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パキスタン料理

大阪ハラールレストラン。
大阪市西淀川区にあるパキスタン料理のお店。
そもそも僕にはパキスタンという国自体に馴染みは無かった。
パキスタンという国は、もともとインドと同じ国だった。ムガル帝国というイスラム教国がこのエリアに君臨していたが、その後イギリスの植民地となった。第二次世界大戦後にこの地域が新たに独立するにあたり、イスラム教徒とヒンドゥー教徒が分かれて独立したためできた国である。
パキスタン、インド、バングラデシュと三つの国に分かれた。
地勢的には、パキスタンの東にはインド、ネパール。北は中国。西はアフガニスタン、イラン。
このような国と隣接している。
改めていうが、
僕にとっては全く未知の世界であった。

南アジア料理といえばカレーだ。
しかし、そもそもカレーという言葉は南アジアにはないのだが、その話はここでは割愛する。
そのカレーの源流を辿れば、その一つにイスラム教徒の料理が出てくる。
有名なところではビリヤニ。
カレーとライスを合わせて炊き込むこの料理はもともと、ペルシャ発祥の料理である。
カレーにつけ合わすナンと言われるパンもそうだ。

今から遡る頃、数年前に僕はふらりとこのレストランにやってきた。
異国感を味わいたいという思いもあったが、間違いなく今までとは違う何かを求めていたのだと思う。

店主は日本語が堪能なパキスタン人の男性。
スタッフはメインのコックを含め3名。
パキスタン人が2名とネパール人が1名。
このネパール人もムスリムだという。
レストランでは、イスラム教の戒律に則り、お酒の提供はない。ラッシーという乳飲料にチャイというミルクティーのみだ。
食材もみなハラール処理をされたものばかり。
ハラールとは合法という意味で、神様が認めたものであるそうだ。食材についてはその処理の仕方まで細かく決められている。
ちなみに、禁忌の肉としては、イスラム教では豚を食べない。
大阪ハラールレストランの目の前は、大阪マスジドというイスラム教の教会がある。
今となっては、ここで初めて食べたものは何か思い出せない。

通っているうちに、店主含め皆と仲良くなった。
異国でアウェーのはずが、ホームのような感覚になった。
今でもそこには日常とは違う世界がある。
自分が正しいと思っている世界を、
そうではないと見る目がある。
そういう人たちの言葉は新鮮でもあった。
そして皆強く優しい。
マスジドで奉仕している男性は、毎朝周辺の地域の幅広くまで掃除をしている。
彼は言った「郷に入れば郷に従えだ」
よくこんな言葉を知っていたなと思うが、至ってシンプルなことをただやるその姿勢には学ぶべきことが多かった。
いまだに大人になれていない、初老に差し掛かる男にもここは居心地が良かった。
彼らと話すのは楽しい。

数あるパキスタン料理の中で今日はこの料理を紹介する。

"Beef Nihari" ビーフニハリ
"Roti" ロティ

牛の塊肉を何時間もかけて煮込むニハリ。
全粒粉の粉「アタ」で作るパン"ロティ"

諸説あるが、ニハリはムガル帝国末期の18世紀末にハイデラバードやオールドデリーで作られ始めた料理らしい。
ハイデラバードやオールドデリーは、今のインドの都市だ。
ムガル帝国はインドパキスタンのエリアに君臨したイスラム教の帝国。
その王の先祖はジンギスカンにつながるそうだ。
今のパキスタンでも人気で国民食の一つになっている。
大阪ハラールレストランでは、ビーフニハリが毎週日曜日のメニューとなっている。
相当数のスパイスを粉にして、牛や羊の肉と煮込む料理。
アタという全粒粉でとろみをつけるのが特徴。
肉の旨味がふんだんに滲み出たスープは、辛さと苦味が同居し病みつきになる美味さだ。
これを、同じく全粒粉を水と塩で捏ねて、タンドールという窯で焼いたパン"ロティ"と共にいただく。
たまらなく美味い。

ロティで肉を掴みショルパ(スープ)を絡めていただく。


"夏河を渡りし指にニハリの香" 背馬

過去句ですが。
ニハリを詠んだ句を。


◽️大阪ハラールレストラン
大阪市西淀川区大和田4-13-2
tel:06-6475-9786

▫️最寄駅
阪神電車「千船駅」徒歩5分
JR東西線「御幣島駅」徒歩15分

▫️営業時間
11:00~15:00(ランチ)
17:00~22:00(ディナー)
ラストオーダー:21:30
テイクアウト、フードデリバリー : 21:30

▫️ 休日:年中無休

▫️支払:現金のみ

・テイクアウト可
・UberEATS、DIDI FOOD 対応


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