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「アンビリカル」とつぜん考察

【7/4 追記】
順位を6位から5位に上げました。
またMVにおけるユノの思考やユノの心理構造を大幅修正します。
読み直していて違和感があったので再考察したところ、もっと違うところがありそうだと思いました。
特に「愛を求めるのに必死」「相手に必死に愛されようとする」は間違いだと思ったのでそこに関係する考察を訂正し、代わりに「人間全員単純でくだらない」「だけど自分自身も嫌い」という心理考察を追加しました。
既に読んでくださっていた方はすみません…。修正前の部分も線で消してなるべく残しておきます。
同時に「飢餓と諦観の曲」も「諦観と期待の曲」に変更しました

MILGRAM考察2曲目です。
ハルカと並んで話題にすることも戸惑うレベルのどぎついテーマを持つ曲をなんとか考察します。
諦観と期待の曲。

※楽曲の特性上どうしてもセンシティブな話題を含みます。堕胎についても話題に含みます。未成年の方や苦手な方、フラッシュバックの可能性がありそうな方はなるべくバックしてください
※徹頭徹尾個人の意見!!!!!
※誤字脱字はスパイス(そうか?)
※図解としてYoutube公式動画からスクリーンショットさせていただいていますが、問題があると判断した場合即削除いたします
※先人の方々の考察に影響を受けている箇所があります。自分で見つけた考察・根拠でないときは必ず言及します
※なぜかスーパーダンガンロンパ2のネタバレを若干含みます
※前回言い忘れていましたが、サムネイルは自作です
※note使用慣れてません。すべてがガバガバです

導入


実早登です。

今回はアンビリカル、ひいては樫木優乃の考察をしていきます。
独自考察ルール等については「弱肉共食 とつぜん考察」をご確認ください。

早速始めていきます!

楽曲ステータス


【7/4 修正】
〇推理難易度 ☆☆☆★★ 5/10人 出来事簡単、心情難関
〇殺人描写推理難易度 ☆☆★★★ 全楽曲中最も簡単ともいえる
 婉曲表現が理解できれば一択に絞れる
〇心情描写推理難易度 ☆☆☆☆★ 最後まで突き詰めなければユノに失礼。一回考察ミスった。ごめんね
〇殺人対象推理難易度 ☆★★★★ 殺人描写が分かれば芋づる式に一つしかない
〇時系列推理難易度 ☆☆☆☆★ ラストサビ以降の風船表現などが妙
〇反省度推理難易度 ☆☆☆★★ ボイスドラマを聞かないと勘違いを生みそう
〇周囲環境推理難易度 ☆☆☆☆★ ひとつの違和感から真相に繋げられるか
〇必要リアル知識難易度 ☆☆☆★★ 私はなんで援助交際について調べているんだ
〇歌詞難易度 ☆☆☆☆★ 英訳を使わないとかなり惑わされる
〇ホラー度 ☆☆★★★ 「やっちゃったんだ」は初見ビビる 意味怖
〇胸糞度 ☆☆★★★ 最後の螺旋階段の数とユノの一見平然とした顔にぞっとする

はじめに


前回は本当に鬼畜難易度だった。
4日かけて難所を詰めに詰め、ようやくロジックを見つけて約23000字…
でも今回はそこまでではないです。やったあ。

(書き終えた実早登です。
嘘をつきました。また約23,000字あります

「アンビリカル」は婉曲表現こそ多いものの、殺人描写の明瞭さと心情描写の堅さが特徴の楽曲です。曲中全体に渡るユノの考えを読み解くにはかなり苦労しますが、出来事を追う分にはとても楽できます。
また、婉曲表現の正体が全楽曲中トップクラスでわかりやすい。散々ここで悩ませてきたハルカと違い、もはや前提条件レベルで話を進めて行けます。そういった点については今更な気もしますがおさらいはしつつ、わりと蔑ろにされていそうなユノの内面をメインに掘り下げていきたいです。

ひとつだけ言っておきます。
内容があまりにもアレなので、遠回しな表現をしまくります。
当たり前だろ…(頭を抱える)
全楽曲中一番「声に出して考察することをはばかられる曲」。相互Aさん(弱肉共食考察記事参照)とも「この曲の話したくないよ~~~!!」と言い合いました。
一番目があのスレスレテーマと極悪難易度の曲、二番目が発言したくないようなテーマの曲っていう無茶苦茶なコンテンツ それがMILGRAMだ――。

婉曲表現のおさらい(暫定)

  • 螺旋階段:DNA、ある人間の送る日々

  • 白い風船:精(自主規制)、胎内

  • インサイダバルーンの中身:心臓、胎児
    (※考察終了時までに意味が増える可能性あり)

弱肉共食では前提にできる情報がなかったため疾患特定からスタートしたが、アンビリカルの場合は以上のように確定事項がとても多いのでこれをベースに楽曲精査を進めていける。
一応何故これらが確定事項かというと、さらにいえば今楽曲は殺人方法と殺人対象が全楽曲中最もといってよいほど明確だからである。

最大の根拠はMVだが、最大の裏付け資料はアンダーカバーの殺人立ち絵、MILGRAM2周年イラスト。
MVで説明するのが長くなるため、あえて裏付け資料から説明をしていく。

まずアンダーカバーについて。
(※根拠とする理由は弱肉共食記事を参照してください)

殺人するには妙なアングルなんだよなあ

ユノの場合は大きく足を広げて立ち、その下に被害者(代理エス)が倒れている。手は服の裾を掴む(?)などしている。このシーンは十人総じて殺人の瞬間を描いたもののはずだが、ユノはその瞬間被害者に体のどの部分も接触すらしていないという意味で特別妙である。
これだけだと自殺の可能性もなくはない。なので同じく被害者が自殺している可能性が最も高いカズイと比較する。

血痕は被害者の下

カズイの場合、MV描写から被害者が飛び降り自殺したと想定されている。MVの該当シーンでは飛び降りの瞬間カズイはベランダの窓を開けて手を伸ばしており、被害者が死んだ瞬間被害者のそばにいない。「アンダーカバー殺人立ち絵は被害者の死の瞬間の立ち絵化」という定義のみでは、このカズイのようなケースを描写できない。
しかし実際はこのように描写ができている。これは例外処理がされていると思われる。つまり被害者の死の瞬間に加害者がその場にいなかった場合、加害者がその被害者と立ち会ったシーンを例外的に立ち絵化しているようなのである。

ここで立ち絵の血痕描写を見てみたい。カズイの場合被害者の背中から広く出ている血痕が、接触しているカズイの太ももにも散っている。被害者があおむけの状態で落下しそれをカズイが抱き上げたとしたら、血痕の飛び散り具合はともかく付着箇所については正しい。
血痕については、他のキャラについても死の瞬間飛び散る箇所としては妥当な場所に描写されている。絵面上撲殺をしたとみられるミコトもアマネも、鈍器と殴打箇所に血痕が描写されている。なおハルカのように絞殺をしたため実際は血痕が散らないだろうケースでも、血痕が絞めている首付近から飛び散っている。

以上のことから、殺人立ち絵における血痕は実際に血痕が飛び散った部分か、被害者の致命傷に当たる部分に描かれていると思われる。
(床の血痕は全員にあり、どちらかというとエフェクトの可能性があるので無視してもよさそう)

これを踏まえてユノの立ち絵を見ると、ユノは被害者と接触していないのに下半身に血痕が飛び散っている。被害者の自殺後でなおかつ接触もしていなければこれはおかしい。つまり「この態勢で殺人が起きた」としか思えないのである。

似たような血痕描写がされている作品に、2周年記念イラストがある。

大多数のキャラが殺人時使っているはずの「手」を描かれていることから殺人直後ではなさそうだが、これもアンダーカバー同様、殺人後に返り血を浴びているような描写が全員になされている。
気になるのは掌の描写。殺人をしたキャラの場合、掌に付着した血の描写が少々やりすぎなくらい顕著になっている。
シドウやミコトのようにその掌を晒しているケースもあるが、掌が見えないケースの方が多い。しかしそれでも、手の裏に大量の血が付着しているであろうことが分かるであろう描写がしっかりなされている。ハルカやムウの場合は掌を体のどこかに接触させることで、触れた箇所にも血がこびりついている。結構こだわりがあるのだろうか。

それを踏まえて、血痕の付着具合が妙に足りないと思うキャラがカズイ、マヒル、フータである。このうちフータは手を握りしめているためなんともいえないが…。
マヒルは諸説あるが、被害者の自殺説がファン間で流れているキャラの一人である。そしてカズイもまた被害者が自殺したキャラである。なんならフータも被害者が自分のいない場所で死んでいる。他のキャラは全員、直接人を殺したことが明瞭な者である。
自らが直接手を下してはいない場合、掌の血痕が控えめに描写されるようになっているのだろうか…?

