声と作品
私は演劇が好きで、今まで様々な劇団の様々な作品を観て、そしてふと思ったのだ。
野田秀樹の声が、仲代達矢のような声でなくてよかった、と。
もちろん逆もそうなんですよ。
両・演劇人のお声をご存じない方にはなんのこっちゃいという話、
でもね、きっと聞いたらすぐわかるから、どこかで聴いてみてください。
すでにご存知の方にはわかってもらえるだろうか、
野田秀樹の声が、仲代達矢のような声でなくてよかった、という気持ち。
『エッグ』の冒頭、野田秀樹演じる劇場案内係の最初の台詞
「女学生のみなさん、こんこん、こんにちは。」
あのなんていうのか独特の高めで、遠くから聞こえる声と近くから聞こえる声が同時に発せられているような、そしてハスキー。
そういうのをうわずっているというのか?
何というか、誤解を招きたくはないのだが、あの軽妙な、そして早口でまくしたてる感じがシンバルモンキー感のある、見た目っていうか勢いがあるあの、ええ、ともかくそんな野田さんの声が仲代さんだったら…。
「女学生のみなさん、こんこん、こんにちは。」
ベルベットな哀愁漂うお声に、
今から何の劇みるんだっけ、『リチャード3世』だったかな、と思ってしまいそうだ。
オチはないです。
あーよかった、神様ありがとうと思ったという話。
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