ウーロオーコ環境のBUG Aluren
大変お久しぶりです。最近のレガシー環境の変動にモチベーションがついていかず、しばらく休止していました。休止とはいっても、モチベーションが下がったわずか数か月の間のことです。その間もTwitterのTLで断片的な情報だけは耳にしていましたが……今回はそこが始まりとなります。
アルーレンの相棒
「一度買ってしまえば一生遊べる」
レガシーがそう言われていたのは遠い昔となってしまった。新セットのたびに環境を揺るがすカードが次々と刷られている現状、レガシーは、いつのまにか追いかけるのが非常に大変なフォーマットになっている。実際、私が数か月MOを離れている間に「死の国からの脱出」というカードが環境を荒らし、一度も相対することなく禁止されていった。
そんな激動のレガシー環境に現れた次なる主役は「相棒」。あまりの強さに、まとめて禁止がささやかれるほどだったがアルーレンにとっては追い風となった。「夢の巣、ルールス」や「空を放浪する者、ヨ―リオン」を採用したデッキの隆盛で、ミッドレンジが非常に多くなったのである。その陰には(アルーレンにとって)難攻不落のジャイルーダコンボやルールス採用のANT等も一定数いたが、以前に比べれば、ずっと戦いやすい環境になっていた。
新システムに興味があったので、とりあえず自分もアルーレンにもすんなり入りそうな「空を放浪する者、ヨ―リオン」を使ってみることに。そこで生み出されたのがこのデッキ。
https://twitter.com/otb33291187/status/1255881742176579589?s=20
雑に組み上げた80枚のアルーレン。メインボードは何の不満もなく回るしデッキ自体もなかなか強い。しかしこれは……ヨ―リオン……いるのか?
実際に何リーグかもぐってみると、ヨ―リオンがプレイの選択肢として優先される場面はそれほど多くはなかった。出す場合も大抵ダメ押しとしての役割で、ヨ―リオンに頼らず「自然の怒りのタイタン、ウーロ」を墓地から唱えれば十分という場面も多々あった。
さらに言えば、厳しいマッチアップをサイドカードに頼って乗り越えるアルーレンにとって、80枚デッキにすることはあまり喜ばしいことではなかった。
アルーレンに相棒は不要。これは少しずつ確信に変わっていった。
アルーレンの現状
ちょうどそんな時期、Twitterの流行りに乗ってこんな画像を作った。
勢いで作ったジョーク画像なのだが、我ながら今のアルーレンの現状をよく表すことができたと自負している。80枚のアルーレンでも60枚のアルーレンでも結局中心となっているのは上記のカードたちだ。これらのカードを使うだけならば80枚にする必要はない。その考えのもと作ったのがこの形。
https://twitter.com/otb33291187/status/1264139779903328258?s=20
このリストは、MOパンダことレガシー神Suzuike Fumiyasu氏デザインのBUGアルーレンをもとにしている。
https://www.hareruyamtg.com/ja/deck/277829/show/
基本土地中心の強固なマナ基盤。BUGカラーによる対応力の高さ。一度着地すればゲームを決め得る3マナのカードたち。サイドには悪名高き「夏の帳」。リストだけ見ても、非常にカードパワーが高く、骨太なデッキになっている。
今のレガシーを象徴するカードを思う存分詰め込んだ挙句コンボパーツとしても使い倒し、常に禁止改定におびえる。それが今のアルーレンなのだ。
基本戦術
キープ基準
メインのキープ基準は非常に緩い。自分自身マリガンが好きではない部分もあるが、土地が二枚あれば大体キープである。キャントリップがたくさん入っているので、フェッチランド1枚+「思案」+「氷牙のコアトル」のような手札も、自分はキープしてしまうことが多い。逆にコンボ戦のサイド後は対策カードを求めて積極的にマリガンしていくことになる。
ゲーム展開
序盤は基本土地を並べながら「氷牙のコアトル」や「突然の衰微」で相手の足を止めていく。デュアルランドは急を要する事態でない限りは基本的にフェッチしてこない方がよい。また、放置できるものは積極的に放置し、致命的なものに絞って除去を当てていくよう心掛けるとよい。
