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スポーツで笑顔をつくる! ~ いしかわUSICガールズ 能登七尾から元気を! ~
ISHIKAWA USIC Girls(いしかわUSICガールズ)
2023年に設立した中高生を対象とした女子野球チーム。2024年シーズンの活動を楽しみにしていた矢先に発生した能登半島地震。困難な状況から復活を目指すチームの取り組みを取材した。
■新シーズン直前の地震発生
「いしかわUSICガールズ」は石川県で初めての中高生を対象とした女子野球クラブ。石川県七尾市を活動拠点に昨年設立。13名の選手全員が能登に住む(七尾市、輪島市、能登町、羽咋市)。チームはシーズン開始に向け準備を進めていた。2024年1月1日、令和6年能登半島地震が発生。選手は全員無事だったが家が倒壊した選手が1名。仮設住宅が完成するまで埼玉県の母親の実家に避難することになった。地震でスポーツ環境が失われてしまった。学校再開の目途も立たず、断水が継続して日常の生活すら難しい環境。この状況でチームとして何ができるのか。
辛くもどかしい日々が始まった。
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USICベースボールアカデミー
アカデミーは野球スキルと人間力にフォーカスした取り組みを展開。代表の小杉啓介さんは七尾市出身で元高校球児。社会人野球に進みプロテストにチャレンジした経歴を持つ。現在は家業を継ぎながらUSICベースボールアカデミーを設立・運営。2023年には「いしかわUSICガールズ」を立ち上げて活動中。
「USIC」はラテン語の「体験・発見・創造」に由来
US(usus体験)Ⅰ(inventionis発見)Ⅽ(creaturae創造)
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■2024年1月1日・・・
いしかわUSICガールズは1月6日に七尾市の山王神社に集合して新シーズンの必勝祈願を行う予定だった。新メンバーも加わり戦力を整えて試合ができるワクワク感を胸に新年を迎えていた。
1月1日、令和6年能登半島地震が発生。一瞬にして日常生活やスポーツ環境などが失われた。
チームは余震が続く中で選手の安否確認を急いだ。幸い全員の無事を確認することができた。しかし選手の一人は家が倒壊。埼玉の母親の実家に一時避難することとなった。混乱の中でもう一人の選手が避難所でボランティア活動を開始。自身も被災者でありながら周りの被災者のために汗を流し始めた。
USICベースボールアカデミーの小杉啓介代表は「全員の無事が確認できた時は心から安堵しました。一方で家が倒壊して埼玉への一時避難を余儀なくされた選手には、早く石川に戻って生活できるように願うばかりです。そして避難所でボランティア活動する選手の姿を見たときは私が背中を押されたように感じました。選手たちとともに必ずグラウンドに戻ると心に誓った瞬間でした」と地震発生からの数日間を振り返った。
日常の生活やスポーツ環境を一瞬にして奪った能登半島地震。混乱の中でもこのピンチをチャンスに変えて成長した姿でグラウンドに戻る。小杉代表から復活への強い意志を感じた。
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■私たちに出来ることから!
小杉代表にその後の選手の様子を聞いた。
「選手は全員が能登半島で生活していました。 元日に起きた悲劇から時間だけがむなしく過ぎていきました。それでも選手たちは、それぞれの環境で立ち上がろうとしていました。全国の野球関係者の皆さんからも温かい応援メッセージが届きました。感謝しかありません。私たちは今できることを模索しました。そして同じように被災された方々に向けた『応援動画』を制作することにしました。選手たちが出し合った意見を動画という形にしました。チームの想いを込めて制作しました!」と話してくれた。
応援動画:「きっときっと明日はやって来る」
応援動画は「能登半島復活への覚悟!」が込められた内容になっていた。
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■スポーツdeスマイルイベント!
地震から2週間余り経過した1月16日・17日にUSICベースボールアカデミーは「スポーツdeスマイルイベント!」を開催。小学生から高校生を対象に「練習場所がない! 体を動かしたい! 仲間と集まりたい!」など 運動したい人なら誰でも参加できるイベント。使用可能な七尾市内の体育館を借りて、野球以外にも共通するトレーニングメニューを準備した。参加者は「七尾で1番笑顔が増える場所」で久しぶりに楽しく汗を流していた。
地震から2週間。子供たちは学校再開の目途も経たず、冬で外で遊ぶことも難しい日々をすごしていた。そんな中での誰でも参加できるイベント。幸い体育館には大きな損傷もなく使用可能。USICベースボールアカデミーの選手や保護者からの声掛けとSNSでイベントの案内を発信。
当日はアカデミーの選手に加えて多くの子供たちが参加してくれた。
小杉代表に当日の子供たちの様子を聞くと「地震後、子供たちはもどかしい日々をすごしていたこともあり友達との会話や身体を動かすことの喜びを感じていた様子でした。たくさんの笑顔を見せてくれました。印象的だったのは、地震前より優しく友達と接していた様に感じました。地震が子供たちの心に影響を与えたんだと思います」と話してくれた。複雑な面もあるが今回の経験がプラスに作用すればと思う。
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■思いやりを感じた瞬間!
今回のイベントでは若者の思いやりに触れる瞬間があった。鹿西高校野球部に所属している選手がイベントの運営サポートに駆けつけてくれた。鹿西高校は七尾市の南、中能登町にある。昨年、授業の一環で「野球人口」に関するインタビューに来てくれた生徒。今回の事態にアカデミーを心配して駆けつけてくれた。生徒の優しい気持ちと行動力に心を打たれた瞬間だった。生徒はこの春に高校3年生となる。高校野球ラストイヤーを悔いなく取り組んでもらいたい。感謝の気持ちで応援したいと思う。
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今回の地震で能登はスポーツ環境がいくつも失われました。教育環境や生活環境など大きな被害をうけました。それでも被災地は地震で失ったものを少しずつ取り戻すべく前を向いて一歩ずつ進み始めています。
■スポーツで笑顔をつくる!
能登七尾から皆様に元気を! インタビューの中で小杉代表は「我々にできることはスポーツで笑顔を作ること。被災した我々自身がこれを信じて今できることから活動を再開する。近い日に必ずグラウンドに戻り、みなさんにプレーで元気と勇気を与えたい。選手たちは日々できる事を探しながら、もう一度笑顔で集まれることを信じて歩み始めてくれています」と心境を話してくれた。
能登で被災した若い選手たちは自身が被災者でありながらも前を向いて一歩ずつ歩き始めています。全国から寄せれた支援やメッセージをうけとめて「明日はかならずやって来る」と信じて前進し始めていました。
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■必ず復活します!
小杉代表に今後の意気込みを聞いた。「いまできることから行動します。その先に必ず平穏な日常が戻ると信じて前を向いて進みます。必ず復活します! 北陸の皆様! 能登半島の皆様! 共に頑張りましょう! 」と熱く語ってくれた。
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被災した選手たちの前向きな行動が頼もしく感じた。復興には長い時間が必要だろう。私たちも被災地に想いを寄せ続けていきたい。
■がんばろう能登半島!
最後にいしかわUSICガールズの選手から被災地に向けた「エール」を紹介します。
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今回取材を担当した私は七尾市出身。いまも七尾に実家がある。元日に能登半島地震が発生。気づくと能登で復活を誓うスポーツチームを記事にしたいと思った。こんな時に取材を受けてもらえるのか? 失礼にならないか? 迷いながらも小杉代表に連絡。快諾いただけた。関係機関が修復してくれた道路を使って取材に向かった。こんな中でも小杉代表は笑顔で対応してくれた。頼もしく感じた。能登半島は必ず復興すると確信した取材となった。
(取材/大田 均)
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