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テレビとネットの横断業界誌 MediaBorder

放送と通信の融合をテーマに、取材した記事や論考記事をメディアコンサルタント境治が書いていきます。テレビ局の方を中心に、広告業界、ネットメディア、調査会社など様々な分野の皆さんにご… もっと読む
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#同時配信

2022年、放送と通信の垣根は崩壊した

MediaBorder購読者に回答をお願いした、2022年メディア界10大ニュース。投票とともに記述式でも回答してもらったら個々の文面がまた面白かった。そこで2022年最後の記事では、アンケートに書き込まれた皆さんのオピニオンを紹介したい。長くなるが、年末休暇の中で少しずつでも読んでもらえればと思う。 まずあらためて10大ニュースの選択肢を並べておこう。記事の便宜上、番号を投票の多い順に振っておく。 ABEMA、ワールドカップ全試合配信 Twitter買収、Meta(F

NHKと民放連、二人の会長が握手する日

進んでいるのかわからない総務省有識者会議 12月5日、突如NHKの次期会長が発表された。6日発表と聞いていたので不思議だった。さらにそのほんの数日前に東洋経済が「次期会長は元丸紅社長・朝田氏」とすっぱ抜いていたのに、正式発表されたのは元日銀の稲葉延雄氏だった。その裏を情報収集して回ったが、複数説が飛び交い真相を見極められていない。 それはともかく、NHKの新会長は稲葉氏と決まった。来年1月に就任することになる。 NHKについては総務省の有識者会議「デジタル時代における放送制

読者が選ぶ、2022年MediaBorder的10大ニュース

2022年も押し詰まってきた。振り返ると今年は大きなターニングポイントだった気がする。国際社会ではロシアによるウクライナ侵攻が世界を新しい方向に追い立てた。メディアの世界でもこれまでの変化がさらに進むと同時に、これまでとは違う変化も始まったように思う。特に感じたのは、この20年ほど旧来メディアを新興のネットメディアが攻めていたのが、そのネットメディアの側にも困難が押し寄せてきたことだ。もはやネットが革新の側でもなく、メディア全体が一斉に瓦解しかねない状況と言える。 そんな中

SSKセミナー「メディア戦略2022」10月28日開催!

MediaBorder運営人、境治は毎年SSK(新社会システム研究所)の依頼で在京キー局のキーマン5名が一同に会する「メディア戦略セミナー」をコーディネートしてきた。今年も10月28日(金)15時から開催する。オンラインのみでの開催だが、その分、全国から参加してもらいやすいだろう。 「メディア戦略セミナー」は、2016年からタイトルの通り、テレビ局の「メディア戦略」をテーマにしてきた。在京キー局はホールディングス体制に入り、BS、CSそしてインターネットをどう使いこなし、使

同時配信のあるべき姿が見えてきた〜6/21ウェビナー「同時配信の議論を決着させる」のポイント

6月21日にウェビナー「同時配信の議論を決着させる〜メディアのグランドデザイン会議第二回〜」を開催し、80名を超える参加者が集まり盛況となった。ここで議論のすべてをレポートするわけにもいかないので、私としてポイントだと思う箇所について記事にしたい。 登壇したのは、以下の方々だった。 電通メディアイノベーションラボ:奥律哉氏 ワイズ・メディア:塚本幹夫氏 青山学院大学 教授:内山隆氏 noteプロデューサー/ブロガー:徳力基彦氏 なぜ同時配信をやるべきか?若者の映像視聴の

【急告】6/16 17:00より、ウェビナーに向けプレ・ライブ配信を開催

6月21日に開催予定のウェビナー「同時配信の議論を決着させる〜メディアのグランドデザイン会議第二回〜」。 当日を前に告知のためのプレ・ライブ配信を6月16日(木)17時よりお送りする。ウェビナーで登壇いただく電通・奥律哉氏とワイズメディア・塚本幹夫氏にお願いし、同時配信について雑談的に話していただくものだ。 事前に知っておくと良い同時配信の知識や、これまでの議論の概要などをお話しいただく予定。だがシナリオを詰めているわけではないので、思わぬ脱線や知られざる裏話なども出て来る

ウェビナー「同時配信の議論を決着させる」6月21日(火)開催

MediaBorderでは6月21日(火)17時より、ウェビナー「同時配信の議論を決着させる〜メディアのグランドデザイン会議第二回〜」を開催する。 4月に行った「メディアのグランド会議・第一回」の続きとして同時配信を取り上げ、何かと誤解曲解が多く不思議と放送業界の人々が感情的に語るこの議論を「決着させる」べく議論を進行したい。 詳しくはPeatixの申し込みページをご覧ください。 また本誌購読者の皆さんには今回も割引料金を設定している。以下に示す割引コードを申し込み時に入力