ここまで考察したうえで、ユノの血痕を見てみる。

掌べったりやん!! 掌晒してもないのに境界線から垂れてるレベル。

またアンダーカバー時同様に掌以外の血痕も観察すると、やはり下半身に付着していて大部分が見切れている。
どのアートワークスでも「下半身」がやたら強調されているユノ。改めて言うこともなさそうだが…

MVの流れ


ファンアートの傾向を読み解いたので、いよいよ楽曲そのものを見たい。
今作のMVは、次のように進行する。

①白い風船を手放し、螺旋階段へ向かう
②電車内部
③デート(?)を楽しむ
④自室のシーン
⑤デートシーンその2
⑥風船を割る
⑦最後の螺旋階段シーン

何をしている様子かすぐに判明しづらいシーンもあるので、明瞭なシーンから掘り下げていきたいと思う。

⑥風船を割る

リアタイのチャットですら察されていたこのシーン。インサイダーバルーンに力を込め、割っている。リアタイ時鋭い反応がなかった(そりゃそうだが)ハルカとは大差がある…。
散々議論されていて今更だが、このシーンが今回の殺人描写である。

10作品ある楽曲ではあるが、実際に人が死んだ瞬間を克明に描写しているMVもあれば、その瞬間が明瞭でない、あるいは被害者の外見がそもそも描かれないMVもある。
しかし、たとえ婉曲表現でも殺人シーンは必ず描かれている。なぜならこれはヒトゴロシの罪を裁くための楽曲で、殺人という罪が描かれていなければ視聴者も判断のしようがないからである。だからこの楽曲も何かしらの手段で殺人が描かれているはず。
となると、アンビリカルのMVで人が死んだ=ユノ自身が何かしら物が破壊したような描写は一か所で、このバルーンの破壊になる。

これがなんなのか察することができる歌詞は主に「やっちゃったんだ 知っちゃったんだ」「欲と欲がリンクする」の2カ所。
元々「好きと好き」だった歌詞が「やっちゃったんだ」を経て「欲と欲」に変化。好きに関係していて何かしらリンクさせるような欲ってもう言いたくないけどアレだろ…。アレのこと「アレ」って言います。察してくださいよろしくお願いします。分からない方はそのままのあなたでいてください。

「やっちゃった」はアレしたことだし、「知っちゃった」は認知。その時の相坂さんの声の演技からしても「やっちゃった」ことと「知っちゃった」ことはただ事ではない(ここの演技素晴らしすぎる。呆然としたような焦ったような、明らかに空気感が変わりこちらまで恐怖するリアリティ)。
その歌詞に被せるようにして、作中ずっと登場していた二つの螺旋階段が組み合わさってひとつになる。

両階段上部にある靴に注目

この螺旋階段のうち左側に置かれた靴や紙袋類は色や形からも男もので、逆に右側はヒールがついていたり、鞄も色味や形から見て女もの。左が男性を象徴し、右が女性(=ユノ)を象徴している。
これが合体…まあつまりアレです(絶句)

アレが発生したと考えたうえで白い風船螺旋階段を見ると保険の教科書でよく見たようなものに似ていることが分かる。せ(略)DNA
そして「やっちゃった」後に起こりうる、風船を割るような殺人はまさに堕胎。最後に割った風船は白い普通の風船ではなく中に小さな風船が入ったいわゆるインサイダーバルーンだが、これはせ(略)ではなく胎内を指していると思われる。被害者はユノのお腹の中にいた子供。中の風船の中に一つ赤いハート型の風船が含まれるが、これが心臓を意識しているようにも見える。黄色いリボンはもしかするとへその緒意識だろうか。

普通の風船もインサイダーバルーンも、風船の色が純白ではないのがリアルで不気味

アレと堕胎というテーマは一つの情報だけで確定はできないが、アートワークスやMV、楽曲など複数の根拠を同時に比較することでほとんど確定させることができる。
しかしすでに散々議論されててこんなに分かり切っていること掘り下げる必要ある…?とは思われそうだが、一応周知の事実とされてることでも再検討したいんだよ!!新参者だしあと趣味だから!!!!!!

③デート(?)を楽しむ・⑤デートシーンその2

物語の結末が分かると次に考察できそうなのがこのシーン。遠回しにMVに出演している男性とは何者なのかも追っていく。
Bメロに当たるこのシーンでは、様々な服を着てカメラに向かってアクションを起こすユノが見られる。しかしこれはユノが自撮りなどをしているわけでなく、おそらく他の人間と一緒に行動している場面を相手目線で切り取っている。

1-1.Tシャツ姿、渋谷ハチ公前
1-2.制服姿、雑貨店?
(自宅ではない。天井の梁の色が自宅と異なる)
1-3.ワンピース姿、スカイツリー天望デッキ
(入場料1,800円 天望回廊とのセット券は2,700円)
1-4.三つ編み姿、横浜
(中央の半円のビルがヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル)

以下2番。

2-2.スイーツパーラー
2-4.高級車助手席
(右側にハンドルがなく助手席になっているので、外車確定。
鞄の文字については、Bモード法という妊娠期にも利用する超音波検査法があるらしい。
他の方の考察を見て知りました。みんなすごすぎませんか)
2-3.高層ビルの高級レストラン
2-1.カラオケ
(流れている曲が歌詞・MV共にDECO*27さんの「おじゃま虫」でした
他の方の考察を見ていてようやく気づきました…すごすぎ…)

他人目線と確定できる要素としては
・高校生の女の子が金銭的に一人で転々とできるとは思えないスポット
 (外車助手席、高層ビルのレストラン)
・他人無しで行うはずのないアクション
 (誰かに向かって手を振る、ラッピングされたプレゼントを持つ、助手席に座る、マイクを自分では無い方に向ける
がある。ユノ一人でこれらの出来事をこなしたというのはさすがに無理がある。とくに外車。ユノ一人で購入できるわけがない。
つまり、これらの場面は全て誰かとのデートシーンを描いたものと考えられる。

と言うが、厳密にいえばこれはデートではない
その根拠が各シーンの服装やシチュエーションの違い。

この記事ではシーンのスクリーンショットを載せた際、概要欄に〇-△と番号を振り分けている。〇は1番のシーンか2番のシーンか、△は服装ごとに振り分けた番号である。
△が3の時はスカイツリーやレストラン、4の時は横浜に外車とかなりお金がかかったデートをしているようだが、逆に1は渋谷とカラオケ(しかも歌のチョイスはおじゃま虫)、2は人形を売っているような店とスイーツパーラー、と言ったように比較的身近で分かりやすい。相手の趣向(あるいはユノ向けの趣向…?)が同一人物にしてはばらけすぎている。

