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テレビとネットの横断業界誌 MediaBorder

放送と通信の融合をテーマに、取材した記事や論考記事をメディアコンサルタント境治が書いていきます。テレビ局の方を中心に、広告業界、ネットメディア、調査会社など様々な分野の皆さんにご…
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#テレビ局

4月22日のウェビナーは、参加者も加わっての座談会の雰囲気で

4月22日に開催するウェビナー「能登半島地震にテレビ局はどう向き合ったか」について前もって説明をしておきたい。大きな災害について、地元の局の方にお話しいただくことになるが、かしこまった報告会というより、座談会の雰囲気で進めるつもりだ。肩肘はらない柔らかい空気で経験を話していただくことで、逆に参加者にとって学びがあるのではないかと考えている。 そんな気持ちで登壇者の方々と打合せをしてみたら、その中で出た話の内容が面白かったので紹介したい。 今回のウェビナーは、MediaBo

2023年、MediaBorder的10大ニュース(前編)

※トップ画像はAdobe Fireflyで「放送事業はもはや成長できずインターネットに活路を見出すしかないがまだまだ途上である」と入力して出てきた生成Ai画像 いつのまにか2023年も残り数日。MediaBorderもこれが今年最後の記事になりそうだ。昨年は読者の皆様に投票してもらったが、今年は私が勝手に決めてMediaBorder的10大ニュースをお届けしよう。一度に書くと長ーくなるので、まずは1〜5をどうぞ。 1:テレビ放送事業の地盤沈下が決定的に 今年は何と言って

「楽しくなければテレビじゃない」を見直す時が来ている〜テレビ局自己検証番組を見て〜

ジャニーズ事務所問題、”会社として”の検証番組 10月に、テレビ局のジャニーズ事務所問題の自己検証番組を取り上げた。 その後、テレビ朝日が11月12日(日)午前10時から1時間、TBSが25日(日)午前5時25分から35分間、”会社として”の自己検証番組を放送した。TBSは上の記事で書いたように10月に「報道特集」として、つまり報道番組としての自己検証を放送している。 まず感想を書いておくと、両者とも似たようなもので、及第点ではあるのだろうけれども特筆すべき点はほとんどな

テレビ業界はいったん下がって、また這い上がるのか?

テレビ”も”やってる会社になり「テレビ局」の言葉は消える 10月19日に開催した恒例のSSKセミナー「キー局のメディア戦略2023」は盛況のうちに無事終えることができた。聴講いただいた方には感謝をお伝えしたい。 このセミナーはクローズな開催が条件なので、毎年レビュー的なことは書かない。ただ今年は、最後に非常に興味深い発言があったので、登壇者の皆さんのお許しをいただき、誰の発言かには触れない形でこの記事に書こうと思う。 セミナーは、テーマごとに私からの質問に回答してもらう形

ジャニーズ事務所会見で「なぜ日本企業が変われないかがわかった」件について

「忖度は必要ない」と明言した新社長 9月7日のジャニーズ事務所の会見は、14時から2時間あたりまではしっかり見た。さすがに16時前には切り上げたが、会見は18時過ぎまで続いたというから驚きだ。 社名を変えないのは今後まずいと思うが、会見で話す東山紀之には誠実さを感じた。また井ノ原快彦は発言は少なかったがやはり誠実に、重要なことを言っていたと思う。 会見も1時間40分を過ぎたあたりで、松谷創一郎氏がちょっと長いが重要な質問をした。これまでのテレビ番組における「忖度」について

1Q決算に見るキー局の中の「差異」と、ローカル局の「格差」

キー局第一四半期決算が出揃う 先週、在京キー局の23年度第1四半期決算が出揃った。昨年度に続き厳しい状況だとの話は聞いていたが、その通りだった。ただ、局によって「差異」が出てきたなとも思う。 まずは各局の決算資料から放送収入だけを抜き出して表にしてみた。毎度説明しているが、決算はグループ全体のもので、企業構成もバラバラ。全体の数字を比べても放送事業がどうなのかは見えてこない。タイムとスポットに大別される「放送収入」だけを抜き出して初めて、各局の屋台骨たる放送事業が見えてく

6月28日(水)ウェビナー「辞めテレ教授が好き勝手にテレビを叱る?!」開催

京都でのテレビ談義をそのままセミナーに 5月のある夜、筆者と4人の大学教授が京都の居酒屋に集まった。教授たちはいずれも元テレビ局社員。筆者は毎年、元読売テレビで京都産業大学の脇浜紀子教授に招いていただき講義をしており、その度に同じく京都で教えている元毎日放送の同志社女子大学・影山貴彦教授と元日本テレビの佛教大学・大場吾郎教授もお呼びして楽しい夜を過ごしてきた。今年はテレビ東京を退職したばかりの山本名美氏が京都先端科学大学に教授として赴任したのでお招きし、例年にも増して大いに

SSKセミナー「メディア戦略2022」10月28日開催!