ローカルだって同時配信!KBCが朝の情報番組を毎日ネットで生配信しはじめた

ローカル番組「アサデス。KBC」が毎日同時配信KBC九州朝日放送は福岡県のローカル局で、MediaBorderでは和氣靖社長が打ち出した理念と、その具現化である「ふるさとWish」について何度か取材してきた。私自身が福岡出身であることもあり、その地域に根ざした活動には注目している。 そのKBCが今度は、同時配信に取り組み始めた。「アサデス。KBC」という朝6:00-8:00の看板番組で、ローカル局が月金で毎日情報番組を放送している時点で大変なことだと思うが、これを放送と同時に

次は「ネットのテレビはバラバラでいいのか問題」

同時配信を号令に、テレビ局の新しい取組み続々TVerでのキー局揃っての同時配信が始まった今月、テレビ局による様々な新しい取組みが続々スタートしている。 TBSが本日始動させたニュースサイト「TBS NEWS DIG」は大きな動きとして注目だ。 これはMediaBorderで昨年取材したフジネットワークのFNNプライムオンラインのJNN版だ。TBSの人は嫌がるかもしれないが、これがいちばんわかりやすい説明だと思う。 FNNプライムオンラインと同様、JNN系列のテレビ局が配信

同時配信は新しいテレビのゴールではなく、はじめの一歩にすぎない

「開明派」の念願がようやく成就昨日、4月11日夜からテレビ放送の同時配信がTVerで民放キー局が揃ってスタートした。ご存知の通り、日本テレビは昨年秋から先行していたのだが、やはり5局が勢揃いした状態には強いパワーを感じた。 特に画面をスワイプすると次々に他局に移ってザッピングできるのは非常に感動した。テレビ放送とはザッピングなのだなとあらためて認識した気がする。もっとも、スマホを横位置にした時にザッピングするにはワンタップする必要があるのはちょっともどかしく残念にも思った。

ローカル局が同時配信やってみた!〜ミヤギテレビ、夕方ワイド「311特集」での試み〜

この4月からキー局の同時配信が出揃う。そうなると次に気になるのは、ローカル局がどうするかだ。ほとんどの局が16時前後から「夕方ワイド」と呼ばれる地域の情報番組を放送している。通勤通学の時間帯と重なり、帰宅途中に電車の中などで番組の同時配信を見ることができたら便利だろう。実はプライムタイムより夕方ワイドの方が同時配信のニーズが高いのではと筆者は考えている。だがローカル局のそういう動きは伝わってこない。 と、思っていたら「動き」が出てきた。日本テレビ系列のミヤギテレビがこの3月1

「テレビ離れ」という厄介な発想

Introduction 半年ぶりの山本英治氏の寄稿。業界で流通している言葉にはユーザー目線に欠けているものが多い。「テレビ離れ」もその一つではないか、というお話だ。 インターネットと連携した形で展開する自社のスペシャル番組のリリース文を読んでいたら、「テレビ離れが進む若者に訴求するため」と書いてあって、少々げっそりした。 どうしてこんなことを書くんだろう?  こんなことを書くと、逆にテレビ離れしてしまった若者たちには最初から見透かされて、全く観てもらえないんじゃない

2022年、メディアのグランドデザインをつくろう

小さな議論より大きな議論をすべき時例えば、テレビ放送の同時配信。やるべきなのか、どうなのか。NHKの同時配信がすでに始まり、民放でもキー局が春までに出揃うこの段階になってもまだ議論が落ち着いていないのはどういうことでしょう。同時配信を同時配信だけで議論しているからだと思うのです。 同時配信にニーズはあるのか、ビジネスになるのか、ローカル局はいらなくなるのか。それらを同時配信だけで議論していても答えは出てきません。同時配信がある一方で、ネットでテレビ番組をどう視聴してもらい、地

2021年、テレビとネットのBorderで起きた10の出来事(前編)

主に放送と通信の”Border”で起こっていることを考えるMediaBorder。その視点で2021年を10の切り口で振り返ってみたい。いわゆる一年の10大ニュースだ。 1:メディアは「+」へ(劇場+配信、放送+配信)2021年は2020年に始まったことが今後定着するとはっきりした年だ。メディアの世界では「+」に集約できる。2位以下に挙げるのもほとんどが「+」の話だとも言える。