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テレビとネットの横断業界誌 MediaBorder

放送と通信の融合をテーマに、取材した記事や論考記事をメディアコンサルタント境治が書いていきます。テレビ局の方を中心に、広告業界、ネットメディア、調査会社など様々な分野の皆さんにご…
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#テレビ

4月22日、ウェビナー「能登半島地震にテレビ局はどう向き合ったか」を開催します

元日の地震から丸3ヶ月経ちました。復興はまだまだ進んでいない様子で、被害に遭われた方々にはあらためてお見舞い申し上げます。 MediaBorderでも、この地震については北陸各局の方々に情報提供していただき記事にしてきました。 今回の地震は「日本の弱点を突かれた」と言っていた方がいます。元日という日本人が最も油断する日に、能登半島という複雑で奥まった地形の地域を中心に起こった。だからこそ、新たな課題が多い地震だと言えるでしょう。 ウェビナーでは、石川県のMRO北陸放送、富山

「テレビデバイス」を重視するライフネット生命の”テレビ愛”を聞く

ライフネット生命の社名を今や知らない人はいないだろう。博多華丸・大吉がCMに登場し、漫才で保険を語る。スマホで見積もりを出してすぐ契約できる、ネット時代に合ったスタイルの生命保険会社だ。 マーケティング部長の肥田康宏氏は、実は2015年のInter BEEで私が企画したセッションに登壇いただき、以来Facebookでやりとりしていた。最近、いくつかの記事で取材に答えて、テレビ放送もCTVも同じテレビで視聴する広告媒体として「テレビデバイス」と捉えていると語っている。 In

メディアは広告であり、2024年は広告が問われる

※トップ画像はAdobeFireflyに「2024年は広告がメチャクチャになっているのが問題として浮上する」と入力して生成されたもの みなさん、すでに2024年の業務を開始したことだろう。MediaBorderも遅ればせながら最初の記事をお届けする。今年、メディアにおいて最重要問題となるのは、広告だと思う。それは、テレビ広告においてとネット広告とで問題の方向が違ってくる。 メディアは広告とセットの存在である SVODはじめ「サブスク」の形態が2010年代に急速に浮上した

2023年、MediaBorder的10大ニュース(後編)

※トップ画像はAdobe Fireflyで「ローカル局は再編を迫られCTV市場の誕生が待たれる」と入力して出てきた生成Ai画像 昨日の前編に続いて、今年の10大ニュース後編として6〜10をお届けする。 6:ローカル局再編の予兆 すでに総務省の有識者会議では放送業界の縮小を前提にした議論が進んでおり、ローカル局をキー局傘下に入れやすくしたり、数局に分かれていた局が同じ内容を放送するのも選択としてありになっていた。今年度は赤字局がいくつも出るとの噂で、にわかにこうした新制

「視聴率の民主化!」TVAL nowが業界に問うメッセージ

いつでも誰でもどこにいても、今の視聴率がわかる! 今月5日、スイッチメディア社が「TVAL NOW」を公開した。誰でもリアルタイムで地上波テレビの視聴率がグラフで見られるサービスで、なんと無料だ。 この件は私のFacebookのタイムライン上でかなり話題になり、さっそく使ってみた人々がシェアしていた。業界の人々が多いので当然だが、X(Twitter)の方でもさっそくハッシュタグ「#TVALnow」ができて、一般の方々がグラフを共有しコメントを交わしあっている。 長らくテレビ

INTER BEE BORDERLESS全セッションを解説する:前編

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メディアはイマであり、テレビはまあまあどうでもいいイマが強みだった

LiveParkがローカル局と楽天をむすぶ「のぞいてニッポン」を開設7月14日、「のぞいてニッポン」という新しいWEBメディアの発表会を取材しに行った。もっとも、すでにいくつかの記事で伝えられているし、メディアそのものもオープンしているので、それらを見た方がよくわかるだろう。 さらに、参加しているローカル局がそれぞれニュースとして発信し、自社のYouTubeチャンネルやニュースサイトに置かれているのも、このプロジェクトらしい伝わり方だ。 「のぞいてニッポン」の企画意図上

放送業界の解決策は「話すこと」ではないか(たぶんどの業界でも)