MediaBorder運営人、境治は毎年SSK(新社会システム研究所)の依頼で在京キー局のキーマン5名が一同に会する「メディア戦略セミナー」をコーディネートしてきた。今年も10月28日(金)15時から開催する。オンラインのみでの開催だが、その分、全国から参加してもらいやすいだろう。 「メディア戦略セミナー」は、2016年からタイトルの通り、テレビ局の「メディア戦略」をテーマにしてきた。在京キー局はホールディングス体制に入り、BS、CSそしてインターネットをどう使いこなし、使

ローカル局の主体性は失われていくだけなのか?

総務省「デジタル時代放送制度検討会」の本気総務省による有識者会議「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」が昨年11月にスタートした。MediaBorderでは岩井義和氏による議事録をお伝えしてきた。 NHK放送文化研究所の村上圭子氏が「文研ブログ」にこの3回の論点をわかりやすくまとめているので、こちらも参考になると思う。 前の「放送を巡る諸課題に関する検討会」は事実上NHKの同時配信について議論する場だったが、話が進まず何を議論しているのかわからない印象だっ

2月16日ウェビナー「ローカルANDグローバルの方法論」開催!

今回はウェビナー開催のお知らせ記事だ。2月16日17時からの「ローカルANDグローバルの方法論」と題したZoomによるウェビナー。このテーマにした理由を解説したい。 長谷川朋子氏は、日本コンテンツの海外展開や欧米の放送業界、新進のVODサービスなどに詳しい放送ジャーナリストだ。この手の情報におそらく日本で一番通じていると言っていいと思う。海外の展示会にも頻繁に足を運び、欧米の記事から伝わる最新情報もいち早く入手している。 そんな長谷川氏が昨年10月に出版したのが「NETFL

第3回では踏み込んだ議論に〜総務省「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」

Introduction 総務省の有識者会議「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」について第1回第2回のレポートを寄稿してくれた岩井義和氏が第3回の議事もまとめてくれた。かなり踏み込んだ議論が行われたことがよくわかり、読んでいて動悸が高まった。悠長だった以前の「諸課題検討会」とはずいぶん違って「議論」になっている。そんな様子がよく伝わる貴重な第一次資料と言えるのでぜひ読んでもらえればと思う。 12月15日、「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会

2022年、メディアのグランドデザインをつくろう

小さな議論より大きな議論をすべき時例えば、テレビ放送の同時配信。やるべきなのか、どうなのか。NHKの同時配信がすでに始まり、民放でもキー局が春までに出揃うこの段階になってもまだ議論が落ち着いていないのはどういうことでしょう。同時配信を同時配信だけで議論しているからだと思うのです。 同時配信にニーズはあるのか、ビジネスになるのか、ローカル局はいらなくなるのか。それらを同時配信だけで議論していても答えは出てきません。同時配信がある一方で、ネットでテレビ番組をどう視聴してもらい、地

テレビ局はコロナ禍から立ち直ったか〜2021年度第2四半期決算より

テレビ局の放送収入はコロナ前に戻せたか?今週、キー局の第2四半期決算が出揃った。業界諸氏が気になるのは、コロナ禍で大きく沈んだ放送収入が持ち直したかどうかだろう。 MediaBorderではキー局の経営状況を、放送収入に絞って解説してきた。各局上場しているが、ホールディングス体制なのでグループ全体の数字を見ても「放送事業」がどうなのかはわかりにくい。中核会社であるテレビ局本体の「放送収入」を見るのが、テレビメディアの現状把握には重要だ。 そこで今回も、各局の放送収入がどう

キー局が同時配信を始めたらローカル局はおしまいなのか?

遅くとも来年1月には全キー局の同時配信が出揃う昨日届いた映像新聞の一面トップでキー局の同時配信開始が報じられていた。昨年、日本テレビが単独で同時配信の実験を行い、今年の秋にはキー局が並んでスタートするのだと囁かれていた。だが映像新聞の見出しには「10月から順次開始」とある。 「10月に一斉に始める」との噂だったのだが、簡単には足並みが揃わなかったようだ。映像新聞によると日本テレビは当初言われていた通り10月に開始するが、他の局は"順次続く"という。さらにこう書かれている。