また、服装について。
これは個人的な感想になってしまうが、ユノはかなりかわいい見た目をしていていろんな年頃らしいファッションが似合いそうなのに、MVで着ているファッションがなんとなく…ずれているような気がする。ファッション用語には詳しくないが、ちょっと媚びているような若干古臭いような雰囲気があって、一番ユノに合う私服か…?と言われるとあまり頷けなかった。
(※ここは感想であり根拠がほとんど出せません)
他には、ファッションに統一性が感じられない。どのファッションや髪型も別目的に着ていくのかと思うような、「自分のためにおしゃれしている」とは少し思えないばらけ方をしている気がする。

また、尋問にはこんな内容のものもある。

出会う人に応じてファッションの傾向を切り替えているのだとしたら、ここまでの小さな疑問には納得がいく。そして各デートでシチュエーションが違いすぎるのも、服装ごとに相手が異なると考えると辻褄が合う。
浮気と考えることもできるがカズイとテーマが被ってしまう他、螺旋階段に大量に積まれ続けるプレゼントが妙になる。螺旋階段に全ての服装のユノがいるということは全ての相手から大量の贈り物を受け取っていることになり、これもただの交際とは思えない。
そしてHPのプロフィールにおける「金銭を要求する冗談」の癖があるという表記も交際にしては商業的で、台詞も「千円で膝枕」と金を求める対象がスキンシップで、明らかにおかしい。

以上の根拠を踏まえ、相手との該当する関係性は援助交際と判断する。
ユノは相手の好みに合う服を選んで着替え、相手の好むシチュエーションで交際紛いの行為をし、金銭を受け取ったり贈り物をしたりされたりしていたということになる。
金持ちの相手による支出だとすれば、高校生のユノがお金のかかりそうな場所に平気で飛んでいくのも容易である。

話変わるけど、パ…活でおすすめの服っていうサイトを(あくまで考察のため)開いたら真っ先に4とシルエットがまっっっっったく一緒の服が出てきて失神した ノースリーブ、レース、腰で絞るタイプのスカート、長めのスカートと完全に一致
そういう服が!?!?界隈で好まれてるの!?!? ユノ、サイト調べてる!?!?!?!?!?
(考察のためとはいえパ…活宣伝サイトだったためさすがに気が引けました、リンクは載せません。「パ…活 心理」でググるとすぐ出るページとだけ)

次に、デートシーン後の螺旋階段シーンについて。
螺旋階段はユノが歩いていて女物のプレゼントが置かれたものと、誰もおらず男物のプレゼントが置かれたものがある。1番だと前者のみが登場し、2番で後者が登場、ラストで2つが融合する。

1番ではデートシーンの登場順に服を変えながらユノが楽しそうな表情で階段を上る。
その後なにかに声をかけようとして切ない表情でそれをやめるが、シーンが変わるとその視線の先には男の螺旋階段があり、それに笑いかけて1番が終了する。
男性に声をかけようとしてかけられず、しかし彼を見つめて笑顔になれるという過程は本気で恋をしているようである。

援助交際から本気の恋愛につながることってあるのか?と援助交際を知らないので思ったが、調べるとどうもあるらしい。あるんだ…

一方2番の階段シーンでは階段のユノの表情が味気なく、上に進む度にさらに失われていく。また1番では積極的に上っていたのに2番だとどこか停滞気味になっている。
さらに最も重要な点として、デートシーンにはいたはずの制服姿のユノがここにいない。他の服のユノの周りの贈り物にはあまり変化がなく制服姿のユノが直後のシーンで風船を破壊しているとなると、2のユノの相手と問題が起き、何らかの経緯でアレをしたのだろうか。

②電車内部

パ…活行為が確定すると、電車内部の一見意味不明なシーンの意味もわかる。
まず電車内でユノが見ていたスマホ画面を確認したい。このアプリ画面は④にも登場するので同時に提示する。

②でのスマホ画面
④でのスマホ画面

上部に丸いアイコンが複数(アカウントのアイコン?)、以下に丸アイコンと文字列が複数(トークルーム?)があり、赤いマーク(未読マーク?)がアイコンについている場合があるなど、トークアプリのようである。

このシーンは、ユノがスマホをいじる→電車内のどこかに目をやる→スマホ画面を上までスクロールする→困ったように笑う、という流れがある。
MV内でユノが目をやったのは画面左かつ少し首を動かす程度には離れた場所だが、両隣にいる男性と女性はかなり密着していて改めて見るまでもない。
しかしユノの目線が変わるカットの後、少しカメラが引くことで女性の左にいた人物が見えるようになる。
スーツ姿の年の差がそこそこありそうな男性。

この前のカットで左側にいなかった人物は、この男性のみ

年がかなり離れていそうな人物とユノに接点は一見無さそうだが、援助交際をしていればおそらくある。その後スマホでユノが確認したのは顔アイコンの並ぶ画面あるいは1番上のトークルーム。ここには通知マークがあることから新規メッセージか、あるいはアイコンが見えるはず。
これを見てユノが困り顔をするということは、これから会う約束をしている人を見たということでは…?

う、うわあああああああ!!!!!!!(爆散)

相当の年の差相手とユノが程度あれどいかがわしい理由で絡んでいる可能性は考えたくなかったが…現時点でMILGRAMに夢なんてないもんな、そうだよな…

ユノは相手の見た目を知らなかったのだろうか。
もしアイコンに顔写真が映っていたとしたら、その時点で外見は分かるので改めて相手を見て困り顔をするとはあまり思えない。逆に全く知らなかったとしたら、比較的どこにでもいそうなスーツ姿の男性を見て急に気になるということもないと思う。
相手が待ち合わせ場所に着ていくとトークルームで伝えた服とユノが見た服が一致していた、というのが今のところ一番違和感がない。

またこのシーンがデートシーンの直前に挟まれるということは、通学ではなくデートの待ち合わせ場所へ行く途中のシーンであるような気はする。確証はない。
ちなみにこの男性は1~4のどの相手なのだろうか。服装の一致で考えるなら2なのだが…

⑦最後の螺旋階段シーン

前のシーンで階段が融合していたため、アレの後。
2番の時点で力強く歩く意志がだいぶなくなっていたが、もはや直立・座るのダブルコンボ。表情は2番のような力なさではなく、完全に無。
今まで階段上にいるとき手には何も持っていなかったが、今回は件のインサイダーバルーンを持っている。直前のシーンで風船を割った(=殺人をした)はずなので持っているのは普通に考えるとおかしい。この部分が時系列変化を起こしているか、あるいはこの場面のインサイダーバルーンだけ別物を指している可能性がある。

出来事についてはおおむね分析できたが、そろそろユノの心情などを加味しないと判断できない謎が多く出てきたので、①④は残っているもののMV考察は一度切り上げてみる。

理性的で諦観した思考

【7/4 修正】
ユノは二周年アートワークやボイストレーラーの「めんどくさ…」という台詞、そしてMVで徐々に表れる無表情、歌詞に被った感情のなさそうな台詞など、コミュニケーション力が高くかわいらしい外面の裏の本音に無感情諦観や疲労が隠れているだろう表現が目立つ。
殺人しているときの感情もアートワークやボイストレーラーを見る限り何も考えていない、あるいはめんどくさそうなもののため一見凶悪な人間に見えがちだが、ユノの場合ボイスドラマ「相対零度」が最も彼女の心理が分かる判断材料と考える。

ユノはハルカと大きく違い、基本的にエスの言葉をきちんと聞いて楽しい会話も嫌悪の感情も冷静に返すことができている。
さらにエスを自分のペースに巻き込みつつすぐに人となりを把握してハルカの時のように激高はさせないなど、プロフィールで「軋轢を産まない器用さ」があると言われているのも納得なほどにコミュニケーション力が高かった
また周囲の人間を観察することも得意で、なおかつ好きとも言っている。
尋問で最近面白いことはあったかと聞かれたとき、他の囚人のパーソナリティーをよく見た回答を二つもしていたのが興味深い。