放送業界は未曾有の危機に瀕している。何が課題で、どうすればいいのか、割とはっきりしていると思う。誰に聞いても、そんなに違わないことを言う。あそこに課題がある。そこに問題がある。こう解決すべきだ。こんな打開策がある。 それなのに、どのテレビ局も具体的な動きが見えてこない。なぜだろうと不思議に感じる。 足りないのは「話すこと」ではないか。 経営者が危機感を持っているなら現場と話すべきだ。正しい対策が見えているなら、社員たちと話すべきだ。動きが見えないのは、それが足りてないか

日本のメディアは、一人の老人によるおぞましい行いを、海外から指摘されるまで扱えなかった

NHK「クロ現」がようやく扱ったジャニー喜多川氏の行い 先週17日のクローズアップ現代でジャニーズ事務所の問題を扱った。 その前の週末に事務所社長のジュリー藤島氏が映像で会見したのを受け、NHKとしても正面からこの問題に取り組んだ番組だ。私はきっかけとなったBBCの番組も見ていたが、日本のメディアで本気で問題に切り込んだ姿勢は評価していいと思う。他にもTBSも頑張っているし、日テレも櫻井翔がキャスターを務める15日の「news zero」と21日の「バンキシャ」で扱ったの

放送収入はもう伸びないことがはっきりした〜2022年度キー局決算を考える

惨憺たる状況の在京キー局決算 先週、5月11日から12日にかけて在京テレビ局の決算が出揃った。放送業界の惨憺たる状況を如実に映し出す内容だった。 簡単なグラフを作ったので見てもらおう。これは決算説明会の資料から、各局の単体の数字を抜き出して比べたものだ。在京キー局はすべてホールディングス体制をとっており、それぞれ様々な会社を抱えているので、連結決算の数字ではかえって「放送事業」の実体を比べにくくなる。TBSならTBSホールディングスではなくTBSテレビだけの数字を見たほう

ローカル局はわかっているなら、動くしかない

月刊ニューメディアの秀逸企画、ローカル局社長アンケート 月刊ニューメディアの6月号(5月1日発売)が非常にいい特集を組んでいる。「ローカル局経営トップ42人がアンケートに答えた『経営の現在地と展望』」と題して、大々的なアンケートをローカル局社長に対して行っているのだ。 これはすぐに読みたいと、私はネット注文ではなくわざわざ東京駅の丸善本店まで行って購入した。用事もあったからだが、足を運んだ甲斐がある迫力ある記事だった。 アンケート項目は「放送収入と放送外収入」「経営課題」

目指すのは、サービスよりメディアなのか?〜dTVからLeminoへのリニューアルを聞く(後編)

dTVからLeminoへのリニューアルについてのNTTドコモ・田中智則氏へのインタビュー後編をお届けする。前編未読の方はぜひそちらからお読みください。 前編ではリニューアルしたサービスの内容について聞いたが、後編ではビジネス面と今後のビジョンについて聞いていく。そこでわかってきたのは、Leminoの目標は、サービスでありつつメディアになることだった。 無料モデルでAVODとして広告の受け皿にもなる 以下、「」内は田中氏の発言。 ---Leminoは有料と無料が選べるハイ

今後のテレビ業界に関する無責任な推計〜日本の広告費2022を元に〜

誰も彼もうなだれているテレビ業界電通が毎年この時期に出している「日本の広告費」の2022年版が今年も2月24日に発表された。 全体に伸びたし、インターネット広告費はついに3兆円を超えた。それが今年のトピックだ。私はこのデータが出るたびに毎年グラフを更新してきた。地上波テレビ広告費、インターネット広告費、新聞広告費の数字を取り出して折れ線グラフにしたものだ。 地上波テレビ広告費は前年比97.6%で1兆6768億円だった。2020年はコロナ禍で急減し、2021年はそれを取り戻

FASTは「次のテレビ」の代表選手かもしれない

放送みたいな配信サービス、FAST1月25日(水)開催のウェビナー「海外事例から考えるテレビの未来〜FASTとPSMを題材に〜」で取り上げるFASTとは何か、なぜこのタイミングで紹介するのか、少し解説しておきたい。 FASTはFree Ad-supported Streaming TV("Streaming"を入れない表記も多い)の略で、広告モデルのリニア型配信サービスだ。放送ではないが、放送みたいな配信形式だと言える。映像配信サービスと言えば、オンデマンドだった。サービス