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テレビとネットの横断業界誌 MediaBorder

放送と通信の融合をテーマに、取材した記事や論考記事をメディアコンサルタント境治が書いていきます。テレビ局の方を中心に、広告業界、ネットメディア、調査会社など様々な分野の皆さんにご… もっと読む
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#放送収入

キー局23年度半期決算ではっきりしたCTV市場の必要性

前年度から続く放送収入の大幅減少 キー局の2023年度第2四半期の決算が出揃った。キー局は持株会社制で全体の数字から放送事業の様子はわからないので、例によって中核会社としてのテレビ局単体の資料から放送収入だけを取り出して表にしてみた。 第1四半期とほぼ同じ傾向が続いているのがわかる。ただ、テレビ朝日とTBSはタイムが前年比プラスになっているのは特筆すべきだろう。スポットはどこも惨憺たる有様だが、フジテレビは-12.6%という悲しすぎる数字だ。合計でも-8.3%と最も減少

1Q決算に見るキー局の中の「差異」と、ローカル局の「格差」

キー局第一四半期決算が出揃う 先週、在京キー局の23年度第1四半期決算が出揃った。昨年度に続き厳しい状況だとの話は聞いていたが、その通りだった。ただ、局によって「差異」が出てきたなとも思う。 まずは各局の決算資料から放送収入だけを抜き出して表にしてみた。毎度説明しているが、決算はグループ全体のもので、企業構成もバラバラ。全体の数字を比べても放送事業がどうなのかは見えてこない。タイムとスポットに大別される「放送収入」だけを抜き出して初めて、各局の屋台骨たる放送事業が見えてく

放送収入はもう伸びないことがはっきりした〜2022年度キー局決算を考える

惨憺たる状況の在京キー局決算 先週、5月11日から12日にかけて在京テレビ局の決算が出揃った。放送業界の惨憺たる状況を如実に映し出す内容だった。 簡単なグラフを作ったので見てもらおう。これは決算説明会の資料から、各局の単体の数字を抜き出して比べたものだ。在京キー局はすべてホールディングス体制をとっており、それぞれ様々な会社を抱えているので、連結決算の数字ではかえって「放送事業」の実体を比べにくくなる。TBSならTBSホールディングスではなくTBSテレビだけの数字を見たほう

放送局の経営計画、シンプルな考え方

ピンチをチャンスに変えつつあるアメリカのテレビ局昨年末の映像新聞に興味深いグラフが載っていた。12月5日付の号のP4「攻勢・米TVネットワーク」と題した連載記事の二回目。B5G DXコンサルタントの奥村文隆氏が書いたもので、アメリカのテレビ局がコードカッティングでピンチを迎えているが、ストリーミングに注力することで逆に売上が拡大しているとのレポートだ。その記事に添える形でこんなグラフがあった。 このグラフは、薄い棒が「リニア」濃い棒が「コネクテッド」となっている。つまり放送

ここ数年、テレビ局の視聴率も収益も乱高下しているのを、知っておいた方がいい

このところ、テレビ業界やテレビ番組についての記事を見かけると強い違和感を感じることが多い。先日も「ちむどんどん」が「2010年以来視聴率ワースト1」との記事への違和感について書いたが、その後も例えば、「夏ドラマは不作で視聴率2桁のものが1つしかなかった」のような記事を見かける。いまだにコロナ前の感覚で番組について語っているようだ。令和に入り、コロナの影響でテレビ業界は状況にむちゃくちゃに振り回されている。視聴率も収益も乱高下しているので、これまでの感覚で捉える意味がなくなって

テレビ局の競争は、視聴率から戦略へ

コロナで乱高下した視聴率先週、在京キー局の決算が出揃った。このところPUTつまり視聴率全体が急落していると聞いていた。筆者は7月にそのことを取り上げた記事をYahoo!に掲載したところ、久々にえらく読まれた。 この時はインテージ社に視聴データをもらったのだが、確かに下がっていた。同社のデータでは性年齢別の多くのセグメントで特にゴールデンタイムで如実にダウンし、それが今年の4月を境目に起こっていた。 キー局の決算資料にはビデオリサーチの視聴率も掲載されるので、視聴率の変動を

テレビ局はコロナ禍から立ち直ったか〜2021年度第2四半期決算より

テレビ局の放送収入はコロナ前に戻せたか?今週、キー局の第2四半期決算が出揃った。業界諸氏が気になるのは、コロナ禍で大きく沈んだ放送収入が持ち直したかどうかだろう。 MediaBorderではキー局の経営状況を、放送収入に絞って解説してきた。各局上場しているが、ホールディングス体制なのでグループ全体の数字を見ても「放送事業」がどうなのかはわかりにくい。中核会社であるテレビ局本体の「放送収入」を見るのが、テレビメディアの現状把握には重要だ。 そこで今回も、各局の放送収入がどう

民放キー局決算から、見えつつある?勝ち組負け組

2021年度第1四半期の民放キー局各局の決算が出揃った。MediaBorderとしては例によって、決算資料からグループ全体ではなく局単独の数値、なかでも「放送収入」に絞って分析していく。それが「放送局」の現状を示すと考えるからだ。 ちなみに2020年度決算が出た際の記事(5月17日付)はこちらだ。 コロナ禍で軒並み放送収入が大きく下がった前年度から一転、今年度第1四半期は前年対比でプラスとなった。それを示すのが冒頭の表だ。日本テレビとフジテレビのタイム収入が下がったこと以

キー局決算から読み取る、これからのテレビ局の生き残り方

各局ともタイム・スポットともに大幅減先週、在京キー局の決算が出揃った。MediaBorderではここ数年、「放送収入」に絞って決算内容を検証してきた。ここでいう「放送収入」とは、番組が放送されることで得られる広告収入のことだ。「放送収入」にはいくつかの考え方があると思うが、ここではタイムとスポットのCMセールスの売上高と定義している。テレビ局のメイン収入となる金額だ。決算説明資料で各局ともタイムとスポットに分けて数字を発表しているので、取り出して並べやすいのもある。(フジテレ