なおマヒル・フータ・アマネの考察の内容にピッタリ。
他のキャラを考察する際も、実はユノ視点の分析が非常に役に立つ。相手を判断するのにほとんど価値観を混ぜないキャラは非常に珍しい。時点で役立つ目線はシドウ。

MVでは多くの男性に大量の贈り物をされているようだったが、美貌以外にもトークセンスや相手を観察して臨機応変に対応する能力がこれほどあれば、好きになる男性は相当多いだろう。

さらに驚くのは、彼女は完全に無考えに援助交際やヒトゴロシを行い、そのことについてどうとも思っていないわけではなく、世間に対して言葉にできるほど明確な思想を持ち、それを踏まえて自分の結論を出せるような理性がある。
エスからは「頭がいい」とまで評されており(本人は買いかぶりだと言っているが)、同時に「自分にも人間にも社会にも諦観している」とも評されている。

彼女はミルグラムに来た時も最初から楽し気かつマイペースに暮らしているが、これもエスが一方的に干渉してくる裁定者であることを予め聞いていて、それではこちらがどう体面を繕ってもどうしようもないから普段通り楽しく過ごしている、という理由があるという。
そもそもユノは他人が自分に勝手に裁定を下す事、さらにいえば他人が自己の納得のために無関係の人間に干渉・批判してくること全般が嫌いだという。
(この時日本は法治国家であることや不倫や不適切発言をした人を同調した人を含めて叩くキリのない社会傾向などにまで触れており、ユノが社会事象に思った以上に強く意見を持っていることが個人的に衝撃だった)
ボイスドラマの「それってまs…」は、「…自分が気持ちよくなりたいだけじゃん?」と同義のことを言おうとしている。分からなかったらそのままのあなたでいてください。

それが嫌な理由としては「その人たちは結局何もしてくれないから」。さらに小さめの声で「私がどんなに寒い思いをしてもあっためてくれない人たち」と言っている。最も感情を込めた台詞でもあることから、これこそがユノの心情の最もキーに当たる部分と思われる。

【7/4 追記】
二審で実際に説教を受けた際の反論台詞が登場した。

自分では完璧に聞き取れなかったので他の方々が聞き取ったものを参考に書く。
そういうお説教いらないんですよね。結局恋人として(不明)距離って(不明)ですか。それ以上気持ちよくなりたいんですか?

ミルグラム内の台詞だと「恋人」「距離」というフレーズがおかしいので、実際に援助交際していた際の台詞だと考えている。
何を言われたかは不明だが説教じみたものなことは確定。予想だと、アレした後に「若いのにアレなんてしちゃだめだよ」「体を大事にしないと」といった、アレをやめることを推奨するような精神論話か?

「寒さ」


温度についてはユノが各所で口にしているワード。
尋問で「一番怖いものは?」と聞かれたときも「寒さ」と答えている。この「寒さ」は実際の温度の話ではないはず。
アンビリカルの歌詞中にも温度に関わる表現は「ひとりぼっち 去っていく温度」などのようなものがある。ユノの言う温度は誰かといると温まるもので、孤独になると冷めるものらしい。

ボイスドラマのラストでも「ちょっとだけあったかいなぁ」という台詞を言う。これはエスがユノの取り繕わない本心もそれに至るまでの過程も出来事の真実も全て暴いた上でお前を身勝手に裁くと言われた際の反応。
ユノは他人に己のエゴのために裁かれるのが嫌いだったはずだが、自分の本心に向き合ってくれることは「あったかい」のだという。
ユノは外面とはかけ離れた本心を持っていながら、そこに向き合われることは嬉しいものらしい。「自分のしたことを知ったら…!」と怯えていたハルカとは真逆の思考だ。

彼女は「ひとりぼっち」の時寂しくて寒い思いをしていたが、「ふたりぼっち」のときは逆算すれば温かいと思っていたということになる。
しかし何かしらが原因で全てに諦観するようになってもいる。単純な話ではない。これは何故か、一部歌詞を整理しつつ援助交際中のユノの心情の流れを見てみたい。
一部英語字幕を出しての翻訳行為や、さかのぼってMVの残りの考察も行う。

何を知ってしまった?


「やっちゃったんだ」
→「I messed up.」
訳「(ひどく)やらかしてしまった。」

「知っちゃったんだ」
→「I found out.」
訳「突き止めてしまった。」

!?

英訳したらアレでも認知でもないけど!?
mess upとfind outのスラング的意味も含めいろいろと探してみたがセンシティブな意味合いは見つからなかった。mess upはやらかした、台無しにした、めちゃくちゃになったという意味で、find outは見つけた、解明した、突き止めたという意味。前提にしていたものとだいぶ違う。英訳してよかった…!!(ダブルミーニングでアレと認知がある可能性は一応捨てきれないが)この歌詞が差しているものは異なる出来事の可能性が浮上した。
念のため他の歌詞も見ながら考える。ユノは何を知ったのか?

MVの話に戻るが、ユノは援助交際を行いながらも本気である男性に惚れ込む好意を持つような様子を見せていた。
そこまではよかったが、それを契機に笑顔を見せなくなった。以下の歌詞を見てみる。

「どんなあたしなら~たぶん無理だから」
→英訳だと「どんなタイプの子が好きですか」という内容になる。
人に合わせた服装選びやコミュニケーションをできているはずなのにこの発言をするということは、素では好まれるものと同じタイプにはなれそうにない、だからせめて上辺で合わせる、という意味合いになるだろうか。
交際相手に愛してほしくて相手の好みに合うような自分を心掛けてはいるが、その精神的な労力が激しく、満たされはするものの疲れていった、という考え方ができるかもしれない。

【7/4 追記】
自分自身が冷酷な性格をしていると自覚しているので、本心から相手の望み通りの人間になれない、ということも言っていそう。


援助交際について調べると、女性との関係に慣れてくればくるほどより上の関係やサービス(要するにいかがわしい行為)を求めて来る男性がいるらしい。そういうものにも上辺だけでも愛想よく対応していったら疲弊もするだろう。しかし愛情は欲しいためなんとか余力を補強して次に挑む、これが「優しさをリロードしよう」の正体なのでは。

援助交際について調べまくったら広告が援助交際まみれになってビビった。アプリにトラッキングしないようにとか色々してなんとかなった。ユノ貴様…!!(逆恨み)

家庭環境が劣悪だから援助交際をするとは限らない


そろそろユノの感情の核心に迫りたい。
援助交際について無知の状態のままユノが一連の行為をした理由について考えると、ハルカの件もあってどうしてもユノの家庭環境に大きな問題があった可能性を考えてしまう。
しかし、ユノは家族に対してはまっとうな信頼や好意がおそらくある
尋問でも家族に対しては好きと回答し、今会いたい人にも家族を選択。ボイスドラマでもこの環境を楽しんでいると言いつつ唯一の気がかりな点として「家族がどうしてるか」を挙げていた。
それでも何かあるかもしれないじゃん…とはなるかもしれないが、当記事では全く言及がなかったらそれは完全に無いのだというスタンスで行く
家族構成も母親と弟、さらには祖父母とも同居しているらしく基本的に賑やかで温かい所で過ごしている雰囲気を感じる。

【7/4 追記】
そもそも家族というのはユノにとって唯一気を遣わなくていい場所の可能性がある。それは大切な場所だろう。


…あれ父親は?

