ビジネス・ドリブン・アクションラーニング
こんにちは、秋山です。
今日は論文読んでみたシリーズ、アクションラーニングです。
ビジネス・ドリブン・アクションラーニング(BDAL)の権威である、Yury Boshykが作成したサマリーペーパーを読んでみました。
3行サマリー
BDALには、ビジネスチャレンジと個人の成長という2大テーマがある
ビジネスチャンステーマを検討する際には、真正性があることと、なぜをれを取り上げたのかトップの説明が重要である
多くの組織ですでに成果を上げている手法なのでROIを検討する必要なく導入して良い
BDALとは何か
BDALは、以下の要素を含む実践的な学習方法である
6人以下のグループで構成される
組織やチームの現実にある問題を取り扱う(BCs)
プロフェッショナル、リーダーとしての個人的なジレンマを取り扱う(PCs)
相互扶助があること
エンパワメント(権限移譲)があること
質問的な探究を行うこと
内省を促す機会がある
BDALを成立させるために必要なこと
BDALを最適化するには、以下の7つの要素が必要不可欠である。
トップの積極的なコミットメント
参加者に目的や期待値を伝える
組織課題を出す
担当業務とのバランスの調整など
情報の収集と知識の共有
ウェブサイトや共同ツールを使い、効果的に学習を進めること
docやmiro、ミーティングツールなど
ステークホルダーとのリレーションシップ
課題解決に詳しい、興味がある人と積極的に繋がり、組織変革をスムーズに起こすこと
個人の人材育成
コーチング、リフレクションなどを活用し、個人が自己認識をたかめ行動変容につながるような支援・推奨
ビジネス上の問題を解決するチームと、個人的ジレンマを解消するサブチームの存在
ビジネス上の問題について闊達に議論できるチームと、それとは別で自分のリーダーシップや個人的問題について語ることができる別のチームが必要
外部視点を取り入れた対話と討論
ビジネス問題に関しては、顧客やオピニオンリーダー、ステークホルダーなど組織外の人を巻き込んだ議論を通じて情報収集すること
自分の個人的問題については、チーム外や組織外の人に客観的フィードバックをもらうことが必要
経営課題に対する提言ができる機会と、それに対する評価、個人の成長に対する評価
トップは提言にたいして、どう受け入れてどう反応するのか
個人のリーダーシップ開発について、プログラム後は何がおこなわれるのか、続くのか
プログラムの結果を、どう評価に反映するのか
ビジネスチャレンジ(テーマ)をつくる
BDALの中核はなんといっても、ビジネスチャレンジです。これは、明確な解決策がなく、トップエグゼクティブでも頭を悩ませるテーマであることが重要です。
これらの問題は、明確化・探究・分析・決断を必要とするジレンマ的形をおびていることがほとんどです。そのなかで、チームとして進むべき方向を戦略的で大胆に提案する必要があります。
いくつかのBCの例を挙げてみます。
自社において、新興市場で飛躍的に成長するためにはどういった機会があるか?
自社において、成熟市場の中で成長を加速するにはどういった方法が考えられるか?
将来の重要トレンドは何か?
そのトレンドに、どうやったら一番乗りできるか?
どうすればイノベーションを促進できるのか?
戦略的かつ持続可能な成長をするために検討すべき事項はなにか?
10億ドルのサービスを開発するには?
もし市場シェアの低い競争他社が勢いを伸ばしてきたら、どうするか?
これらのビジネスチャレンジは、ビジネス・チャレンジ・ステートメントと名して、チャレンジがチャレンジであるが故の詳細や、期待する具体的アウトプットが記されています。また参加者はステートメントを見て、さらにエグゼクティブたちに追加で質問することを強く推奨されているのも特徴です。
このように、緻密に計算されたバランスの良い問い・テーマを掲げることで、参加者のスキルを上げる良いチャレンジアサインメントを開発していくことが重要になります。
個人課題の特定
BDALのもう一つの大きなテーマは、個人能力の開発です。自分自身をより良く理解し、リーダーシップと問題解決スキルを開発することを促すことを期待されます。
個人的問題は、日々のジレンマや、問題、一件解決できないこととして現れます。例えば、リーダーシップやマネジメントに関する問題です。例えば、権威を使わずに人を導いたり、よりすくない労力でチームを動かしたり、チームのモチベーションを引き出したり、難しい場面でチームを鼓舞したりなどです。
個人的な問題は、アクションラーニングの「sets」の中で取り扱われます。日本語でいう、質問会議です。いかに、setsの中で実際につかわれる質問を例示してみます。
自分のリーダーシップやリーダーシップ課題について、ストーリー形式で説明してみましょう
どのメンバーも30-60minが持ち時間です
チームのメンバーは、オープンクエスチョンで尋ねます
リーダーシップ課題を解決するためのアクションをチームに宣言しましょう
チームに、アクションの実行状況を報告する
BDALがうまくいかない理由
経営幹部による明確性の欠如
経営幹部と参加者の双方によるビジネスチャレンジと期待される「成果物」に関する参加者との整合性の欠如
ビジネスチャレンジにふさわしくない参加者
通常、若すぎたり、経験が浅すぎたり、間違った理由(場合によっては、以前の業績や勤続年数に対する報酬として)で選ばれたりする
問題や課題を解決するために必要なビジネスセンスを欠いていた。
ビジネスチャレンジに取り組むチームが機能不全に陥っており、意見が一致せず、協 力することができなかった。
ビジネスチャレンジについて本音を言う勇気がないチーム
そのため、提言に深みと明確さがなかった。
プレゼンテーションの説得力に欠けていた。
BDALの成功要因と教訓
正しい組織文化
トップのコミットメント
トップが「学習なくして行動なし、行動なくして学習なし」を理解している
行動と学習のバランスがとれていることが、大切だということをトップが理解し、スポンサードしれくれる
プログラムの設計者の質
トップと柔軟なコミュニケーションがとれ、建設的かつ挑戦的な立場で、役割やプロセスを調整することができる
全社の理解
プログラムへの理解、問題解決のためのサポートを惜しまない
情報の取得と知識の共有
コミュニケーションツールを最大限活用し、シームレスに情報交換できる環境が必要
BDALは単なる研修プログラムではない
ビジネス上の課題の解決と、個人の育成を兼ね備えた強力なツールである
そのために、会社がサポートを惜しまないことが必要不可欠です
BDALには時間がかかる
導入までに半年、プログラム完了までには二年が必要だと心得ること
失敗は大いなる学習機会である
プログラム設計者やトップは、失敗の可能性を事前に受け止めておくことが必要です
プログラムの失敗成功ではなく、その先の参加者の成功をゴールに置く必要があります
プログラムのROIを検討する必要がない
多くの組織で成功した結果があるので、ROIを検討することなく導入ができるメリットがある
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