もはや選挙を動かす力はテレビよりYouTubeにある?
暴露YouTuberが国会議員になる世の中
ガーシーと呼ばれるYouTuber東谷和義氏が、最近あらゆる人物の裏を暴露して話題になっていた。それぞれの真偽は知らないが、あまり気持ちのいい話題ではなく掘り下げて調べたりもしなかった。
今回の参議院選挙でNHK党がガーシーを候補に立てていたのを知ったのは、投票日の数日前だったと思う。そんな怪しい人物が当選するはずもないだろうと高を括っていた。
今朝起きて選挙結果を確認していたら、N党が比例代表で結構な数の票を獲得し、名簿トップの東谷氏が当選したと報じられていた。ガーシーが国会議員に?驚くというより、情けない気持ちになった。
また別の話。投票日の数日前、自宅で昼ごはんを食べソファでくつろいでいたら電話が鳴った。出てみると早口で名乗ったようだが聞き取れない。続いていきなり「あなたは日本の政治を云々・・・」と質問してきたので不快に思い「ちょっと待ってあなたは」と話そうとして音声が録音であることに気づいた。「参政党の〇〇」と名乗ったが腹立たしいので即座に電話を切った。この参議院選挙に向けてできた政党であることしか知らなかったが、調べるとどうやらネット上での少々(いやかなり)怪しい論に賛同する人々のための政党のようだった。こんな不愉快な選挙運動では当選できないだろう、とその後は気にも留めなかった。
今朝見た選挙結果で、参政党も比例代表で一人の議席を獲得したことを知った。事務局長の神谷宗幣氏だ。
N党のガーシーこと東谷氏、そして参政党の神谷氏。私の感覚では通りそうもない人物が国会議員になってしまった。一昔前なら「トンデモ候補」扱いされたのではないか。
彼らには共通項がある。ネットを巧みに活用して賛同者を増やしてきたことだ。特にYouTubeを使って怪しい言説を世の中に広め支持者を増やした。
そのための団結力やエネルギーは大したものだが、この二人が当選したことに私は慄然としてしまう。客観的に見れば「そういう時代になった」ということだろうが、それでいいのか、との懸念も持たざるを得ない。N党は活動資金のために政党助成金を得るのが目的だと公然と発言している。そんな政党に投票して暴露YouTuberを当選させる人々が125万人、つまり日本人の1%程度いるのだ。なんという世の中か。
投票前に選挙報道をせず、結果だけはこぞって報じるテレビ
一方、この選挙では「テレビが投票日前に選挙報道をしなくなった」ことが一部の人々に指摘された。Twitterではこんなハッシュタグが登場した。
#選挙特番は投票日の前に放送を
この趣旨での署名活動もChange.orgで行われ、集まった5万を超える署名がNHKはじめ民放各局に届けられたそうだ。
署名はテレビ局に届けた後も集まり、7月11日時点で7万5千を超えている。
署名を呼びかける文中にこんな部分がある。
参議院選のたびに放送時間が減っている。この法則だと今回は30時間程度になったのだろうか。1局あたり5時間と言うことになる。実際、最近はニュースばかり見ている私も、選挙についての報道を目にした時間は少なかった。前は党首や候補を集めた討論を各局で見かけた気がするが。
N党や参政党の当選と掛け合わせて捉えると、テレビが選挙報道を躊躇している間に、YouTubeの方が選挙に影響力を持ったと言えないだろうか。
投票前に選挙を扱わない一方で、投票後にはこぞって選挙結果を伝える特番を組む。毎回の恒例だが、必要なのだろうか?よほど接戦が見込まれる選挙ならともかく、昨日のように選挙結果を各党が一斉に報じる意味は何だっただろう?
結果だけ伝えるより投票前に伝えるべきことはあったのではないだろうか。それを諦めてきたことのツケが、N党と参政党の議席獲得として表出したのではないか。YouTubeが放送の視聴時間を侵している傾向は顕著だが、選挙の参考の役割もYouTubeが担ってしまっている気がする。テレビ局として、それでいいのか?
公平性を求められた結果、選挙報道が減った?
投票日前の選挙報道が減った理由としてテレビ局の人からよく聞くのが、放送法第4条を基に各党について扱う時間を公平にせねばならなくなった、というものだ。一部の政党は番組の中でそれぞれの党が扱われる時間を計測し、自党が短いとクレームをつけてくる、との噂も聞いた。いちいちそんな指摘されては、やる気が失せるのも仕方ない。
奇妙なことに、公平性を重視するあまり、選挙報道の時間が減ってしまったのだ。何のための公平性なのかわからなくなっている。
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