4月22日のウェビナーは、参加者も加わっての座談会の雰囲気で
4月22日に開催するウェビナー「能登半島地震にテレビ局はどう向き合ったか」について前もって説明をしておきたい。大きな災害について、地元の局の方にお話しいただくことになるが、かしこまった報告会というより、座談会の雰囲気で進めるつもりだ。肩肘はらない柔らかい空気で経験を話していただくことで、逆に参加者にとって学びがあるのではないかと考えている。
そんな気持ちで登壇者の方々と打合せをしてみたら、その中で出た話の内容が面白かったので紹介したい。
今回のウェビナーは、MediaBorderで発災当日の放送内容と、その後の展開について各局から情報収集した際にやりとりした方にお声がけして実現した。(当該記事はこちら↓)
打合せは2回に分けて行った。最初は、テレビ新潟のコンテンツ戦略局長・小林健氏と、富山テレビの編成局長兼編成部長・砂原宏昭氏。
当日はこんな進行で進めたい旨を私から説明した。
元日に起こった地震に、急きょどう対処したかを話していただきたいと伝え、たとえばどんなことがあったかを聞くと、砂原氏はこんなエピソードを話してくれた。
「私は局長兼部長なので緊急時に全権をもって対処せねばならないわけですが、元日地震が起こった大変な時に妻の実家の愛知県にいました。本社で実際に指揮を執ったのは入社6年目の社員でした。技術出身なので”乗り降り”はわかっていたんです。もう一人の編成部員は夫の実家のある福岡県にいて、キー局とリモートで連絡しながら我々全員はLINEワークスで相談を進めました。ですから私は現場で指揮を執ってないんです。」
富山〜愛知〜福岡〜東京で連絡を取り合いながら、キー局の放送を受けたり自分たち発で放送したり、という進行だったわけだ。元日だからではあるが、緊急時に互いに遠隔にいても対応できるフレキシビリティが重要だと思い知らされる話だ。
「やってみたらできるんだなと思いました。」と砂原氏も言っていた。
この話に続いて、小林氏も交えて「緊急時にどこまで招集をかけるべきか、また社員はともかく技術など関係会社の社員に招集をかけていいものか」という話題ものぼった。働き方改革を進めてきて、果たして地震という事態に社員にどこまで強制していいのか、社員の側も無理をしてくれようとするがそれでいいのか、といった話だ。
小林氏には聞いてみたかったことを質問した。今回、JNN系の局はキー局TBSが21時以降も地震報道を続けたのでローカル局も同様に特番を続けた。他の局は21時になると元々予定されていた正月番組に戻った。だが小林氏のテレビ新潟は日本テレビ系列だが、21時以降も独自に地震報道を続けている。その判断はどんな議論からだったのか。
「勇んで報道を続けたつもりでもないんです。このままだと通常編成に戻れないなという気持ちでした。津波警報がまだ発令されていたのと、すぐ暗くなったので被害の全容がわからない中これから被害が明らかになるかもしれない。この2つの理由で戻らなかった。あとは個人的な思いで情緒的な話ですが、災害があった時に地元のアナウンサーや記者が伝えることで安心を感じてもらえるのではと思いました。」
そこにローカルの存在意義があるのかもしれない。
だが一方で「なんで正月番組やらないんだという苦情もいっぱい来ました。」という話もしてもらえた。視聴者によってテレビ局に求めるものが違うということでもあるだろう。
北陸放送から登壇してくださる淡路健氏は報道局報道部のデスク兼記者で、先のお二人よりひと回りお若い現場の局員。
石川県の局で報道の現場に携わる立場として、今回の地震についてリアルに語っていただく。
打合せの中で出た話で興味深かったのが、地震後の取材体制についてだ。
「能登に取材に行く場合は基本的に泊まりで行きます。二泊三日で行くクルーを2班組み、どちらかが現地にいるようにクロスする形で交代して取材していました。3月になったあたりからは行く日数が一泊二日になりました。それがまた4月から体制が変わって2班から1班になり、日数は当初の二泊三日に戻りましたが、能登に毎日取材に行くのは変わりません。」
道路の寸断が長らく続いて金沢と能登との行き来も大変だったようだ。それでも誰かが能登にいる体制を今も続けているということだ。
ウェビナー当日はさらに取材時の困難や工夫なども聞いてみたい。
さて今回のウェビナーはご紹介したお三方に登壇いただくが、先述の記事に情報をいただいた他の北陸の局の方々も参加者にお招きしている。流れによっては話に加わってもらったり、チャットに情報を書き込んでもらったりをお願いする予定だ。さらに参加者の皆さんからの感想や意見もどんどん共有したい。
登壇するお三方だけでなく、参加者全員の座談会のような雰囲気を作れればと考えている。みなさんのウェビナーへの参加をお待ちしている。
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