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テレビとネットの横断業界誌 MediaBorder

放送と通信の融合をテーマに、取材した記事や論考記事をメディアコンサルタント境治が書いていきます。テレビ局の方を中心に、広告業界、ネットメディア、調査会社など様々な分野の皆さんにご…
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#メディア

メディアは広告であり、2024年は広告が問われる

※トップ画像はAdobeFireflyに「2024年は広告がメチャクチャになっているのが問題として浮上する」と入力して生成されたもの みなさん、すでに2024年の業務を開始したことだろう。MediaBorderも遅ればせながら最初の記事をお届けする。今年、メディアにおいて最重要問題となるのは、広告だと思う。それは、テレビ広告においてとネット広告とで問題の方向が違ってくる。 メディアは広告とセットの存在である SVODはじめ「サブスク」の形態が2010年代に急速に浮上した

NHKは「公共メディアへ」の進化を投げ出してしまったも同然だ

NHKが「公共メディア」と言い出したのは8年も前 NHKは2015年に発表した「経営計画 2015-2017年度」で「公共メディア」の言葉を使い公共放送から公共メディアを目指すことを宣言した。 ビジョンについて語る冒頭部分の最後にこう書かれている。 「公共放送から、放送と通信の融合時代にふさわしい”公共メディア”への進化を見据えて、挑戦と改革を続けます。」 これを読んで私は「公共メディア」を、電波を使っていたこれまでの「公共放送」から、通信との融合による新しい伝え方を駆

メディアはイマであり、テレビはまあまあどうでもいいイマが強みだった

LiveParkがローカル局と楽天をむすぶ「のぞいてニッポン」を開設7月14日、「のぞいてニッポン」という新しいWEBメディアの発表会を取材しに行った。もっとも、すでにいくつかの記事で伝えられているし、メディアそのものもオープンしているので、それらを見た方がよくわかるだろう。 さらに、参加しているローカル局がそれぞれニュースとして発信し、自社のYouTubeチャンネルやニュースサイトに置かれているのも、このプロジェクトらしい伝わり方だ。 「のぞいてニッポン」の企画意図上

放送業界の解決策は「話すこと」ではないか(たぶんどの業界でも)

放送業界は未曾有の危機に瀕している。何が課題で、どうすればいいのか、割とはっきりしていると思う。誰に聞いても、そんなに違わないことを言う。あそこに課題がある。そこに問題がある。こう解決すべきだ。こんな打開策がある。 それなのに、どのテレビ局も具体的な動きが見えてこない。なぜだろうと不思議に感じる。 足りないのは「話すこと」ではないか。 経営者が危機感を持っているなら現場と話すべきだ。正しい対策が見えているなら、社員たちと話すべきだ。動きが見えないのは、それが足りてないか

日本のメディアは、一人の老人によるおぞましい行いを、海外から指摘されるまで扱えなかった

NHK「クロ現」がようやく扱ったジャニー喜多川氏の行い 先週17日のクローズアップ現代でジャニーズ事務所の問題を扱った。 その前の週末に事務所社長のジュリー藤島氏が映像で会見したのを受け、NHKとしても正面からこの問題に取り組んだ番組だ。私はきっかけとなったBBCの番組も見ていたが、日本のメディアで本気で問題に切り込んだ姿勢は評価していいと思う。他にもTBSも頑張っているし、日テレも櫻井翔がキャスターを務める15日の「news zero」と21日の「バンキシャ」で扱ったの

目指すのは、サービスよりメディアなのか?〜dTVからLeminoへのリニューアルを聞く(後編)

dTVからLeminoへのリニューアルについてのNTTドコモ・田中智則氏へのインタビュー後編をお届けする。前編未読の方はぜひそちらからお読みください。 前編ではリニューアルしたサービスの内容について聞いたが、後編ではビジネス面と今後のビジョンについて聞いていく。そこでわかってきたのは、Leminoの目標は、サービスでありつつメディアになることだった。 無料モデルでAVODとして広告の受け皿にもなる 以下、「」内は田中氏の発言。 ---Leminoは有料と無料が選べるハイ

日本の放送業界は欧州型に転換すべきではないか

先日、宣伝会議が発行するWEBメディア「Advertimes」上で青山学院大学の内山隆教授と対談企画を記事化した。対談と言ってもほぼ、私が内山先生に質問していくインタビュー記事のようなものだ。 3月に放送法解釈問題が国会を賑わせ、本題を離れて高市大臣の議員辞職だの、文書を公表した小西議員のメディアへの暴論などに広がり収拾がつかなくなった。だが放送法を考えるいい機会だと思い、「4条はなぜ必要か」「政府と放送局の関係」などをお聞きした。内山先生も赤裸々に質問に答えてくださり、読み

NHKと民放連、二人の会長が握手する日

進んでいるのかわからない総務省有識者会議 12月5日、突如NHKの次期会長が発表された。6日発表と聞いていたので不思議だった。さらにそのほんの数日前に東洋経済が「次期会長は元丸紅社長・朝田氏」とすっぱ抜いていたのに、正式発表されたのは元日銀の稲葉延雄氏だった。その裏を情報収集して回ったが、複数説が飛び交い真相を見極められていない。 それはともかく、NHKの新会長は稲葉氏と決まった。来年1月に就任することになる。 NHKについては総務省の有識者会議「デジタル時代における放送制

SSKセミナー「メディア戦略2022」10月28日開催!

MediaBorder運営人、境治は毎年SSK(新社会システム研究所)の依頼で在京キー局のキーマン5名が一同に会する「メディア戦略セミナー」をコーディネートしてきた。今年も10月28日(金)15時から開催する。オンラインのみでの開催だが、その分、全国から参加してもらいやすいだろう。 「メディア戦略セミナー」は、2016年からタイトルの通り、テレビ局の「メディア戦略」をテーマにしてきた。在京キー局はホールディングス体制に入り、BS、CSそしてインターネットをどう使いこなし、使

4/20、「検討会を検討する」ウェビナー開催(MediaBorder購読者割引あり)

MediaBorderでは「デジタル時代の放送制度検討会を検討する」と題したウェビナーを4月20日17時より開催する。本日からPeatixで申し込み受付を開始した。 通常3,300円のところ、MediaBorder購読者は2,500円への割引があるので、この記事の一番最後に記載された割引コードを申し込み時に入力してほしい。(申し込みはここから↓) 「検討会」の副読本としてのウェビナー業界関係者で、総務省の「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」に注目している人

2022年、メディアのグランドデザインをつくろう

小さな議論より大きな議論をすべき時例えば、テレビ放送の同時配信。やるべきなのか、どうなのか。NHKの同時配信がすでに始まり、民放でもキー局が春までに出揃うこの段階になってもまだ議論が落ち着いていないのはどういうことでしょう。同時配信を同時配信だけで議論しているからだと思うのです。 同時配信にニーズはあるのか、ビジネスになるのか、ローカル局はいらなくなるのか。それらを同時配信だけで議論していても答えは出てきません。同時配信がある一方で、ネットでテレビ番組をどう視聴してもらい、地