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【高配当銘柄】キリンホールディングスの業績と展望

事業内容

 日本人にはなじみ深い飲料水メーカーである。ビールなどのアルコール飲料から清涼飲料水まで、幅広く手掛けている。
 また、医薬分野にも力を入れており、下のグラフに示す通り、セグメント別では医薬は国内ビール・スピリッツを超えて最も大きな利益をあげている。

業績評価

1) 一株あたり純利益 (EPS)

 直近10年間のEPSは安定しておらず、2015年は赤字であった。安定配当銘柄を目指すにはやや心もとない業績である。配当金額次第ではあるが、黒字の期間が多く、10年間のEPSを平均して100円以内の配当金は出せるのかもしれない。

2) 一株あたり純資産 (BPS)

 続いてBPSだが、おおむね横ばいといっていい。利益の多くを株主還元に費やしたり、特損をだすことで資産規模が成長していないと考えられる。

3) 自己資本利益率 (ROE)

 ROEもEPSと同様に不安定である。直近10年間を平均して9%以上あるので、収益力は問題なくあるのであろう。

配当金の推移

 配当金は右肩上がりとなっている。ここ10年間で減配は一度もない。本銘柄は累進配当を宣言しているわけではないようだが、安定的な配当を意識されているものと思われる。2022年12月期の決算発表において、「配当性向40%以上により配当を安定的かつ継続的に実施する」とされているが、2022年の配当性向は51%となっている。今後も安定して配当を出し続けるためには、収益力の向上や利益成長が必要である。

まとめ

 2023年2月現在の株価は2,000円前後であり、2023年12月期の予想配当金は69円とされていることから、配当利回りは約3.5%である。配当利回りは平均的な水準であるが、少なくとも過去10年間は安定した配当金を出している。配当金の原資となる利益も今のところ十分確保できている。
 また、配当金以外にも株主優待として自社飲料(ビールなどのアルコール飲料、清涼飲料水などから選択)を贈呈しており、このようなものに興味があればより魅力的な銘柄といえる。
 一方で収益が安定しておらず、2015年は赤字であった。大きな減益や赤字となった場合に、配当金が維持できなくなる可能性もあるため、配当金だけでなくEPSなどの利益も毎年チェックしていく必要がある。
 どうしても減益などの際に心配になるようであれば、ポートフォリオの構成比率を低めにするなど、分散投資して安全を確保するなどの工夫をするべきである。


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