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テレビとネットの横断業界誌 MediaBorder

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#デジタル時代の放送制度の在り方

テレビ局が再編するなら、ローカル発で議論すべきではないか?

3分の1が全体を決めていいのか?日本のテレビ局は再編が必要。いつの間にかそんな前提でこの国のメディアの将来像について議論が始まっている。例えば総務省による有識者会議「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」ではインフラ共有などが議論され、また2つのキー局から認定持株会社制度の改正について提言がなされた。それらは非常に前向きで、今まで表立って議論しにくいと思われていた事柄をはっきり表に出していて評価できる。 だが一方で、ローカル局からの意見は少なくとも誰かが顔出し

「デジ放検」まとめにあえて今さら入れたいツッコミ

MediaBorder購読者の諸兄なら注目してきた方も多いと思う。総務省の有識者会議「デジタル時代における放送の将来像と制度の在り方に関する検討会」がとりあえず一旦終了したようだ。終了と言ってもこれでおしまいではなく、どうやらメンバーを入れ替えて新たなテーマで議論するらしい。現メンバーでの議論を終えたということだろう、7月29日の第13回の最後には座長である早稲田大学大学院教授・三友仁志氏が最後の挨拶を述べておられた。 どんな内容だったかは総務省のWEBサイトに掲載されてい

テレビを支配したがる新聞社という存在

日本新聞協会という名の圧力団体今週、こんなニュースが配信された。 共同通信が配信したこの記事は、地方紙にも転載され、新聞業界全体が大合唱しているように見えた。 総務省の有識者会議がまとめた放送制度改革案に対して日本新聞協会が意見書を出した、という記事で、「NHKのネット拡大を危惧」がその中身らしい。今、NHKのネット拡大を危惧するのはNHK党と新聞協会ではないか。 「日本新聞協会」の名で出てくる放送業界への意見に接するといつも、何のために出しているのだろうと思ってしまう

放送ネットワークは誰のためのものか

放送ネットワークは新聞社のものなのか? 今回は書籍の紹介をしたいのだが、その前に余談から入ろう。 2月16日に総務省の有識者会議「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会・第5回」が開催された。この会議はインターネットが情報流通の主戦場になってきた時代にふさわしい放送制度を議論するのが目的だ。この前の「放送を巡る諸課題に関する検討会」(2015年〜2020年)は事実上NHKの同時配信を議論する会議体だった一方で、主催者である総務省のナビゲーションに主体性がなく、大

ローカル局の主体性は失われていくだけなのか?

総務省「デジタル時代放送制度検討会」の本気総務省による有識者会議「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」が昨年11月にスタートした。MediaBorderでは岩井義和氏による議事録をお伝えしてきた。 NHK放送文化研究所の村上圭子氏が「文研ブログ」にこの3回の論点をわかりやすくまとめているので、こちらも参考になると思う。 前の「放送を巡る諸課題に関する検討会」は事実上NHKの同時配信について議論する場だったが、話が進まず何を議論しているのかわからない印象だっ

第3回では踏み込んだ議論に〜総務省「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」

Introduction 総務省の有識者会議「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」について第1回第2回のレポートを寄稿してくれた岩井義和氏が第3回の議事もまとめてくれた。かなり踏み込んだ議論が行われたことがよくわかり、読んでいて動悸が高まった。悠長だった以前の「諸課題検討会」とはずいぶん違って「議論」になっている。そんな様子がよく伝わる貴重な第一次資料と言えるのでぜひ読んでもらえればと思う。 12月15日、「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会

第2回で見えてきた総務省「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」の向かう先

Introduction 先月、「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」第1回のレポートを寄稿してくれた岩井義和氏から、6日に開催されたばかりの第2回のレポートも届いたので掲載する。前回から、この会議の帰着点が見え隠れしていたが、第2回ではっきりしてきたように感じる。会議の内容をほぼ再現しているので、ぜひじっくりお読みいただきたい。 第1回のレポート記事はこちら↓ 会議傍聴後の所感12月6日、「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」の第2回が開