これも尋問で述べているが、ユノには父親だけがいない
唯一分かる情報は「物心ついた頃からいなかった」というもので、離婚か死別かは不明。
父親がいないことで家庭環境があれたかどうかは一切言及がないのでなにもないものとして考察はしないが、父親がいない「だけ」でもユノのような愛情飢餓に陥る可能性があると考える説もあるようである。

一方, 父性ということについてはどのように定義できるであろうか。河合は母性原理が「包みこむ」機能であるのに対し, 父性原理は「切る」機能であると捉えている(河合;1989)。また望月は, 母性原理が子どもを分け隔てなく温かい愛情で包み込み保護する働きかけであるのに対し, 父性原理とは人間としてはなければならないことは何か, してはならないことは何かなどの是非善悪の区別ができるように教える働きかけであるとしている(望月;1996)。す
なわち, 母性原理は, 子ども(人間) が生命を維持できるよう等しく愛護するという機能であるが, 単に愛護するだけではなく, 社会的人間としての訓練の機能が父性原理だという。

立正大学社会福祉研究所年報第8号(2006) 75~87
家族社会学からみた「母性」「父性」
森下陽美

(※これは当時広まっていた家族観という話にもつながるため、この機能が絶対的に正しいというものではない)

また、父親が存在しない家庭環境で起こりうる父性性の未成長についてはこのような一説も見つかる。

(第2項と5項のみ考察に利用しております)

これは検索して出てくる程度の情報に基づいたもので、なおかつMILGRAMの登場人物が心理学に長けた山中氏によってかなりロジカルに作り上げられているということを推測したうえで行っている。
精神疾患について完璧に理解したり、現実における家庭環境と精神疾患をイコールで結びつけるものではない。
この話題や結論を現実に適用することは絶対にやめてください。

ユノには断言できるレベルでの強烈な環境の悪さが見られない。とすると、父親が幼いころからいなかったことが自身の中の男性観の未発達に繋がり、ひいては潜在的で永続的な寂しさに繋がり、常に男性と強い関係を持たずにはいられなくなったという可能性がある。
また、援助交際はコミュニケーション力が高かったり高次の要求を満たしたりするようにしていると金銭面も潤い、またMVのように贈り物もされるっことがあるようである。しかし引用した説を参考にするなら、それも寂しいという心の穴を物品で埋めようとしている(実際には埋まらない)のかもしれない。
母子家庭だと必ずこうなるというわけでは決してない。ユノに限ってそうかもしれないという一説になる。

今回は具体的な疾患名などを挙げられたわけではなかったが、傾向については把握できたと思われる。そのうえで再度MVと精査していく。

④自室のシーン

スマホ画面の中身は通知のついた部分も含めて②と完全に一致。
ここはあまり意味の根拠を見つけることができなかったが、歌詞と合わせて前後の流れを見るなら「優しさをリロード」してこれから待ち合わせ場所に行くことの疲れ、めんどくささを感じるような場面だろうか。

③⑤(再考察)

左上の三つのハート

デートシーンの時、外枠に三つのハートが並んでいる。
これは服装に振り分けた番号でいう2,3,4の時は赤く埋まっているのに対し、1は1番でも2番でも空である。

2がデートでしたことはぬいぐるみや食べ物・プレゼントの贈呈。3はスカイツリーの入場券とレストランでの食事の提供。4はドライブを助手席側でさせてもらう(鞄も貰いものだろうか)。基本的に男性側がユノになにか「してあげている」。
しかし1は出来事がカラオケのみ。奉仕的行為はどこにもない。

・ユノの気持ちが満たされていない説
先ほどの説を導入して考えるなら、物品などもユノの渇愛を(表面的・一時的ではあるが)満たすものである。それがないとユノの気持ちも冷めていってしまうのか?
・相手の気持ちが冷めている説
このシーンはすべて男性視点のため、枠外がカメラの外枠のようなものと考えるなら相手の気持ちが表示されているとも考えられる。
そうなるとユノにそこまで想いを抱いていないから軽めの付き合いしかしていないのだろうか。

二説ほど思いついたが、ユノは愛情飢餓状態にありそもそも冷めた相手だろうがコミュ力を生かして接近していき好意をもらいに行こうとするタイプに見える。しかし「どんなあたしなら君は好きですか」にあるように相手の思いに添えない部分が現れ、そういうことに疲弊していくのだと思う。と考えると後者の「相手の気持ちが冷めている説」を導入すべきか。
このカラオケシーンで流れている曲は「おじゃま虫」。これは求愛(しかもセンシティブ行為も含む)の曲で、これを男性に歌わせている(マイクをカメラ側に向けている)ということは相手に自分をこれほど思ってほしいと求めていると考えられる。しかしそうはいかない現実に精神が疲弊していき、あの螺旋階段の表情になる。
デートシーンをくり返すだけなら1番と同様に1,2,3,4の順にシーンを起こせばいいのにわざわざ2,4,3,1に変更しているのにも意味はあると思う。これは次に会うまでのラグを示しているかもしれない。

【7/4 修正】
ユノは確かに他者に愛してほしいが、しかしそのために他者を知るほどがっかりし、諦観していく存在でもある。そんなに純粋に他者を愛せる人間ではない。
なので改めて考察すると「ユノの気持ちが冷めている説」の方が正しい気がする。

ユノは常に分析的なので、相手に合わせた自分を演じつつ相手の気が良くなるような行為に及んでいるうちに、「こんなことが好きな人間なんだ」「くだらな…」と思い始める。その気持ちの冷めがハートマークに現れているかも。

改めて「やっちゃった」「知っちゃった」とは何か。
この言葉を機に、ユノと相手との関係は「好き」のリンクから「」のリンクに変化している。
このことから推測するが、相手がユノに求めていることが何なのか、ユノは気付いてしまったのではないだろうか

「mess up」と訳されるような出来事としては、「相手が自分に体の関係を求めている」か「相手が堕胎を望んでいる」のどちらかと考える。
どちらもありそうだが、私は「相手が堕胎を望んでいる」説のほうがより近いと考えている。
というのも、彼女は相手から愛を受け取ることができればたとえ疲弊してもまだ比較的よかったのだと思う。援助交際から実際の交際に移行する例も実在するようで、それならまだ(ユノの価値観としては)報われたのかもしれない。
前者と後者は絶対にどちらも発生している。なぜなら後者は確実に発生した出来事=ヒトゴロシであり、後者は前者なしでは決して起こらない出来事、つまり前者も確実に発生しているからである。
となるとより衝撃的な出来事、かつ殺人に及ぶような出来事は後者(=相手が堕胎を望んでいる)のはずである。

そもそも、肉体関係は「やっちゃったんだ」の前から起こしていると思う。
MVは一応無視して、アンビリカルは歌詞だけ見ると「やっちゃったんだ」を契機に「好き」が「欲」になることから、時系列を前後に二分できる。
前の時点で「明日って休みだっけ?~何度だって会いたくなるよね」という歌詞があり、男性と一夜を共にしたと考えられる。「おやすみ」の部分でユノの低めのボイスで台詞が重なるが、これも肉体関係を彷彿させるようなものに聞こえる。

【7/4】
「うっかり妊娠してしまった」の方がしっくりくると思えてきた。
まず「messed up」が「取り返しのつかないことになった」「やらかした」というニュアンスだが、これは自発的に何かやらかしたというニュアンス。相手が何かしたということではないのかもしれない。
しかし前述したように、アレ自体はとっくにしている。なのでそれ以外のやらかしかつ「欲と欲がリンクする」原因があるとしたら「うっかり妊娠してしまった」がしっくりくる。


「ダメなのかな?」
→「Am I a bad girl?」
訳「私は悪い女の子かな?」
この歌詞もそういうことだろうか。
堕胎までしてまだ同じことをくり返そうとして、しかも偽りの自分を演じ続けて私は悪い女の子かな?という意味では。

「噛み合って 与えあって」
→「Play-biting each other, Warmth-giving each other」
訳はほぼそのまま。
しかし調べたところPlay-bitingという単語は実在し、「甘噛み」を指すらしい。そうなるとこれもアレ関係の歌詞に見える。

