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テレビとネットの横断業界誌 MediaBorder

放送と通信の融合をテーマに、取材した記事や論考記事をメディアコンサルタント境治が書いていきます。テレビ局の方を中心に、広告業界、ネットメディア、調査会社など様々な分野の皆さんにご…
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#NHK

メディアは災害に備えた連携が必要だ〜NHK文研フォーラム「能登半島地震から5か月」ほぼ全録〜

※↑画像は「NHK文研フォーラム2024」トップページより 5月23日に配信されたNHK文研フォーラムのプログラムB「能登半島地震から5ヶ月〜地域メディアによる課題共有と今後を考える〜」を聴講した。90分の予定が2時間近くまで延びた濃厚な内容のディスカッションだったが、能登半島地震に直面した地域メディアによる生の議論は非常に学びの多いものとなった。石川県のNHK、民放、新聞の3つの違うタイプのメディアからパネリストを招いたことで、多角的な議論となった。行われた議論にできるだ

NHK料金問題の解決策?見たい番組だけ選ぶ、部分的サブスク方式を検討する

※トップ画像は「堀潤モーニングFLAG」WEBサイトより NHKについて激論しにMXテレビに行った 5月20日朝の東京MXテレビ「堀潤モーニングFLAG」にゲストとして呼んでもらった。後半の「激論サミット」で「公共放送のあり方」と題して、先週可決された放送法改正での「ネット業務必須化」を激論するというので声がかかったのだ。実は去年の4月に熊田安伸氏が出てやはりNHKを論じた回で、私はZoomの事前収録で間接出演していた。なんで熊田さんがスタジオで私が事前取材なんだよ、と思

NHKの受信料運営はもはや時間の問題で行き詰まる

※トップ画像はImage Creatorに「テレビ放送による公共メディアは危機に瀕している」と入力して生成されたもの 4年間で1000億円も支出を削減する無謀なNHK経営計画4月5日に東洋経済オンラインにこの記事を書いた。 内容をできるだけ簡単に書くと、NHKの24〜26年度の経営計画では4年間で1000億円も支出を削減するとあり、3年間赤字が続いて27年度にようやく均衡する。受信料が減少するからで、その後も縮小が続くから受信料制度を考え直す時だ、という記事だ。 実際に

NHKも新聞も、自分で自分の首を絞めている

※TOP画像はNHK政治マガジンの画面をキャプチャーしたもの ついに停止したNHKの6つのテキストニュース前々から伝えてきたように、NHKの6つのテキストニュースサイトが3月29日夕方、更新を停止した。サイト上では「更新を終了しNHK NEWS WEBに統合しました」と説明している。不思議に思うのが、事前になんの告知もなく、29日に突然「政治マガジン」のトップページがこうなったことだ。 ただ、朝日新聞の記事で事前に知っていた人は多いだろう。この日の夜もさっそくこんな記事を配

NHKは6つのテキストサイトを停止、新聞業界は得をするのか?

NHKが自分で選択し、新聞協会の攻勢もあってテキストニュースを縮小 NHKは「政治マガジン」「事件記者取材ノート」「国際ニュースナビ」「サクサク経済Q&A」「サイカル」「アスリート×ことば」の6つの特設サイトを3月29日に終了する。この件は内部情報を得ていたので記事にしようと思っていたら、朝日新聞が報じていた。 これには驚いた。新聞協会が要望していたことを、NHKが具体化するのに「関係者への取材でわかった」とスクープのように書くのはどういう神経だろう。 「サイトの停止でサ

新聞協会の横槍とNHK自身の体たらくで、NHKのネットニュースがなくなる〜国民の権利侵害だ!〜

NHK NEWS WEBがなくなる? 先週の土曜日(12月2日)、こんな記事を新潮が出していた。 記事の本筋とは別に、後半のベテラン記者のコメントが気になった。 この部分に反応する人は多く、こんなTogetterがまとめられた。 NHKのニュースサイトが廃止されることに多くの人が驚いている。ジャーナリスト江川紹子氏もXでこんな投稿をしていた。 私は己のライターとしての力のなさに打ちひしがれた。この件は9月に東洋経済オンラインでとっくに書いているのに、届かなかったんだ

NHKの今後の受信料、こう考える〜読者アンケート全回答

前回の記事でNHKの今後についてアンケートでみなさんの考えを募った。通りすがりの方に気分で描かれるのは避けるべく、日頃からメディアについて考えている方が多い、当MediaBorder購読者に限定させてもらった。 さすが我が読者のみなさん!なかなかに濃い回答が集まり、非常に参考になった。 NHK受信料は「税金で賄う」が多数 まずシンプルな質問への回答をお見せしよう。まず2040年になってもNHKは必要か?この問いにはなんと、全員が「必要」と回答した。 その理由を文章回答

