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テレビとネットの横断業界誌 MediaBorder

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#視聴率

「視聴率の民主化!」TVAL nowが業界に問うメッセージ

いつでも誰でもどこにいても、今の視聴率がわかる! 今月5日、スイッチメディア社が「TVAL NOW」を公開した。誰でもリアルタイムで地上波テレビの視聴率がグラフで見られるサービスで、なんと無料だ。 この件は私のFacebookのタイムライン上でかなり話題になり、さっそく使ってみた人々がシェアしていた。業界の人々が多いので当然だが、X(Twitter)の方でもさっそくハッシュタグ「#TVALnow」ができて、一般の方々がグラフを共有しコメントを交わしあっている。 長らくテレビ

ここ数年、テレビ局の視聴率も収益も乱高下しているのを、知っておいた方がいい

このところ、テレビ業界やテレビ番組についての記事を見かけると強い違和感を感じることが多い。先日も「ちむどんどん」が「2010年以来視聴率ワースト1」との記事への違和感について書いたが、その後も例えば、「夏ドラマは不作で視聴率2桁のものが1つしかなかった」のような記事を見かける。いまだにコロナ前の感覚で番組について語っているようだ。令和に入り、コロナの影響でテレビ業界は状況にむちゃくちゃに振り回されている。視聴率も収益も乱高下しているので、これまでの感覚で捉える意味がなくなって

テレビ局の競争は、視聴率から戦略へ

コロナで乱高下した視聴率先週、在京キー局の決算が出揃った。このところPUTつまり視聴率全体が急落していると聞いていた。筆者は7月にそのことを取り上げた記事をYahoo!に掲載したところ、久々にえらく読まれた。 この時はインテージ社に視聴データをもらったのだが、確かに下がっていた。同社のデータでは性年齢別の多くのセグメントで特にゴールデンタイムで如実にダウンし、それが今年の4月を境目に起こっていた。 キー局の決算資料にはビデオリサーチの視聴率も掲載されるので、視聴率の変動を

ゴールデンタイムの凋落はテレビの衰退か、あるいは進化への助走か

4月以降、テレビ視聴が急減していると聞いたので、インテージ社にデータをもらってYahoo!ニュースに記事を書いた。 詳しくは読んでもらいたい。 あまりにもあからさまなデータが出たので驚いたのだが、様々な層でゴールデンタイムの数値が下がっていた。最近のテレビ局は、コア層と呼ばれる49歳以下のファミリー層や若者層に狙いを定めている。だから50代60代が下がるのは仕方ないだろう。だが男女とも40代が下がっていたり、女性20代も下がっているのはどういうことか。また女性50代・60代

同時配信のあるべき姿が見えてきた〜6/21ウェビナー「同時配信の議論を決着させる」のポイント

6月21日にウェビナー「同時配信の議論を決着させる〜メディアのグランドデザイン会議第二回〜」を開催し、80名を超える参加者が集まり盛況となった。ここで議論のすべてをレポートするわけにもいかないので、私としてポイントだと思う箇所について記事にしたい。 登壇したのは、以下の方々だった。 電通メディアイノベーションラボ:奥律哉氏 ワイズ・メディア:塚本幹夫氏 青山学院大学 教授:内山隆氏 noteプロデューサー/ブロガー:徳力基彦氏 なぜ同時配信をやるべきか?若者の映像視聴の

世帯視聴率の記事がなくならないのは、ヤフトピの責任だと思う

世帯視聴率記事への批判がにわかに話題に松本人志氏の視聴率記事批判が話題になっている。昨日(6月20日)も「ワイドナショー」でけっこうな時間を使ってそのことを話していた。それがまたネットでコタツ記事になっているのはスポーツ報知もどういう神経だろう。(10時に始まった番組についての記事が10:17に配信されている) 松本人志氏の一連の発言はインパクトが大きく、さすがに安易な視聴率記事は減るのではないだろうか。(上の記事を見ると期待できないかもしれないが) 私はこの世帯視聴率の

紙媒体はいつまで世帯で語るのか ~続・続・視聴率という厄介な代物〜山本英治氏寄稿

Introduction 山本英治氏からの寄稿。「視聴率という厄介な代物」の続々編だ。記事の最後に、前の記事のリンクを貼っておくが、独立した記事として十分面白いのでまずはお読みください。 書き手:毎日放送・山本英治 最近ネット上の記事を見ていて思うのですが、新聞社(スポーツ紙を含む)は一体いつまで番組平均世帯視聴率で番組を語る気なのでしょう? 実際に番組を作って送り出している放送局側は、まあ、地方によって局によって濃淡はあるでしょうが、次第に番組平均世帯視聴率から各種の

「シナぷしゅ」は番組というより、育児を支えるツールにしたい〜テレビ東京・飯田佳奈子氏への取材

「シナぷしゅ」は2020年4月からレギュラー放送が始まったテレビ東京の乳児向け番組だ。月〜金の朝の放送で、夕方にも東京ローカルの形で朝の番組が再放送される。子どもがとっくに成人している筆者の生活には無縁だが、このところ気になる存在になっていた。これは一種のバーティカルメディアと言えないか?視聴率の対象にならない乳児向けの番組をあえて始めたことには、テレビ局としての新しい考え方が潜んでいる気がする。 誰が企画したのか調べると、番組クレジットに「コンテンツ統括プロデューサー」と