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テレビとネットの横断業界誌 MediaBorder

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2021年8月の記事一覧

「ローカルにもっと伝える力を」と掲げるKBCの新事業会社、Glocal K

「ふるさとWish」の精神を放送を超えて具現化するGlocal K福岡のテレビ朝日系列放送局、KBC九州朝日放送についてはMediaBorderで何度か記事にしてきた。 2018年に取材した「朝倉Wish」は、その一年前に大きな水害に見舞われた朝倉市にKBCのクルーが滞在し、一週間そこから番組を放送する企画。KBCはこの考え方を拡張し、県内60市町村の一つの自治体から週ごとに番組を放送する「ふるさとWish」を翌年からスタート。すでに2周目を終えて3周目に入っている。 上

キー局が同時配信を始めたらローカル局はおしまいなのか?

遅くとも来年1月には全キー局の同時配信が出揃う昨日届いた映像新聞の一面トップでキー局の同時配信開始が報じられていた。昨年、日本テレビが単独で同時配信の実験を行い、今年の秋にはキー局が並んでスタートするのだと囁かれていた。だが映像新聞の見出しには「10月から順次開始」とある。 「10月に一斉に始める」との噂だったのだが、簡単には足並みが揃わなかったようだ。映像新聞によると日本テレビは当初言われていた通り10月に開始するが、他の局は"順次続く"という。さらにこう書かれている。

ネトフリジャパン批判に乗っかって、5年前の愚痴を書いてしまう

数日前、noteでこんな記事を見かけた。 ほほお、と思った。Netflixは好きだけど日本支社の人たちはプロモーションが良くない、とざっくり言うとそんな内容だ。「ネトフリジャパン」という言い方も一部に定着していて、Netflixのサービスと分けて批判するちょっとした潮流もある様子。おおむね賛同だ。 そして思い出したことがある。私も5年前に”ネトフリジャパン”に感じ悪い仕打ちを受けたのだ。それもやはりプロモーションがうまくいってないんじゃないか、というところが発端。もう時効

何をしたいテレビ番組なのか、何をしたいテレビ局なのかが、これから問われる

※トップ画像は8月15日放送TBS「サンデーモーニング」のキャプチャー画面。肖像権に配慮しぼかし処理をしています。 TBS「サンモニ」の謝罪に対する驚き8月15日放送のTBS「サンデーモーニング」を見たらびっくりした。ご存知の通り、前の週の放送でレギュラー出演者の張本勲氏の女子ボクシングについての発言が問題になっていた。日本ボクシング連盟から抗議があり、TBSが書面で回答していた。 これを受けて番組の中でどう謝罪するかが気になり、久しぶりにチャンネルを合わせたのだ。あれだ

民放キー局決算から、見えつつある?勝ち組負け組

2021年度第1四半期の民放キー局各局の決算が出揃った。MediaBorderとしては例によって、決算資料からグループ全体ではなく局単独の数値、なかでも「放送収入」に絞って分析していく。それが「放送局」の現状を示すと考えるからだ。 ちなみに2020年度決算が出た際の記事(5月17日付)はこちらだ。 コロナ禍で軒並み放送収入が大きく下がった前年度から一転、今年度第1四半期は前年対比でプラスとなった。それを示すのが冒頭の表だ。日本テレビとフジテレビのタイム収入が下がったこと以

テレビ報道は新しい文法を探せ

大越健介氏の民放移籍にメディアが沸く不思議「ニュースウォッチ9」で5年間キャスターを務めた大越健介氏が、NHKを退職した数日後にテレビ朝日が「報道ステーション」のキャスターに就任することが発表され、メディアが沸いた。週刊現代はこんな記事を書き、現代ビジネスで公開している。 この報に、いつも芸能ネタを書くスポーツ紙でさえ、硬派な報ステが復活すると喜んでいるように思える。そんな空気に私は引いてしまった。そこまで大騒ぎすることなの? 大越氏の民放キャスター就任に沸くのは「報道」