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2023.1.25

またまた運転をしないままひと月以上たってしまった。
最終レースを観に車で競輪場に向かうことにした。

競輪場にある駐車場は川沿いのぎりぎりすれ違うくらいの狭い道を走らないといけない。その道がどうも苦手なので、宇治にあるコインパーキングに停めることにした。
だがしかし入口がわからなくて通り過ぎてしまい、もう一周してやっと駐車場にたどり着いた。

降りたらえらい風。生命の危険を感じるくらいの突風が吹いている。こんな風のなかでレースやってるのか…。画面からはぜったいに伝わってこない。

何度か吹き飛ばされそうになりながら、なんとか競輪場に到着。
数日前に行われていた記念の時とは打って変わって、ホームスタンドにはひとの気配が全くなかった。いつもの風景にもどっていた。

いつもはスタンド最後列から立って写真を撮っているけど、あまりにもひとがいないから、記念の時にはできなかった、発走機前の中頃の座席から撮ることに決めた。 恐ろしい突風が吹くと椅子に座って身を守りながら,そして人目を気にせずに思いきり声援もおくりながら、写真を撮ってレースを見守った。

初日と同じく追加参加の常次くんの番手という、オッズプレッシャーすさまじい番組。しかも最終レース。差せなくてもいい。ちゃんと追走さえしてくれたら。決勝に乗ってほしい。そんな気持ちをこめてひさびさにレース中におっきな声で、たぶん風の音でかき消されてたかもしれないけど、叫んだ。

立ってることもできないくらいの風のなかを自転車で走るって、自分に置き換えても危険なことだってじゅうぶんにわかる。
だから最終パック過ぎに追走しきれなくなってどんどん離れてしまう姿に、ただ、あああ…とちいさく声をもらして見守ることしかできなかった。
もちろん写真なんて撮れない。

7着でゴール線を通過すると、そのまま中央通路にターンして真っ直ぐ敢闘門に帰ってしまった。そうなりたくなる気持ちも痛いくらいに伝わってきた。
突風を浴びないスタンド最後方で見ていたおっちゃんが「おい!出てこい!」とわめいている。思わず振り返り、そのおっちゃんと見つめ合った。正月の岸和田開催でぬのいさんが睨んだくらいむちゃくちゃヤジリ倒してたおっちゃんだった。

背中に向かって「明日も走って」って心のなかで呼びかけたけど、最終日の出走表には名前がなかった。

競輪場を出て駐車場まで歩きながら、ただただ悲しくて悲しくて、涙がほろほろ止まらなかった。
つい数年前は記念の準決勝でトップ選手の捲りにぴたりと追走してワンツー決めてたのに、A級で予選スタートになって、チャレンジから特昇した新人選手の先行に離れてしまう姿を観ることになるなんて。
本当はこんなところ走ってるような選手じゃないのに。どうしてこんなことになってしまったんだろう。

良いときも悪いときも変わらずに応援されるのはありがたいというのは、悪いときにはきっと思えないだろうな。いちばん観てほしくない姿をみせてしまった不甲斐なさ。でも今の体調ではこれが精一杯なんだろうな。

それでもわたしは、これで終わらないと信じたい。今が最底辺で、ここから上がっていってくれることを願うしかない。

だからこれからも見守っていく。


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