相手の望みに答えれば物質的にも精神的にも愛を得られるから相手の好みに合わせ続けて要求にも応え続けてきた、だから肉体関係の要求にも応えた。
しかし相手は「子供は作りたくない、おろしてくれ」と要求してきた。愛情にはひどく飢えているが法治のメリットも理解しているユノは、さすがになにか思うことがあったかもしれない。それはまさに「mess up(=取り返しのつかないことになる)」だろう。
それでも、そうしなければ相手に見限られると考えてしまうユノはやがて考えることを諦め、子供をおろす。
たとえ肉体関係でも「好き」が含まれその先をイメージしたものと、それすら失せてしまった「欲」とは大きな違いがある、と考えていいだろうか。

もしくは「やっちゃった」「知っちゃった」をダブルミーニングと考え、前者と後者の両方と捉えることも可能。
相手に合わせようと努力したのに全く惹きつけることができず、その理由を探ったところ自分の肉体にしか興味がなかった、最初から他はどうでもよくてユノ本人など見てはいなかった、という説も同じくらいある

【7/4 追記】
結局肉体関係で喜ぶんじゃん、という呆れはあったと思う。だがユノも生来温もりを求めずにはいられない。相手にも自分にもがっかりし続ける。

しかし⑦において結局相手とユノは関係が終わる。融合した螺旋階段が壊れるのである。

(ラストサビ)「ダメなのかな?」
→「Are we over?」
訳「(私たちの関係は)終わりなの?」

ここまで奉仕を続けても相手の愛は得られなかった。ユノからしたら足場を失い落下していくほどの絶望に当たると思う。

【7/4 追記】
散々アレに及んだというのに、二審トレーラーのように後から余計なお世話の叱責をされる。内容は「体を大事にした方がいい」「やめたほうがいい」などを予想。
肉体関係に及ぶほどの近さを求めたと思えば、今度はやめようと言い出す。相手の思惑は支離滅裂。ユノのことは無視して自分が精神的に気持ちよくなりたいだけ。
相手はユノとの関係を切ってきたが、ユノもまた相手への気持ちが完全に冷め切った。だからあの階段の無表情、という予想を立てる。

しかしユノは父性性の影響で、異性のぬくもりを渇望してしまう。だから足場が壊れると生きていけないし寒いのだ。

MVでは新しい白い風船につかまることで安全に着地し、次の螺旋階段(=他の男性。3つあり、4人いたうちの残り3人と考えられる)を目指していく。
曲がループしてフェードアウトしていくが、ユノの行為もループしていくだろう。①に戻るのである。
ただし完全に戻るのではなく、今度は世の中の真実他者や世間や自分の醜さに気づき、すべてに諦観した状態で。

彼女の他人への感情の核は次の歌詞中にある。

・「なんか変だよね まだ慣れないな 君のことが気になっちゃってる 誰にも内緒ね」
・「なんでいるのかな 少し嫌になる 上手く笑えなくなっちゃったの 君のせいだから」

これはどちらも男性への言葉
前者は相手の愛情が欲しいという根源の思い、あるいは相手へ実際にかける言葉。
後者はそれと同時に、相手に合わせなければ期待に答えなければつまらない相手に愛想を振りまくのが面倒くさいというストレスによる、本心の感情。
この二つは両立しうるものである

「これだって君にとって幸せって言える答えでしょ?」
→「Even this makes you happy right? I know you will respond that way.」
訳:これでさえあなたは幸せになるでしょう? そう言ってくれるだろうって知ってる。」
こうすれば幸せだよね?と明るく言いつつ、裏に冷めた台詞が被る場面。相手の要求にうまく応えつつそんな様子に自分で冷めている様子が伺える。
【7/4 追記】
はいはいこうすれば満足するんでしょ?の表れもある。

ユノは尋問で理想のデートについて「逆に公園とかがいい」と答えている。
また趣味に援助交際の類を挙げておらず、友人との買い物・演劇部の部活動などMVに一度も出てこなかったものばかりである。
援助交際中彼女の本当の好みなどはほとんど出ていないかもしれない

相互Aさんとこういったことについて話していて、「簡単な計算問題を延々と解いてる感じ」とその苦しさを例えてもらった。
ヒトゴロシに共感できなくても、相手に応えるために振る舞いも言動も一つもミスしないように…と気を遣い続けることは、たとえ相手が好きであっても疲れる、というのは経験がある人がいるのではないだろうか。社会の中でコミュニケーションを得意として暮らしている人ならなおさら。
ユノの苦しみは人間社会全体になかなか通ずる苦しみなのではないか。

罪の意識


先に明言すると、ユノが犯した殺人は「一件」のみ(ボイスドラマより)。
嘘をついている可能性はないと考えたい。というのも、ユノは尋問前の時点でミルグラムのシステムについてはきちんと聞いて理解をしているし、だから取り繕っても意味がないとミルグラムでもマイペースに楽しんでいる。今更物を隠してもいい子ぶってもメリットがないと分かっているユノが改めて嘘をつく理由は薄い。
ユノは無表情でめんどくさそうに殺人をしている、ということは今までも説明してきたが、そのためにユノは自分のしたことについて一切反省していない、とおそらく考えられやすいと思う。本当にそれだけの問題だろうか。

ユノは堕胎について「何とも思っていない」のではなく「考えるのを諦めた」が正しいはず。近いようで大きな違い。
自分の罪についてボイスドラマで聞かれた際、「赦されるべきものかどうかわかんない」「考えるのめんどくさい」「罪の意識について考えるのもやめた」と、むしろ判断をしていない。
これも先ほど考察したように、寒いとまで例えるほどの愛情飢餓状態をなんとかするには考えている場合じゃなかった、と考えると納得できる。

【7/4 追記】
そもそも他者の単純さに失望したユノは、人間をまともな価値で見れていない。というかいちいち見るのもめんどくさい。
そんな彼女は新しい命すらろくな価値で見れていなかった、見る気もしなかったかもしれない。だからあっさり降ろした。

そして特に判決にこだわりもない。「赦さないなら赦さないでいい」「必死で謝ってまでは別に赦されなくていい」「自分のしたいことをした結果」という言葉から伺える。相手から裁定されることについても拒む気力もなさそうである。
ユノは感情がないのではなく、疲弊して諦めている。そしてこの罪の意識に向き合わせるには、彼女の心の内にある人間への諦めという感情が枷になる。

MILGRAMが二審でどのように変化を起こすかはまだ分かっていない。
そのうえで現時点でわかることだけで判断するのなら、ユノにとってはMILGRAMで裁定された方がいいのではないか、と思えてくる。

「寒さ」の項でも説明したが、ユノはエスに本心や真実を暴かれ身勝手に裁定されることについて「あったかい」と感じている。「あったかい」は言うまでもなく彼女にとって救いになっているということである。
散々本心を隠してコミュニケーションを続けることで疲れ果て諦観するに至った彼女にとってMILGRAMというシステムは、ユノを赦そうが赦すまいが、ユノの取り繕わない心と向き合ったうえで判決を下すという意味では、ユノにとって救いなのかもしれない
裁くという手段は必ずしも良いものなのだろうかと全体的に思っているが(フータ、コトコを筆頭に全体的に)、ユノについては、むしろどんな結論に至っても積極的に視聴者の判断を伝えたほうがユノのためになるかもしれない。

しかし、彼女を掘り下げるなら徹底的でなければならない。
なぜなら生半可な考察による裁定こそ、まさにユノが大嫌いな「他人が自己の納得のために無関係の人間に干渉・批判してくること」にあたるからである。

【7/4 追記】消せない期待


ここまで人間すべてにがっかりしているユノだが、それでも他者に対して愛想を振りまくことも、援助交際もやめない。
それは本能的に男性の温もりが足りないというのもだが、奥底で人間に期待するのを止められないからと考える。

ユノががっかりしているのは人間の単純さ、わかりやすさ。ユノは人間を分析する癖があり、すると相手が何をすれば喜ぶかわかってしまう。そしてその通りにすれば相手はあっさり喜ぶ。本質的な愛はそこにない。ユノからしたら単純すぎてくだらない。

