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テレビとネットの横断業界誌 MediaBorder

放送と通信の融合をテーマに、取材した記事や論考記事をメディアコンサルタント境治が書いていきます。テレビ局の方を中心に、広告業界、ネットメディア、調査会社など様々な分野の皆さんにご…
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2022年10月の記事一覧

ここ数年、テレビ局の視聴率も収益も乱高下しているのを、知っておいた方がいい

このところ、テレビ業界やテレビ番組についての記事を見かけると強い違和感を感じることが多い。先日も「ちむどんどん」が「2010年以来視聴率ワースト1」との記事への違和感について書いたが、その後も例えば、「夏ドラマは不作で視聴率2桁のものが1つしかなかった」のような記事を見かける。いまだにコロナ前の感覚で番組について語っているようだ。令和に入り、コロナの影響でテレビ業界は状況にむちゃくちゃに振り回されている。視聴率も収益も乱高下しているので、これまでの感覚で捉える意味がなくなって

広告型Netflixがテレビ広告市場を丸々奪うのはちょっと無理(それよりCTV市場の顕在化に意義がある)

大袈裟な受け止め方が多いNetflix広告プランNetflixが11月から広告型プランを開始すると一部で話題になっている。話題になってもいいし、いろんな人の意見を聞きたくもあるが、あまりにも大袈裟に受け止める呆れた人もいる。この記事は中でも度を超えていると思った。 広告型Netflixは790円の利用料に加えて広告収入も得るサービスなのは確かにそうだ。ただそれをあまりにも巨額に見積もっている。現状の日本で、動画配信市場は5305億円だと情報通信白書に載っているのは確かだ。だ

映画「裸のムラ」は3つの題材をどう組み立てたか、監督本人に聞いてみた

関係があるようなないような3つの題材映画「裸のムラ」は「はりぼて」の共同監督の一人だった五百旗頭幸男氏が監督したドキュメンタリー映画だ。「はりぼて」は富山市議会議員たちの不正を暴く作品だった。だがその続きとして「裸のムラ」を見るとピンと来ないかもしれない。石川県政が描かれるものの、中心に描かれる当時の谷本知事の「不正を暴く」映画ではないからだ。 だが私の視点では、2つの映画は繋がっている。テレビ局が作るドキュメンタリーの定型に挑んでいる点は共通なのだ。そして「裸のムラ」も告

世帯視聴率の発表には、もはや意味がない

「ちむどんどん」のワースト1はテレビ全体の視聴率ダウンの流れ先週終了した朝ドラ「ちむどんどん」の半年間の平均視聴率が昨日発表された。それを受けてスポーツ紙を中心にこんな記事が数多く出てきた。 「ちむどんどん」最終回16・7% 4作連続大台届かず 期間平均15・8%は10年以降最低 最後も疑問 という見出しだったのがヤフトピでは「4作連続大台届かず」が省かれ、「10年以降最低」という見出しになる。 「10年以降最低」は事実だが、「4作連続大台届かず」が省かれると「ちむどん