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テレビとネットの横断業界誌 MediaBorder

放送と通信の融合をテーマに、取材した記事や論考記事をメディアコンサルタント境治が書いていきます。テレビ局の方を中心に、広告業界、ネットメディア、調査会社など様々な分野の皆さんにご…
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#放送通信融合

もう一度、テレビを発明せよ

テレビ番組がダメなのではないテレビ局が今、窮地に陥っているのは、よく考えるとおかしなことだ。テレビは見られなくなっているが、見られてもいる。放送が不便というだけで、TVerでドラマを毎週見る人は相変わらず多い。バラエティには個人的にいろいろ言いたいこともあるが、総じて若者は嫌ってはいない。何より、政治経済にしても事件や芸能ゴシップにしても、テレビ画面に登場して初めて広まる。これほど影響力の高いメディアはないのだ。 若者はスマホが手放せず、スマホで映像を自在に視聴するが、同じ映

2022年、放送と通信の垣根は崩壊した

MediaBorder購読者に回答をお願いした、2022年メディア界10大ニュース。投票とともに記述式でも回答してもらったら個々の文面がまた面白かった。そこで2022年最後の記事では、アンケートに書き込まれた皆さんのオピニオンを紹介したい。長くなるが、年末休暇の中で少しずつでも読んでもらえればと思う。 まずあらためて10大ニュースの選択肢を並べておこう。記事の便宜上、番号を投票の多い順に振っておく。 ABEMA、ワールドカップ全試合配信 Twitter買収、Meta(F

同時配信のあるべき姿が見えてきた〜6/21ウェビナー「同時配信の議論を決着させる」のポイント

6月21日にウェビナー「同時配信の議論を決着させる〜メディアのグランドデザイン会議第二回〜」を開催し、80名を超える参加者が集まり盛況となった。ここで議論のすべてをレポートするわけにもいかないので、私としてポイントだと思う箇所について記事にしたい。 登壇したのは、以下の方々だった。 電通メディアイノベーションラボ:奥律哉氏 ワイズ・メディア:塚本幹夫氏 青山学院大学 教授:内山隆氏 noteプロデューサー/ブロガー:徳力基彦氏 なぜ同時配信をやるべきか?若者の映像視聴の

【急告】6/16 17:00より、ウェビナーに向けプレ・ライブ配信を開催

6月21日に開催予定のウェビナー「同時配信の議論を決着させる〜メディアのグランドデザイン会議第二回〜」。 当日を前に告知のためのプレ・ライブ配信を6月16日(木)17時よりお送りする。ウェビナーで登壇いただく電通・奥律哉氏とワイズメディア・塚本幹夫氏にお願いし、同時配信について雑談的に話していただくものだ。 事前に知っておくと良い同時配信の知識や、これまでの議論の概要などをお話しいただく予定。だがシナリオを詰めているわけではないので、思わぬ脱線や知られざる裏話なども出て来る

提言:「ニュース」というアプリをテレビ局が作るなら今のうちだと思う

ニュースアプリの記事はクソ記事だらけこれは5年くらい前からずっと思っているのだが、テレビ局が系列を超えてNHKも民放も含め全国のニュースを集めて、一つのアプリで配信したらとても強いアプリになるので、早くやればいい。そろそろそれが価値を持つ最後のタイミングになってきたし、また既存のニュースアプリにみんなの嫌気が差し始めたので、これをやるなら今しかないと思う。 Yahoo!ニュースが様々なメディアのニュースを呑み込んでいき、一方でスマートニュースがどんどん成長してきた2010年

最新の放送技術を見に行ったら、7年前から進んでなかった件について

放送と通信をシームレスに視聴できるこれからのテレビ先週、NHK放送技術研究所で「技研公開2022」が開催された。今回は感染対策のため完全予約制で人数制限を行なっており、私は5月27日(金)11時に予約したら、この時間に限って大変な土砂降り。ジーンズの膝から下がすっかりずぶ濡れの状態で展示を見て回った。 タイトルを「進んでなかった」と嫌味な感じで書いてしまったが、それは後述するように思いを巡らせた感想で、実際には3年ぶりのリアル展示の数々に感心した。地下一階に並んだVR、AR

TOKYO2020で、ようやく放送と通信は融合したが・・・

※画像はテレビ画面上のTVerのオリンピックページより(肖像権著作権に配慮し、一部にぼかしをかけています) オリンピック真っ盛りの7月下旬、コロナ禍で家に閉じこもり、朝から晩まで各競技を観戦する人も多いだろう。筆者も、家での作業で一息ついたらテレビをつけ、夜は各種競技をザッピングしては「メダルの瞬間」を探し回っている。 この「瞬間の共有」こそがオリンピックを放送で見る醍醐味だと思う。筆者は正直、スポーツ観戦には興味が薄い方だが、それでもオリンピックのために時間を割くのは「

新しい時代〜山本英治氏寄稿〜

Introduction 山本英治氏からの寄稿。テレビとネットの間で仕事してきたベテランの視点で、「時代の変わり目」を語ってくれたもの。面白いので、じっくり読んでいただきたい。 書き手:毎日放送・山本英治 毎日放送の山本と申します。私は一旦定年退職して、今は再雇用のシニアスタッフとして働いているのですが、最近とみに「あ、自分はもう必要とされていないのだなあ」と感じることが多くなりました。 いや、年寄りのひがみや愚痴じゃないんです。もう我々の、と言うか、自分の役割は終わっ