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BUG アルーレン調整録

 こんにちは、otabaです。何度も要望を頂いていたBUGアルーレンがようやく勝てる形になったので調整の過程と現在の形を紹介しようと思います。

はじめに

 BUGアルーレンに関しては、過去に津村プロがデッキガイドを書いているのでそれも参考にしていただきたい。環境も変わり、デッキリストも大きく変化しているものの、基本的な考え方はすべてここに書かれている。
 (この記事に来る方のほとんどは目を通していると思われるが…)
 ギミックや考え方は全てこの記事に任せ、今回はアルーレンの調整過程を中心にしていきたい。

 

BUGアルーレンへの着手

 今回BUGアルーレンを調整するにあたって、参考にしたリストがある。CartesianのBUGアルーレンだ。Cartesianは有名なアルーレンマスターで、MOでレガシーをプレイしているなら知らない人はいないだろう。「死儀礼のシャーマン」が健在のころは毎回のようにレガシーチャレンジでリストを載せていた強豪だ。4色のアルーレンを好んで使っていた自分と違い、3色で、フェアデッキ寄りの構築をすることも大きな特徴だった。
 そのCartesianが採用していたのが今回の主役、「明日の見張り」である。

 それまでのBUGアルーレンは「魔の魅惑」を設置した後、残りのライフで「寄生的な大梟」を探しに行かなくてはいけなかった。「悪意の大梟」や「断片無き工作員」を駆使しても、削られたライフでフィニッシャーまでたどり着くのは容易ではない。より確実にたどり着くために「光り物集めの鶴」というおよそレガシーレベルとは思えないクリーチャーまで採用していた始末である。

 スポイラーで公開された時点での「明日の見張り」への印象は、『「光り物集めの鶴」の代わりにはなりそうだな。』くらいのものであった。これでも鶴に比べれば大幅な強化ではあるが、入ってせいぜい2枚程度と考えていた。
 ところがモダンホライゾン発売後しばらくしてその認識は覆される。

 このCatesianのリストではなんと4枚フル投入されていたのである。ただし能力を機能させるための「場を離れたとき」という条件を満たすのは簡単ではなかったようで様々な工夫が見られる。今回の自分の調整も、いかにこのカードを生かすかに注目して行っていった。

なにはともあれコピー

 自分自身、最近BUGからめっきり離れていたため、とりあえずコピーから入ってみることにしたが…

 散々だった。
 BUGからしばらく離れていたせいかリストが環境に合わなくなっていたのかは不明だが、とにかく負けに負けた。1880あったレーティングが一瞬で1700台まで落ち、調整の途中には1600台まで下がっていった。仕事が休みなのをいいことに集中的にMOに潜りまくったのがまずかった。

 流石にチケットの危機を感じ、自分の使いやすいようにリストを弄り回すことにした。

 これがチケ溶かし地獄の始まりとは知らずに…

地獄の一丁目 「Hymn to Tourach」

 BUGアルーレンを使う際に心に決めていたことがあった。それは「Hymn to Tourach」の採用だ。4Cアルーレンとの差別化を図るために、青黒軸のBUGでしか使えない「Hymn to Tourach」を採用しようと考えたのだ。これがまずかった。
 このカードを撃たれたことがある人ならわかると思うが、非常に理不尽なカードである。無作為に二枚の手札を刈り取っていくのは暴力としか言いようがない。しかし、それは撃てればの話である。
 今の環境はマナ否定戦略が幅を利かせており、BUGのように毎ターン素直に1枚ずつ土地を置くデッキで、「不毛の大地」をかわしながら黒のダブルシンボルを捻出するのは容易ではない。しかしながら沼二枚から撃ってしまうと他のアクションに支障が出てしまう。このカードをプレイするということは、特殊地形を置かざるを得ない状況を自分で作ることなのである。
 心に決めたカードは数リーグの後抜けていった。

※今回の主役は「明日の見張り」です。

地獄の二丁目 「ハンデス型」

 心に決めていた「Hymn to Tourach」は気のせいだったので、過去の成功体験から引っ張ってくることにした。マナクリーチャー無しハンデスアルーレンである。そもそも「明日の見張り」を生かすために「陰謀団式療法」を採用しているのだから前方確認と序盤の妨害を兼ねる「コジレックの審問」を入れない道理はない。デッキ全体が軽くなったので「永遠衆の秘儀術師」や「敏捷なマングース」を上から踏みつぶせる「グルマグのアンコウ」も採用してみた。
 このデッキの感触はそれほど悪くなかったのだがいまいち勝ちきれなかった。しかもいつのまにか「明日の見張り」が2枚になってしまっていた。
 本末転倒になってしまったのでこの形は諦め思い切って「明日の見張り」に寄せることにした。