しかし、そんなユノの予想を裏切る人が現れたら、きっとユノの世界は大きく変わる。
口だけでなく心からユノに寄り添って危険から守ってくれる人、損得勘定以外でユノにアプローチしてくれる人、そしてユノの諦めきった本心を明かし、そんなユノごと評価してくれる人。そういう人間をユノはどうしても待ってしまう。
しかしそんな人間はなかなか現れてくれない。そんなギャンブルのために現状を手放すこともできない。手放したら寒いから。

改めて、エス及び私たちにはユノの本心を明かす重要な役割がある。
ユノはボイスドラマの最後でエスにわずかに期待をしてくれた。罪を裁きたいという人にとっても、ユノを助けたいという人にとっても、これはせっかくこちらに期待をしてくれたユノに対する必要事項であり、礼儀だと思う

「渇愛」ペア、ハルカ&ユノ


ユノの感情の流れについては整理できたと思う。
最後に、ユノをハルカと対比してみたい。

「弱肉共食記事」で私は全楽曲に通ずるルールを推測して箇条書きにしていた。その中にこういったルールを書いている。

  • 隣り合ったキャラはペアであり、このペアは罪状やテーマなどが非常に似通っている(1,2:渇愛 3,4:いじめ 5,6:奉仕 7,8:外面 9,10:発散)。こういった大まかなテーマ以外にも、非常に多くの場所に類似・あるいは対比が見つかる

このルールはフータとムウ、カズイとアマネを見て確信したものなので、この四者の考察記事のどこかで改めて解説をしたい。

ハルカとユノは一見全く異なる社会に身を置いて生きてきた囚人だが、様々な点において類似・対比が見受けられる。この比較は二人の環境や価値観を再検討したり整理したりするのに役立つ。

【7/4 修正】

相手を視線でしか見ていないハルカ、人間観察を怠らないユノ。
人間と交流がなさすぎるハルカ、複数の人間と極度に交流するユノ。
家族及び弟との関係が劣悪なハルカ、逆にほぼ良好なユノ。
衝動的がゆえに幼いハルカ、理性的がゆえに諦観したユノ。
自分を知られることが怖いハルカと、自分自身を知ってほしいユノ。
母性に飢えたハルカと父性に飢えたユノ。
あらゆる人間を見上げるハルカ、あらゆる人間を見下すユノ。

共通点もある。
どちらも愛に非常に飢えている。
切羽詰まった故にヒトゴロシに及んでいる。
最終的にどうすれば愛を得られるか知ってしまった。
しかしその愛は偽りのものである。
本心から相手に想われたことがない。
しかしその状況に落ち着いたままでいる。
自分で自分の犯した罪について判断するのをやめている。
こんな自分が嫌いだが、受け止めてくれる人を求めてやまない。

どちらも愛を求めてその過程で罪を犯した人間だが、軽く探しても細部にこれほどの対比があるのは非常に面白い。

その他考察

アンビリカルとは

へその緒はユノのヒトゴロシ内容を思い出すし、へその緒で繋がれたような密接な関係というものも男女関係を思い出す。
また、繋がっていなければ栄養供給されないという状態もユノの状況に似ている。

相対零度とは

ドラマCDのタイトル。正直言語化するのが難しかった。
絶対零度は0K、摂氏温度における零下273.15℃。相対ということは、具体的な指標はないが何かと比較して零度ということになりそう。寒さを主張していたユノには強く関連があると思われる。
これは「他人が人を裁くことはできない」「あたしが寒くても助けてくれないくせに」というドラマCD内でのユノの主たる主張を指しているように見える。
他人はユノの寒さを理解しない、あるいは適当に判断したうえで叱責をしてくる。そういった他者が勝手に決めつけて来るユノの苦しみの度合いを意味しているのか、あるいは相手の愛があるかどうかで決まってしまうユノの苦しさを意味しているのか?

花言葉

キャラクターの誕生日と花言葉は意図として設定されているということを、「弱肉共食」の記事の際に山中さんの発言を見つけて確定させている。

ユノの誕生日:9月2日
誕生花:チューベローズ
チューベローズの花言葉:「危険な快楽」

ユノ自身はコサージュの類を身につけていないが、ケーキの上に花のようなものが散っている。6枚の花弁がある小さい花とみるならたしかにチューベローズに見える。チューベローズにはピンク色の種もあるらしい。他の誕生花も確認したが、この形にはほとんど似ていなかった。

このバースデーイラストはMVで出てきた内容をハルカの時より強く反映している。階段状の配置も螺旋階段意識で、風船とハートのモチーフもMVに用いられた婉曲表現と全く一緒。

苗字・名前

前回の記事でキャラクターの苗字には必ず樹木名が入っていてさらに神話と関係がある可能性があると説明したが、その可能性を探っている理由がまさにユノのせいである。
ユノの名前の正式表記は「樫木優乃」。使われている樹木は
ところでユノに非常に名前の近しい神がいる。

女神ユーノーである。ローマ神話の主神ユーピテルの妻にしてローマ最大の女神で、結婚や出産を司る。日本語ではユノー、ユノと呼称されることもある。
そしてユーノーとユーピテルは樫の木(ナラの木)を聖木としたり、また樫と同一視されることがあるという

戦争においては、特にユーピテル・フェレトリウスという呼称で一騎討ちを守護する神として崇敬され、一騎討ちで敵の将軍を破ったローマの将軍は、スポリア・オピーマという敵の将軍の鎧を樫の木に縛った勲章をユーピテルに奉献した。

ユーピテル - Wikipedia

雷神の武器に使用されたりギリシャ神話の最高神ゼウスの聖木でもあったりと、様々な神話で重要視される樫の木。ユーピテルとユーノーにも強い関係がある。これはさすがに意図してると思いたいが…。

(てか未来日記履修してたらこの名前に秒でピンと来るはず。主人公の天野幸輝の名前の由来はユーピテル、ヒロインの我妻由乃の由来はユーノーである)

ここまでまるで計算されたかのような名前をしていて何も考えていない(特に下の名前)なんて信じられないほどだが、先に行ってしまうとフータ以降の名前のギミックが一切見つけられていない。なのでハルカ・ユノの名前の由来の可能性については現時点ではまだ単体の扱いをしたいと思う。

婉曲表現の正体(まとめ)

  • 螺旋階段:DNA、交際過程、ある人間の日々

  • 白い風船:精(自主規制)、依存

  • インサイダバルーン:心臓、胎内、胎児、精神的圧迫感

  • ハート:相手への好意

疑問点

・相手は何番の相手?
個人的には1か2と考えているが、根拠はない。
1だとすれば合うスパンが短く、あまり物の贈り合いなどもない。相手が冷めている可能性も高く、ユノがどれだけ奉仕してもうまくいかないという気持ちに合っている。
2だと②のシーンでユノが制服を着ていた流れや制服姿二番目の螺旋階段シーンに制服姿のユノがおらずその後「やっちゃったんだ」のシーンに移行する流れ、最後の螺旋階段シーンに制服姿のユノしかいなかった流れの理由にうまくつなげることができる。⑤で会う順番が最も早かったのも2。

・最後の螺旋階段で制服しか着ていなかったのは何故?
先述したように相手が2だったか、あるいは相手がどうせ自分に肉体関係しか望んでいないのだから取り繕う必要がないと気づき、同じ服装でばかり望むようになったという推測もできる。しかし言い切るには根拠が足りない。

・アンダーカバーのラストサビ前のシーンは何?

階段の手すりに肘をついている。
空を眺めるような姿勢で、自殺目的ではないはず

正直ほとんど見当がついていない。階段と言えばMVにも螺旋階段が出てきたので、相手の家や待ち合わせ場所などに向かう際に実際にも階段を利用していたのだろうか?

