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テレビとネットの横断業界誌 MediaBorder

放送と通信の融合をテーマに、取材した記事や論考記事をメディアコンサルタント境治が書いていきます。テレビ局の方を中心に、広告業界、ネットメディア、調査会社など様々な分野の皆さんにご…
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#TVer

2023年、MediaBorder的10大ニュース(前編)

※トップ画像はAdobe Fireflyで「放送事業はもはや成長できずインターネットに活路を見出すしかないがまだまだ途上である」と入力して出てきた生成Ai画像 いつのまにか2023年も残り数日。MediaBorderもこれが今年最後の記事になりそうだ。昨年は読者の皆様に投票してもらったが、今年は私が勝手に決めてMediaBorder的10大ニュースをお届けしよう。一度に書くと長ーくなるので、まずは1〜5をどうぞ。 1:テレビ放送事業の地盤沈下が決定的に 今年は何と言って

INTER BEE BORDERLES、VODセッションでもらった質問に回答をいただいた

11月15日〜17日に開催されたInter BEEが盛況のうち、終了した。コロナ期はオンライン開催となったが昨年から各カンファレンスも幕張で行うようになり、今年は私が担当するINTER BEE BORDERLESSも9つのセッションをリアルで行うことができた。 開催前の記事で各セッションを紹介したが、私がモデレーターを務めたのは17日13時からの「配信サービスはVODの次に進むか」。U-NEXTの本多利彦氏、TVerの蜷川新治郎氏、FOD(フジテレビ)の野村和生氏をお招きす

テレビ業界はいったん下がって、また這い上がるのか?

テレビ”も”やってる会社になり「テレビ局」の言葉は消える 10月19日に開催した恒例のSSKセミナー「キー局のメディア戦略2023」は盛況のうちに無事終えることができた。聴講いただいた方には感謝をお伝えしたい。 このセミナーはクローズな開催が条件なので、毎年レビュー的なことは書かない。ただ今年は、最後に非常に興味深い発言があったので、登壇者の皆さんのお許しをいただき、誰の発言かには触れない形でこの記事に書こうと思う。 セミナーは、テーマごとに私からの質問に回答してもらう形

メディアはイマであり、テレビはまあまあどうでもいいイマが強みだった

LiveParkがローカル局と楽天をむすぶ「のぞいてニッポン」を開設7月14日、「のぞいてニッポン」という新しいWEBメディアの発表会を取材しに行った。もっとも、すでにいくつかの記事で伝えられているし、メディアそのものもオープンしているので、それらを見た方がよくわかるだろう。 さらに、参加しているローカル局がそれぞれニュースとして発信し、自社のYouTubeチャンネルやニュースサイトに置かれているのも、このプロジェクトらしい伝わり方だ。 「のぞいてニッポン」の企画意図上

TVer→サブスク→グッズ→イベントというコンテンツ戦略〜さんいん中央テレビ『かまいたちの掟』制作者・川中優氏インタビュー(後編)

さんいん中央テレビ『かまいたちの掟』の制作者・川中優氏へのインタビュー。前編では当初から配信を意識した考え方を聞いた。後編ではコンテンツビジネスとしての戦略を語ってくれている。(前編はこちら↓) 『ゴリパラ』に刺激を受けやってみたかったイベント 以下、「」内は川中氏の発言 ---2020年に番組が始まって、翌年のTVer Awardを獲得してますね。 「2022年の3月に、前年のローカル番組の中で1番再生回数が多かったと表彰してもらえました。始めた時の目標は達成したけど

TVerで人気爆発のきっかけは、濱家の遅刻だった!〜さんいん中央テレビ『かまいたちの掟』制作者・川中優氏インタビュー(前編)

今人気絶頂のお笑いコンビ・かまいたちが、島根県松江市に本社があるさんいん中央テレビで『かまいたちの掟』というレギュラー番組に出演している。キー局でも冠番組をいくつも持つ彼らだが、『掟』はそれらに負けない人気で、TVerでアワードも獲得したという。 そこでこの番組の演出でさんいん中央テレビ・コンテンツプロデュース部の川中優氏にインタビューした。ローカル発で全国的人気番組になった裏には、若い世代ならではの戦略とちょっとした偶然、そして新しい挑戦をバックアップする会社の空気もあった

ローカル局はわかっているなら、動くしかない

月刊ニューメディアの秀逸企画、ローカル局社長アンケート 月刊ニューメディアの6月号(5月1日発売)が非常にいい特集を組んでいる。「ローカル局経営トップ42人がアンケートに答えた『経営の現在地と展望』」と題して、大々的なアンケートをローカル局社長に対して行っているのだ。 これはすぐに読みたいと、私はネット注文ではなくわざわざ東京駅の丸善本店まで行って購入した。用事もあったからだが、足を運んだ甲斐がある迫力ある記事だった。 アンケート項目は「放送収入と放送外収入」「経営課題」

