見出し画像

バスケのポジションの話

今日はちょっとバスケの歴史からスタートです。

9人制の時代

バスケットボールは当初は9人制で前衛(フォワード)、中央(センター)、後衛(ガード)の3つのエリアで攻防戦が行われるものでした。

そういう競技になった理由は、バスケットボールが作られたYMCAトレーニングスクールの体育館には、天井を支える柱が2本立っていたからです。

ホントです(リンク先はパリにある現存する最も古いバスケコート)

https://untappedcities.com/2014/09/30/the-oldest-basketball-court-in-the-world-is-in-a-paris-ymca/

当時はドリブルは禁止(歩いてはいけない)だったため、センターは素早く動いてパスを受けられる人、逆にガードはゴール下でブロックできるように背の高い選手がやっていました。今と逆ですね。

5人制の時代へ

その後、人数が5人に減ってドリブルが許されるようになったことでフォワードが3人、ガードが2人という体制になっていきますが、当時は得点をすると籠から取り出して(下が抜けていないので)、センターサークルからジャンプボールで再開していました。そのジャンプボールをするフォワードをセンターと呼ぶようになりました。ジャンプボールの優位性が攻撃回数に大きく影響するのでセンターは長身でジャンプ力のある選手がやるようになります。現代のセンターの始まりです。

制限区域の登場

かつてはガードとして味方ゴールを守っていた長身選手は、今度はセンターとしてゴール付近で待っていて、パスを受けてシュートを撃つ選手となりました。長身選手ほど有利になるためセンターが花形ポジションとなっていきます。しかし、センターにボールを集めるだけの戦いになってきたため、攻撃側の選手が入っていられる時間制限のあるエリア(制限区域)が作られます。当初は鍵穴のような形をしていましたが、時代と共に変化して現在は箱型になってします。プロでは判別しやすいように床と異なる色が付けられているのでペイントエリアとも呼ばれます。

制限区域ができたことで5人の立ち位置にも変化が生まれます。センターとフォワードの片方が制限区域を挟むように立ち、そのフォワードが居た場所に、ガードの片方が移動した3アウト2インのシステムとなります。その役割の変化で、ガードがPGとSGに、フォワードもPFとSFに分かれました。

現在ではPGはポイントガード、SGはシューティングガード、SFはスモールフォワード、PFはパワーフォワードと呼ばれていますが、海外でバスケの歴史を調べている人達の話では、どうしてそう呼ばれるようになったのか語源がはっきりしていません。少なくとも1980年代の初め頃まではSGはセカンドガードと呼ばれていたそうですし、それ以前からPG、SGという表記はあるらしいので、個人的にはPrimary (プライマリー:第1の/最初の/メインの)とSecondary (セカンダリー:第2の/2番目の/サブの)のPとSをつけた
・第1ガード / 第2ガード(PG / SG)
・第1フォワード / 第2フォワード(PF / SF)
だったのが最初で、その略称(通称)として「攻撃の起点(Point)だからポイント」「ゴール下に立たない(=小さい)方のフォワードだからスモール」「ゴール下で戦うからパワー」などと呼んだんじゃないのかな…と思っていたりします。スポーツ関係にはそういう語源がはっきりしない名称や、ノリで命名されたものが一般化する(戦術を意味する「XsOs」という言葉は、作戦盤に〇と×で描いた図が語源です)ことがよくあります。

このように、バスケのポジションは名前と実態が合っていないとかポジションの違いが良く分からないとかちょっと不思議な部分があります。そもそも「ポジション名」というのは公式なルールには無いものなので、団体ごとに名称が異なるケースもあります。例えば女子の日本リーグ(WJBL)ではSGにあたるポジションをGF(ガードフォワード)、SFをF(フォワード)、PFをCF(センターフォワード)と表記しています。なので最近は5人の選手を「1番」~「5番」と番号で呼ぶやり方が主流になってきました。

番号で呼ぶメリットはポジション名に縛られないだけではなく、チームごとにそれぞれの「〇番の役割」を持たせられることで、チームの戦術や方針によっては「2番と3番の役割は全く同じ」とか「3番から5番はみんなセンターでそのうちの2人がペイント付近で面取りをする」みたいなこともありますし、逆にメンバー構成によっては選手交代でメンバーが変わったら「あなたは3番から2番に役割を変えてください」ということも起こります。

その辺がポジションというものを分かりにくくさせている理由の一つであり、同時に自分がどういう役割を期待されてコートに立っているのかイメージしにくい理由でもあると思います。特にミニや中学ではポジションレスでやっていた人も多いのですがポジションが無かったのではなくポジションが固定されていなかったのだという意識を持ってほしいなと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?