※今回の主役は「明日の見張り」です。

地獄の三丁目 「老練の探険者」

 「明日の見張り」が主役なので、主役を生かせるカード「陰謀団式療法」を4枚フル投入することにした。「陰謀団式療法」を使うならあのカードもセットになる。そう「老練の探険者」だ。もっさりしているBUGの動きを滑らかにしてくれることに期待した。
 しかし、BUGアルーレンをベテラン型にするのはやはり難しかった。Nic Fit が強いのは、他のデッキと異なるマナ域の1枚でゲームを決め得るカードを叩きつけられるからである。BUGアルーレンのカードたちは優秀と言えどそれは2~3マナ域での話でしかない。自分より重い相手にはやはり不利になる。
 もう一つはBUGアルーレンは3枚コンボである点だ。これが4Cアルーレンで「老練の探険者」を使えるのにBUGでは使えない理由である。もともとBUGアルーレンは単体で場に出せない「洞窟のハーピー」を3枚以上も採用する関係上、ちぐはぐな手札になりやすい。そこに「老練の探険者」を加えてしまうと、少し引きが偏ったときに、マナは伸びたのに「洞窟のハーピー」ばかりの手札や、「魔の魅惑」と「洞窟のハーピー」だけが残るような手札になってしまう。BUGアルーレンでは安定しない爆発的なマナ加速は求められていないのである。

地獄の4丁目 「貴族の教主」

 「老練の探険者」に頼らずにデルバーに強くするにはやはりマナクリーチャーを使うしかない。そこで目を付けたのが「貴族の教主」である。「氷牙のコアトル」によって青緑軸の構築が可能になり、かなりマナベースに余裕ができている。「明日の見張り」を生かすために、今回は「虎の影、百合子」も採用してみた。「貴族の教主」との相性も良く強く使えそうだと見込んでの採用である。 結果は火を見るよりも明らかだったが試さずにはいられなかった。
 結論としては「レンと六番」が蔓延しているところに「貴族の教主」を突っ込むのは無謀である。簡単に焼かれてしまう上に続唱の捲れを弱くしてしまう「貴族の教主」はお呼びではなかった。

一筋の光 「虎の影、百合子」

 しかしここで光明が差し込んできた。「虎の影、百合子」と「明日の見張り」のギミックには可能性を感じたのである。2/1で秘匿しているクリーチャーなど誰が除去しようと思うだろうか。「明日の見張り」は一度場に出ると多くの場合無視されていた。実質アンブロッカブルである。
 そこに目を付けて、「明日の見張り」を無理に生贄に捧げることはせず、忍術と開門のみにギミックを絞ってアドバンテージに特化していくことにした。

BUG忍者アルーレンの完成 5-0


 こうしてようやく形になったのが今回のBUG忍者アルーレンである。実は「虎の影、百合子」自体は以前試したことがあったのだが正直そこまで強さを感じなかった。しかし、「明日の見張り」が入った今、積極的に引きたいカードになっている。以下では特徴的なカード選択について紹介していく。

「冠水樹林

 せっかく「壌土からの生命」を採用するなら何か変わった土地を入れたかった。土地は基本かつかつなので抜けていった。

「壌土からの生命」
 
BUGでなんとか「レンと六番」を使えないか考えた結果これに行き着いた。フェア寄りに戦うBUGはマナを伸ばしていくことが必須である。このカードで一気に土地を回収し、後半戦に備えていくことが出来るようになった。自分でも懐疑的だったが以外に強い。

「覆いを割く者、ナーセット」
 レオヴォルドの2枚目と枠を争うカード。「魔の魅惑」を探しながら相手のロックもできるので散らしてみた。好感触。

「真冬」
 BUGアルーレンはライフが大事なデッキなのでX=1~3で撃つことが多いならこれでもいいのでは?と思い採用。「毒の濁流」じゃなくて困った場面があり、完全に入れ替わった。

「魔術遠眼鏡」
 増えているDDコンボ対策。他にも苦手な「精神を刻む者、ジェイス」などの対策も兼ねる。自分が持っている土地を指定しないように注意。

「活性の力」
 
4Cのように「再利用の賢者」をサーチできないので、BUGは置物を重ねられるとに非常に弱い。そのような相手に詰まないようにする。

「夏の帳」
 このカードのおかげでストーム系統への勝率が跳ね上がった。

実際の動き

 動画をYouTubeにアップしたので参考にしていただきたい。

part.1 https://www.youtube.com/watch?v=syFozDRht1c&t=4s

part.2   https://www.youtube.com/watch?v=BvVGykkoyXY

現在のリスト

 こちらが現在のリストである。5-0は初め以外できていないが、4-1を5連打しており非常に勝率が高い。
 リストからもわかる通り、BUGは同じようなカードがたくさんあるので動きが非常に安定している。その分、一度劣勢になるとコンボでも返すのが困難になってしまう弱点もある。

 ぜひ、強みと弱みを理解し、盤面をコツコツと作りながら即死コンボを決める楽しさを味わっていただきたい。

終わりに

 今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。一気に書き上げたので、少し短く普段と毛色の違う記事でしたが調整の参考になったでしょうか。次回も気が向いたら読んでいただければ幸いです。


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