【7/4 追記】

アンダーカバーで自身のプロフィールカード?を掲げているパートが全員にある。
右部分に写真があるが、これは全員自身に関わる実在する場所を取られている可能性がある。
殺人した場所という可能性もあるが、断定には至っていない)

ユノはアパートが写る。
階段もアパートのものと考えやすい。となると、援助交際をした相手の家の階段か?

青空と雲が気になるが、CDジャケットにも雲のモチーフが使用されている。

MVに雲が出てきているシーンはデートシーンのうち1-3と1-4でそこまで印象的には感じなかったが…。単純に相手と過ごした時間の描写だろうか?
少し関係ないが、雲が入道雲である。ユノの制服が夏服なこともあってアンビリカルの出来事の時期はかもしれない。
一方囚人服の下に着ている服は丈が長い。冬服あるいは秋服?

【7/4 追記】
ユノは自身の年齢を18歳と言っているので、誕生日である9月2日以降晩夏という考えは妥当っぽい。

・今まで買った一番高価なものがぬいぐるみ?
さすがにもっと高いもの買ってるだろ…と思った。しかし「買った」であって「買ってもらった」を加えないならその可能性もあるかもしれない。
しかし男性の螺旋階段にも贈り物がある。男性にもそれなりに物を買っているはずでは? ユノがこの発言をする前「なに買ったっけ?」と言っているので、自分のしたことや相手へしたことについて感情が希薄である可能性も一応考えられなくはない。

・なぜ「やっちゃった」のとき笑ってた?
「知っちゃったんだ」の歌詞の後ユノの笑い声のようなものが小さく聞こえる部分がラストサビ前に3回ある。自嘲あるいは衝撃的な出来事に対する反射的な乾いた笑いかもしれないと思ったが、ボイストレーラーの台詞が「めんどくさ…」だったのもあってまだ悩みどころ。
またこの笑い声はヘッドホンをしていると左右で聞こえるものが違う。左は笑い声が多めだが、左はどちらかというとため息。これも外面と本音の差だったら面白い。これも根拠なし。

【7/4 追記】
他者への呆れと自らへの呆れでいいと思う。

まとめ


確かにハルカより理不尽ではありませんが、心情のメカニズム把握には相当苦戦させられました。無理ではないですがかなり複雑ということでステータスにおいて☆4をつけています。しかし結局約21,000字…。

婉曲表現・殺害方法・殺害対象が言うまでもないほど明瞭だったおかげで繋げる形の推理を何とか出来たという形。難しかったですが楽しかったです。

【7/4 追記】
これだけ考察しておいて全くもって不十分でした。
特にユノが「愛を求めるのに必死だった」「相手に愛されるためならなんだってできた」は擦り合わせていった結果間違いだと思ったので全て修正しました。正しくは「簡単に手籠めにできる他者くだらないし、手籠めにする自分もしょうもない」。

それと前回の記事で裁定はしないと言っていましたが、ユノについては裁定した方が彼女のためになると(私の考察では)判断したため、今回だけ自分なりの裁定をしてみます。

はっきり言って簡単に赦すのは難しそうです。
ここまでの考察において、彼女が産まれる前の子供を明確に意思を以って殺したことについてほぼ議論していません。
もちろん中絶行為には様々な理由がありそれらすべてを否定したり結論を出したりすることは絶対にできないし、してはならないです。なのであくまでユノというキャラクター限定の話になりますが、ユノは「やりたいことをやった結果」の殺人だと冷静に自認していて、実際こうなることが分かっていて事に及んでいます。この事実はなかったことにはできません。

ですがただ罰することもしたくないかなという考えはあります。
あれほど理性的な行動ができているユノでも、あるいはだからこそ長らく追い詰められ、18歳とは思えないほどの諦観をするに至った悲劇があります。それによって一般的な愛情に対する思考が失われていくのは正直仕方のないこと、どうしようもなかったことに思えます。

【7/4 追記】
周囲の気持ちが分かりやすいタイプの人間というのはいると思います。そういう人間はただ生きているだけで疲れていき、社会そのものに冷めて生きがちです。マヒルと真逆。
それってどうしようもないことじゃないですか。
ただユノには生来世界がそう見えるだけで、何かやらかそうとしているわけじゃない、でもどんどん傷付いてしまう、そういう生き方しかできないだけだと思っています。
そういうユノみたいな人が、人を人とも思えなくなる前に安心できる場所を用意してあげられないだろうか、とどうしても思います。だからやっぱり見捨てる結論は出せておりません。

たぶんユノにとってマヒルはめちゃめちゃ眩しいと思います。人に価値観押し付ける奴…という相変わらずの見下しもあると思いますが、でも心の底から相手を想って平等に愛を振りまける人間、ユノはちょっと羨ましいんじゃないかなというほんの予想です。違ったらすみません。


罰の手段を選択できるなら彼女の父性性が満たされるか、彼女の本心に真っ向から向き合い、さらにユノを危険から常に守ってくれるようなパートナーあるいは相手が見つかり、ユノの愛情飢餓状態が回復してもう少しきちんとした判断ができて期待できる人間に心を預けられるようになってからにしてほしいです。
そもそも自分が好きではないせいで自分の体を大切にできないし、それを叱責されても嫌がるだけのユノがすぐに意識を変えられるとは思いません。このまま赦せば第二の殺人が起こりうるし、赦さなくても理不尽です。

だから「いったん」赦したいかなあ…という判断です。
なんで二択なんだ…(そういうコンテンツだからだよ)

前も言いましたがMILGRAMで下手に裁定すると自分の価値観がボロボロと露出するのでマジで怖いです。やりたくない…。
今回行った裁定も自分の価値観についてはなるべく言及しないようにしています…。みんなも 気を付けた ほうが いい よ

最後に。
ユノのことがこんなに好きになると思わなかったです。
第一印象が冷たくて命の重さを全然考えてない裏表あるヤツっていうあまりよくないものだったのですが、ドラマCDを見てから思いっきりV字回復してしまいました…。
MILGRAMには頑固で価値観が凝り固まっていて話が通じない人が非常に多いのですが、ユノはその中でもいい意味でも悪い意味でも非常に理性的で、外面だけではなく真に迫ってもかなり話が通じる相手です。
強い価値観はありますが、相手の気持ちを最初から聞こうとしない相手ではありません。それが自分を追い詰めているわけでもありますが…。
もちろん彼女の心を癒せる存在は少ないですが…。エスのように責任を持って本心に迫ろうとしてくる相手か、プロのカウンセラーといったところでしょうか。

それに、彼女の意味を持って真剣にふざける生き方も好きです。
少し似ているなあと思ったのはスーパーダンガンロンパ2の澪田唯吹の生き方です。自分のことについてあまり話そうとしないところや他人に絶望しているところも似ているなと…。
悩みについても、ハルカと違った意味で現代社会にいくらでも存在するようなリアルさがあり、フィクションの人間でおさまりきらない厚みを持っていると思いました。

あと、ユノはヒトゴロシを除けばとても無害な存在なところも面白くて好きでした。
相手との軋轢を産まないように心掛け続けられる人って、少なくとも相手にとってはとっても優しい人なんじゃないかなとも考えられます。本音を言わなければそれは相手にとってそもそもないと同義って考え方もあると思います。そういう人間が生きづらい世の中なんだけど。
う~~ん、罰もあるべきだけど救いもあってほしいなあ…。
相坂さんがインタビュー記事で言ってたオールハッピーエンド創作が望まれる…。

気付けば結局字数約23,000字になってる(絶句)

【7/4 追記】
クッソ増えた。26,000字です。


ここまでお付き合い誠にありがとうございました!
次はフータの楽曲・事変上等です。字数減らしてけ~~!?

【NEXT】

【BACK】

【MILGRAMとつぜん考察】


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