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アクションラーニングを通じたプロジェクト人材育成の研究

こんちは、秋山です。
今日も論文読んでみたシリーズ。アクションラーニング(AL)についてです。プロジェクトマネジメント学会で発表された、質問会議の論文です。

アクションラーニングを通じたプロジェクト人材育成の研究
プロジェクトマネジメント学会 2009年
種村 秀和、 木 野 泰伸

3行サマリー

  • 筑波大学大学院で経験した質問会議を、在籍中の企業で五回にわかって実践した結果をまとめた論文

  • 結果、チャレンジ行動に変化はみられなかったが、傾聴力、質問力、内省力、行動力、チームで考える力をつける良い訓練になった

  • AL会議の中で「会議の雰囲気はどうか?自由に質問できるているか?」を尋ねることで、議論がオープンかつ平等にしようとする力が働き、関係性の質が上がった

組織でアクションラーニングを取り入れた背景

筆者が所属する組織では、プロジェクト型の人材が求められている。しかし、過去評価されてきたプロジェクト型人材は、語学や専門知識にはすぐレスが、プロジェクトマネジメントやリーダーシップには苦手意識を持つ人が多かった。

また筆者は筑波大学大学院に在籍中にALを体験したことがあった。成人教区の分野では、成人は新しい知識をインプットするよりも経験から学ぶ特徴があることを知り、ALが効果的だと判断。研修プログラムに取り入れることで、チャレンジ性をもった人材への変容を促す場作りを目的にプログラムを設計した。

ALを実践してみた

筆者は、有志のメンバー合計15名でプログラムを実施した。2年目社員が7名、7年目以上が3名、10年目以上が5名であった。全員ボトムアップで、勉強会等に興味を持ちやすい人が集まった。

プログラムは、ノー残業デーの夕方に実施。5回行われた。具体的な内容の一部を抜粋してみる。

結果と考察

5回を通じた成果は以下の通りであった。

チームで問題を深めることができた。本質的な問題に気がつき、行動が変わった。チームにポジティブな雰囲気が形成された。など、チームでの協業に問題を抱える組織が実現したいことが、質問会議を通じて成功している。一方で、明確なチャレンジ性の醸成には至っていない。

ALでは、他者からの質問に対する自分の回答によって、自分の思考のフレームワークが壊れ、再構築されると言われている。また、参加者同士の関係性の質が向上していた。これは意見を言い合う通常の会議では、困難である。

個人的感想

質問会議の実際の効果について、AL協会以外の第三者が客観的に述べている文章は過去見たことがなかったので、とても新鮮だった。やはり、ALを実施して第一に起こる変化としては、関係の質の向上、自分の考えの囚われに気がつく、問題提示社の行動の促進、傾聴力の向上、質問力の向上が見られることがわかった。これらは、一人ではなく複数人で働く上で絶対不可欠な要素なので、それをまとめて形成できる質問会議は、やはりパワフルな手法だなと感じた。

先日クライアントと質問会議を実践してみた際は、以下のようなコメントが上がった。
・質問だけで会議が成立するなんて、新鮮だった!
・他の人の質問をきくことで、自分の考えの囚われに気がついた
・部下にも質問会議形式で、対話することで、本人の中からアクションが出てくるかもしれない

質問会議の本質に気がついている、素晴らしいコメントばかりだった。
これを続けていくことで、今起きている問題を「会社がどうにかしてくれる」と他責になるのではなく、問題を真ん中におき、自分もその問題に少なからず影響をもたらしているのかもしれないと自覚的になってくれる時期もそう遠くないと希望を感じた。

3/7,8にはALの研修がある。そこまでに何度か実践して、より研修での学びを最大化したいなと思う。たのしみ!

以上!

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