中盤は「王冠泥棒、オーコ」や「自然の怒りのタイタン、ウーロ」、「トレストの使者、レオヴォルド」などを叩きつけてさらに盤面を強固にしていく。相手はどれも対処せざるを得ないクリーチャーなので、除去やカウンターを当ててくる。結果的にこちらはアドバンテージを得ることができ相手の手札は減っていくことになる。
終盤までもつれ込めば勝利は近い。相手は息切れを起こしているはずなので、頃合いを見て必要であれば「魔の魅惑」を設置しコンボを決める。
以上がこのデッキにおける基本的なゲーム展開である。
「自然の怒りのタイタン、ウーロ」採用の弊害
「自然の怒りのタイタン、ウーロ」はコンボパーツにもなる非常に強力なカードなのだが、このカードを複数採用したことで、以前のアルーレンにはない弱点が発生している。
①効かないはずのkarakasが…
意外な弊害が「karakas」が刺さる点である。ウーロに多くの枠を割いているので、「karakas」1枚で打点が不足してしまう事態に陥る。ウーロが打点として数えられなくなると、殴り切ることが難しくなってしまうのだ。
②効かないはずの墓地対策が…
アルーレンは全く墓地を経由しないコンボであるので、通常、墓地対策をものともしない。むしろ墓地対策を入れてくるようであればよりコンボを決めやすくなるので大歓迎と言える。
しかしウーロを採用している場合、「安らかなる眠り」や「軟泥のウーズ」がこちらの動きを制限してくるようになる。これらのカードが場にあるだけで、ウーロが3マナ3点ゲインのキャントリップと化してしまい、唱えるのに値しないカードになってしまう。
青黒緑の三色で構築されるアルーレンは、「魔の魅惑」の枚数が削られフェアデッキの側面を強く押し出すのが主流である。そのため上記のようなカードが4色の型に比べ弱点になりやすいのだ。「karakas」や墓地対策サイドインしてくる相手には、コンボで勝つことを念頭に置いてプレイする必要がある。
最新版BUG Aluren
こちらが最も最近5-0した形である。直近のリーグは2連続で5-0しているため、今のMOのメタにはあっているものと思われる。
土地
基本土地中心、墓地肥やし用のフェッチランドを多めにとった22枚。「自然の怒りのタイタン、ウーロ」で3→4の動きを確実に行うために、土地をさらに1枚増やすことも考えられる。
クリーチャー
マナクリーチャーを採用せずに、よりミッドレンジに寄せている。土地が多めのため、フラッドすることを嫌ってこの形にしている。序盤多少押されても中盤から後半にかけて「自然の怒りのタイタン、ウーロ」のライフゲインで押し返すことができる部分も大きい。苦手なコンボを見るために「トレストの使者、レオヴォルド」も採用しているが、よくサイドアウトされている。
その他呪文
「突然の衰微」4枚+「暗殺者の戦利品」1枚の5枚体制である。「暗殺者の戦利品」はこのデッキで唯一「karakas」に触ることのできるカードであるためメインから採用している。また打点の不足を解消するために「王冠泥棒、オーコ」をメインから3枚採用している。
デッキ名にもなっている「魔の魅惑」は2枚まで削っても問題なく回るのだが、積極的にコンボを決めたいマッチアップのことを考え、3枚採用している。
サイドボード
追加の「Force of Will」となる「否定の力」、墓地対策はピンポイント対策の「外科的摘出」と掃除用の「トーモッドの墓所」、環境に小粒が増えてきたためクリーチャー対策は「疫病を仕込む者」。また、リクルーターがいないBUGアルーレンは、置物破壊が重要となるため「活性の力」を1枚採用している。帳環境における「強迫」は検討中の枠であるのだが、コンボ戦は自分が「夏の帳」を構えて動いても負ける場合が多くなってきたので、能動的に動ける「強迫」に差し替えて試している。(有効かどうかは数をこなせていないため不明。)
今後の展望
間もなくM21やその他特殊セットの発売となる。今出ている情報ではゴブリンとエルフに大きな強化が入ると考えられる。ゴブリンが流行った場合、マナクリーチャーがいないこの形では「ゴブリンの従僕」からの展開に対応ができない。そのため「金のガチョウ」を2~3枚程度採用する必要があるかもしれない。場合によっては「老練の探険者」の型にすることも考えられる。
一方のアルーレンも、いくつか採用候補となるカードをもらっている。ETB能力というクリーチャーの最も基本的な能力を、最大限に生かすことのできるアルーレン。興味がある方はぜひ手に取っていただきたい。
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