることが少なく、ストレスがありません。

そこで、適当な入れ物がなくて購入予定の方がいらっしゃいましたら、私が訪問看護で伺ったお宅で見たなかで「これ、いいな」と思った物をご紹介します。ホームセンターなどでよく見かける収納ケースです。

引き出しがクリアで、中に何が入っているかわかりやすく、天板がしっかりしていて吸引機などの医療機器も置くことができます。

吸引機の場合は、置く場所の高さも注意したいところです。
口元に使う機械を低い所に置くと、舞ってくる埃などで汚れるので、床には置かず椅子に乗せたこともあります。

高さはベッドと同じくらいがベストです。介護用ベッドは種類がありますが、高さを変えられるものを使うと、介護する方の腰の負担がかなり違います。
参考にして頂きたい収納棚は、吸引機を置いて、その高さにベッドを上げて吸引すると介護する方は、とっても楽です。

もう一つ、おむつ交換や着替えの時も、ベッドは介護する方の腰の高さまで上げてから始めると、ケアを受ける本人だけでなく、手当する方の体を守ることになります。
ベッドが低いまま腰をかがめてお手当すると、本人は必要以上に強く体をつかまれることになり、介護する人は、引き上げる動作が増えて背中や腰を痛めます。
ちょっと面倒でもこの手間が大切です。
収納棚があるとベッドを上げる高さの目安になりますよ。


大した情報ではありませんが、部屋が整うと不安な気持ちが少し軽くなることもあるかと思いますので、参考になれば幸いです。

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