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テレビとネットの横断業界誌 MediaBorder

放送と通信の融合をテーマに、取材した記事や論考記事をメディアコンサルタント境治が書いていきます。テレビ局の方を中心に、広告業界、ネットメディア、調査会社など様々な分野の皆さんにご… もっと読む
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#総務省

新聞業界の恐るべき政治力と、その無意味な使われ方

8月10日の「公共放送WG」には民放連と新聞協会がオブザーバーとして参加していた。これまでにも両団体は何度も参加していたが、WGではあまり積極的に耳を傾けていたとは言えなかったと思う。ところが10日のWGでは打って変わって、特に新聞協会の発言機会が多かったし、有識者のみなさんもいちいち「・・・と考えますが、新聞協会様はいかがでしょう」と協会に意見を求めていた。WG全体が新聞協会に気を使いまくっているように見えた。 これについては前回の記事でも「新聞協会側が形勢逆転を狙って動き

新聞業界がNHKを「民業圧迫」と詰めても誰も得しない件について

有識者会議が終わるたびに出てくる新聞各紙の奇妙な記事 まず最初に書いておくと、私は決してNHKの味方のつもりはない。むしろおかしいと思ったらずけずけ批判的なことも書いてきた。 ただ、総務省の有識者会議が終わるたびに新聞各紙と通信社が同じ会議を傍聴したとは思えない記事を出すのをいつも奇妙に感じている。 6月30日(金)も15時から「公共放送ワーキンググループ(以下、WG)」が開催され、NHKのネット事業を必須業務化する件についての議論が行われた後、朝日新聞がこんな記事を出して

既存メディアにとって、昨日のライバルはもはやライバルではない〜「NHK受信料騒動」を振り返って〜

これまでの枠組みから考え方を変えられない人々は本当に見ていて情けない。ところが、既存メディアの組織では上の方にそういう人が多い。その組織にとっての害悪でさえあると思う。 総務省・公共放送WGの報じ方に表れた新聞業界の不毛9月21日夕方、総務省の有識者会議「公共放送ワーキンググループ」の第1回が行われ、筆者も傍聴した。これは昨年11月からの「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」の分科会だ。(検討会親会についてはMediaBorderでも何度かお伝えしてきたので

テレビ局が再編するなら、ローカル発で議論すべきではないか?

3分の1が全体を決めていいのか?日本のテレビ局は再編が必要。いつの間にかそんな前提でこの国のメディアの将来像について議論が始まっている。例えば総務省による有識者会議「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」ではインフラ共有などが議論され、また2つのキー局から認定持株会社制度の改正について提言がなされた。それらは非常に前向きで、今まで表立って議論しにくいと思われていた事柄をはっきり表に出していて評価できる。 だが一方で、ローカル局からの意見は少なくとも誰かが顔出し

「デジ放検」まとめにあえて今さら入れたいツッコミ

MediaBorder購読者の諸兄なら注目してきた方も多いと思う。総務省の有識者会議「デジタル時代における放送の将来像と制度の在り方に関する検討会」がとりあえず一旦終了したようだ。終了と言ってもこれでおしまいではなく、どうやらメンバーを入れ替えて新たなテーマで議論するらしい。現メンバーでの議論を終えたということだろう、7月29日の第13回の最後には座長である早稲田大学大学院教授・三友仁志氏が最後の挨拶を述べておられた。 どんな内容だったかは総務省のWEBサイトに掲載されてい

4/20、「検討会を検討する」ウェビナー開催(MediaBorder購読者割引あり)

MediaBorderでは「デジタル時代の放送制度検討会を検討する」と題したウェビナーを4月20日17時より開催する。本日からPeatixで申し込み受付を開始した。 通常3,300円のところ、MediaBorder購読者は2,500円への割引があるので、この記事の一番最後に記載された割引コードを申し込み時に入力してほしい。(申し込みはここから↓) 「検討会」の副読本としてのウェビナー業界関係者で、総務省の「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」に注目している人

放送ネットワークは誰のためのものか

放送ネットワークは新聞社のものなのか? 今回は書籍の紹介をしたいのだが、その前に余談から入ろう。 2月16日に総務省の有識者会議「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会・第5回」が開催された。この会議はインターネットが情報流通の主戦場になってきた時代にふさわしい放送制度を議論するのが目的だ。この前の「放送を巡る諸課題に関する検討会」(2015年〜2020年)は事実上NHKの同時配信を議論する会議体だった一方で、主催者である総務省のナビゲーションに主体性がなく、大

ローカル局の主体性は失われていくだけなのか?

総務省「デジタル時代放送制度検討会」の本気総務省による有識者会議「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」が昨年11月にスタートした。MediaBorderでは岩井義和氏による議事録をお伝えしてきた。 NHK放送文化研究所の村上圭子氏が「文研ブログ」にこの3回の論点をわかりやすくまとめているので、こちらも参考になると思う。 前の「放送を巡る諸課題に関する検討会」は事実上NHKの同時配信について議論する場だったが、話が進まず何を議論しているのかわからない印象だっ

第3回では踏み込んだ議論に〜総務省「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」

Introduction 総務省の有識者会議「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」について第1回第2回のレポートを寄稿してくれた岩井義和氏が第3回の議事もまとめてくれた。かなり踏み込んだ議論が行われたことがよくわかり、読んでいて動悸が高まった。悠長だった以前の「諸課題検討会」とはずいぶん違って「議論」になっている。そんな様子がよく伝わる貴重な第一次資料と言えるのでぜひ読んでもらえればと思う。 12月15日、「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会

第2回で見えてきた総務省「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」の向かう先

Introduction 先月、「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」第1回のレポートを寄稿してくれた岩井義和氏から、6日に開催されたばかりの第2回のレポートも届いたので掲載する。前回から、この会議の帰着点が見え隠れしていたが、第2回ではっきりしてきたように感じる。会議の内容をほぼ再現しているので、ぜひじっくりお読みいただきたい。 第1回のレポート記事はこちら↓ 会議傍聴後の所感12月6日、「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」の第2回が開

検証:各総裁候補の放送業界への態度は?

Introduction 自民党総裁選候補が出揃い、論戦が盛り上がっている。MediaBorder的には放送業界への影響が気になるところ。そこで元フジテレビで政治と放送業界についても詳しい塚本幹夫氏に、各候補の放送業界への態度についてご寄稿をお願いした。この総裁選が今後の放送業界をどう左右するか、皆さんの参考にしてもらいたい。 書き手:株式会社ワイズ・メディア 取締役メディアストラテジスト・塚本幹夫氏 自民党総裁選挙の候補者が出揃った。官邸や政党担当は経験ないが、かつて報

地域メディアはコミュニケーションの未来を作れるか〜広島実証実験を中国新聞担当者に聞く〜

※トップの画像はニュースリリースより 2月半ば、私のFacebookにScreens(放送業界の最新動向を伝えるメディア・株式会社TVer運営)の記事が流れてきた。 広島県内の民間放送4社と中国新聞社、広島県民向けインターネット配信の実証実験開始 民放による共同での実証実験は珍しくはないが、新聞社も参加する例はあまりないので目に留まった。そして、これはどこかで聞いたことがあるぞ!と考えて思い出した。 筆者が昨年出版した「嫌われモノの<広告>は再生するか」の反響をくれた中