ネットは、一定レベルの有料メディアと、クズ記事だらけの無料メディアに分かれる、つまりネット以前に戻る
※TOP画像はChatGPToに「PCの画面が二つに分かれ、一つは良質で確かな情報に、もう一つは悪質でフェイクだらけの情報に満たされている画像を描いてください」とオーダーし、さらに何度かやりとりして作成したものです
ネット広告のエグさが加速している
私は日々、悪質なネット広告があったら画像をキャプチャーしている。先日、これまで見たものの中でも最低な広告表示を発見しキャプチャーした。
PC上のFacebookの右上にある広告枠に出てきたものだ。メッセンジャーに新たなメッセージが届いた通知のように見える。私は瞬間的に押してしまった。押しながら「あ!本物のメッセンジャーアイコンの下だ!」と気づいたが遅かった。なんと楽天市場のトップ画面が表示された。タチが悪いのが、広告画面下に表示されるURLは「messenger.com」といかにもメッセンジャーのように見える。通常の広告なら楽天のURLが表示されるはずだ。
右上のメッセンジャーとの勘違いを狙った、広告枠の悪用だ。「あ!ここにメッセンジャーみたいなアイコン置いたら勘違いする!」とでも思いついたのだろう。最低ではないか?
この広告が、Facebook側が用意したものか、広告主側で勝手に作成したものかは不明だが、よりによってメッセンジャーと間違えるのを意図するとはあまりにも非道だ。詐欺業者の広告ではないが、広告そのものが詐欺を仕掛けている。
ネット広告はかくも悪辣なものにどんどん成り下がっている。中でもエグいと私が感じているデイリースポーツの表示を例にお見せしよう。下は3つのスマホ画面を並べたものだ。読者の皆さんには不快かもしれないが見てもらいたい。
(記事が某局の不祥事であることは無視してください)
左の画面は、記事の見出しを押したらいきなり出てきた。「次のページへ」を押すと画面いっぱいの広告が出てくることは当たり前になったが、いきなり出てきたのは初めてだ。「生意気な女にはお仕置きが必要だ!」とあり「詳しくはこちら」とのコピー。いったい何を詳しくしてくれるというのか。小さくtoptoonとあるのでエロい漫画サイトなのだろう。
嫌になり戻って、もう一度開くと今度は真ん中の画面になった。見出しが「リケン補聴器センター」の広告で読めない。記事の写真には「新着求人をチェック」のコピーでマイナビ転職のバナー広告が覆い被さっている。これでは記事が読めないし、読む気にもならない。
再び戻ってもう一度開いたのが一番右の画面だ。これは広告画像そのものが醜悪ですぐさま閉じたくなる。私は確かにシニアだし歯のことは気になるが、こんな脅し方は逆効果でしかない。ここに至って、私はこの記事を読むのは諦めた。
いずれも私の年齢をもとにターゲティングしているのだろうが、広告効果はゼロを超えてマイナスだ。もう二度とこんな目に遭いたくない。だからデイリースポーツはもう絶対に読まない。
この経験以降、どうしても読みたい記事があったら、スマートニュースで見出しを検索して読んでいる。デイリースポーツにとっては自社サイトで読んでもらいたいのではないのか?
これでは広告主にとっても媒体社にとっても何の得にもならない。読者の私も不快になっただけで誰にとってもいいことがないと言っていい。ネット広告はおかしなスパイラルに入り込んでいる。
ネット広告は「999人は知ったこっちゃない」
なぜこんなことになるのか。ネット広告の指標は、ざっくり言うと表示された数=インプレッション数(imp)とクリックされた率(CTR)に集約できる。何回表示されて何%クリックされたか。このクリック率は0.X%とか、0.0X%といった数値になる。つまり1000人に1人とか、10,000人に1人とかのレベルだ。広告費に対して何人広告を押して自社サイトに人が来てくれたかが問われる。
だから、1000人に1人クリックしてくれれば、残りの999人は知ったことではないわけだ。999人が不愉快に感じようが、1人クリックしてくれればそれでいいことになる。
そしてここに「盲点」がある。「知ったことではない」と無視した999人が、何も気にしないでくれれがいいが、実際には多くの人が不愉快になっているのだ。私で言うと、もう二度とデイリースポーツの記事は開かないし、例に出した広告のスポンサーには嫌悪感を持つようになった。補聴器のお世話になる日が来ても「リケン補聴器センター」には絶対に相談しない。
ネット広告業界はそろそろ、広告に対する「マイナス測定」も検討すべき段階にきていると思う。定期的なアンケート調査を媒体ごとに行うなどすべきだろう。
6月の記事で、新聞雑誌デジタル版の広告収入が停滞もしくは下降していることを書いた。ネットメディアの広告収入は、今のやり方のままでは伸びないどころか減っているのだ。広告表示を増やしすぎて供給過多に陥っている。不快な手法で広告掲示場所をどんどん増やしているのだから当たり前だ。
インターネット広告市場は破竹の勢いが衰えず、電通発表の「日本の広告費2023」では3兆3,330億円にまで膨らんだが、ひょっとしたらその中身は空っぽなのかもしれない。ある日、プスっと誰かが針を刺すとシュウウッと中身が吹き出してしまう可能性はあると思う。このところの株価急落のようなことが、起こらないとは言い切れない。
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