ではNHKはこれからどうすればいいのか?〜そろそろ、受信料問題を考える時

NHKについての議論を追ってきた。MediaBorderでも多くの記事を書いている。 内部の方が密かに書いた文章も掲載した。 東洋経済オンラインでも毎月ぐらいの勢いで書いてきたので、目を通してもらえればと思う。 最新の記事では、「公共放送WG」の奇妙な決着を書いている。 新聞協会は、その主張を総務省の「まとめ」で反映してもらえて大勝利だと思うが、昨日発表された見解では、まだまだ言いたいことが山ほどあるようだ。なんというエネルギーだろう。その使い道は他にある気がするが。

日本の放送業界は欧州型に転換すべきではないか

先日、宣伝会議が発行するWEBメディア「Advertimes」上で青山学院大学の内山隆教授と対談企画を記事化した。対談と言ってもほぼ、私が内山先生に質問していくインタビュー記事のようなものだ。 3月に放送法解釈問題が国会を賑わせ、本題を離れて高市大臣の議員辞職だの、文書を公表した小西議員のメディアへの暴論などに広がり収拾がつかなくなった。だが放送法を考えるいい機会だと思い、「4条はなぜ必要か」「政府と放送局の関係」などをお聞きした。内山先生も赤裸々に質問に答えてくださり、読み

テレビとスマホが生み出す、ネガティブな狂騒

※この記事の最後に、10月28日開催のSSKオンラインセミナーの購読者向け割引についてのお知らせがあります。 Yahoo!に書いた「ちむどんどん」記事がMVAに8月にYahoo!ニュース個人にこんな記事を書いた。 現在放送中の朝ドラ「ちむどんどん」がこれまでにないほどの悪評を浴びている。私自身も主人公家族のあまりの言動に驚いたり苛立ったりしてきたものの、Twitterで連日「#ちむどんどん反省会」上で酷評され、さらに様々なメディアで事細かに猛烈な批判記事が毎日何本も掲載さ

NHK会長人事を巡る諸課題に関する検討を、そろそろ始める時だと思う(あくまで国民目線で)

NHK会長選出の裏にいたフィクサーの存在NHKの次期会長を選ぶ準備が始まったと報じられた。 NHK会長についてはいろいろと物議を醸し出してきた。もっとも「騒動」になったのが2014年に会長になった籾井勝人氏で、政府に絶対服従するような発言をして紛糾した。「アベ友」とも呼ばれ、安倍政権にべったりの会長だと猛烈に批判された。歴代のNHK会長はそういう人物ばかりだとも言われてきた。ただ、いろいろ知るとそう単純ではない。 会長がどう決まってきたかについては、SlowNewsに掲載

テレビを支配したがる新聞社という存在

日本新聞協会という名の圧力団体今週、こんなニュースが配信された。 共同通信が配信したこの記事は、地方紙にも転載され、新聞業界全体が大合唱しているように見えた。 総務省の有識者会議がまとめた放送制度改革案に対して日本新聞協会が意見書を出した、という記事で、「NHKのネット拡大を危惧」がその中身らしい。今、NHKのネット拡大を危惧するのはNHK党と新聞協会ではないか。 「日本新聞協会」の名で出てくる放送業界への意見に接するといつも、何のために出しているのだろうと思ってしまう

そもそも日本で「公共メディア」は成立するのだろうか

BBCの料金問題に色めく新聞業界の人びと一昨日(4月30日)、共同通信によるこんな記事を見かけた。 「BBCが受信料一律徴収終了へ」の見出しを見てどう受け止めるだろう。英国では受信料の支払いは「国民の義務」であり、払わないと厳罰に処せられると聞いている。「一律徴収終了へ」ということは「払わなくていい人もありになると決まった」と受け止められる。だが本文を読むと「可能性」となっていて「終了へ」は言い過ぎではないかと感じた。さらに・・・ これが言いたいのかと呆れた。前に総務省の

2022年、メディアのグランドデザインをつくろう

小さな議論より大きな議論をすべき時例えば、テレビ放送の同時配信。やるべきなのか、どうなのか。NHKの同時配信がすでに始まり、民放でもキー局が春までに出揃うこの段階になってもまだ議論が落ち着いていないのはどういうことでしょう。同時配信を同時配信だけで議論しているからだと思うのです。 同時配信にニーズはあるのか、ビジネスになるのか、ローカル局はいらなくなるのか。それらを同時配信だけで議論していても答えは出てきません。同時配信がある一方で、ネットでテレビ番組をどう視聴してもらい、地