テレビ神奈川がTVerで「tvk祭」を開催。担当者インタビュー全文

先週、Yahoo!でこんな記事を書いた。テレビ神奈川がTVerで一挙14番組を配信する「tvk祭」を実施したことについてだ。 3月31日、今週金曜日までなので、この機会にのぞいてみるといいだろう。TVerの「tvk祭」の入り口はこちら↓ Yahoo!の記事は、テレビ神奈川の編成局次長兼編成部長の遠藤幹彦氏と編成局編成部の三村伸弥氏へのインタビューをもとに構成したものだが、一般向けにほんの一部しか使っていない。せっかく貴重なお話を聞けたので、MediaBorderでインタビ

SSKセミナー「メディア戦略2022」10月28日開催!

MediaBorder運営人、境治は毎年SSK(新社会システム研究所)の依頼で在京キー局のキーマン5名が一同に会する「メディア戦略セミナー」をコーディネートしてきた。今年も10月28日(金)15時から開催する。オンラインのみでの開催だが、その分、全国から参加してもらいやすいだろう。 「メディア戦略セミナー」は、2016年からタイトルの通り、テレビ局の「メディア戦略」をテーマにしてきた。在京キー局はホールディングス体制に入り、BS、CSそしてインターネットをどう使いこなし、使

同時配信のあるべき姿が見えてきた〜6/21ウェビナー「同時配信の議論を決着させる」のポイント

6月21日にウェビナー「同時配信の議論を決着させる〜メディアのグランドデザイン会議第二回〜」を開催し、80名を超える参加者が集まり盛況となった。ここで議論のすべてをレポートするわけにもいかないので、私としてポイントだと思う箇所について記事にしたい。 登壇したのは、以下の方々だった。 電通メディアイノベーションラボ:奥律哉氏 ワイズ・メディア:塚本幹夫氏 青山学院大学 教授:内山隆氏 noteプロデューサー/ブロガー:徳力基彦氏 なぜ同時配信をやるべきか?若者の映像視聴の

次は「ネットのテレビはバラバラでいいのか問題」

同時配信を号令に、テレビ局の新しい取組み続々TVerでのキー局揃っての同時配信が始まった今月、テレビ局による様々な新しい取組みが続々スタートしている。 TBSが本日始動させたニュースサイト「TBS NEWS DIG」は大きな動きとして注目だ。 これはMediaBorderで昨年取材したフジネットワークのFNNプライムオンラインのJNN版だ。TBSの人は嫌がるかもしれないが、これがいちばんわかりやすい説明だと思う。 FNNプライムオンラインと同様、JNN系列のテレビ局が配信

同時配信は新しいテレビのゴールではなく、はじめの一歩にすぎない

「開明派」の念願がようやく成就昨日、4月11日夜からテレビ放送の同時配信がTVerで民放キー局が揃ってスタートした。ご存知の通り、日本テレビは昨年秋から先行していたのだが、やはり5局が勢揃いした状態には強いパワーを感じた。 特に画面をスワイプすると次々に他局に移ってザッピングできるのは非常に感動した。テレビ放送とはザッピングなのだなとあらためて認識した気がする。もっとも、スマホを横位置にした時にザッピングするにはワンタップする必要があるのはちょっともどかしく残念にも思った。

TOKYO2020で、ようやく放送と通信は融合したが・・・

※画像はテレビ画面上のTVerのオリンピックページより(肖像権著作権に配慮し、一部にぼかしをかけています) オリンピック真っ盛りの7月下旬、コロナ禍で家に閉じこもり、朝から晩まで各競技を観戦する人も多いだろう。筆者も、家での作業で一息ついたらテレビをつけ、夜は各種競技をザッピングしては「メダルの瞬間」を探し回っている。 この「瞬間の共有」こそがオリンピックを放送で見る醍醐味だと思う。筆者は正直、スポーツ観戦には興味が薄い方だが、それでもオリンピックのために時間を割くのは「

新しい時代〜山本英治氏寄稿〜

Introduction 山本英治氏からの寄稿。テレビとネットの間で仕事してきたベテランの視点で、「時代の変わり目」を語ってくれたもの。面白いので、じっくり読んでいただきたい。 書き手:毎日放送・山本英治 毎日放送の山本と申します。私は一旦定年退職して、今は再雇用のシニアスタッフとして働いているのですが、最近とみに「あ、自分はもう必要とされていないのだなあ」と感じることが多くなりました。 いや、年寄りのひがみや愚痴じゃないんです。もう我々の、と言うか、自分の役割は終わっ