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メタバース観光の現在地と問題点<普及するために必要なものとは?>

記事担当のフォンです。

今回は「メタバース×観光」という視点から、お話しをしたいと思います。

国内外問わず、観光産業とメタバースの関わりが加速しています。

背景には、VRなどの技術革新もあるでしょうし、コロナの影響もあるでしょう。

「行きたいところに、行けない...」

でもバーチャル空間なら、素晴らしい観光地を訪れることができる。

現実だけでなく、メタバースでも観光地を用意できるとなると、観光産業だけでなく、地方創生という視点からも注目は高まりますよね。

デジタル観光客を集客できれば、ビジネス展開の幅も広がるからです。

では、現在のメタバース観光の状況は、どういったものでしょう?

そして、問題点と普及していくためには、何が必要なのでしょうか?

ぜひ、最後までお付き合いください。

メタバース観光の現在地

2022年8月時点でのメタバース観光の様子を見てみましょう。

「観光」というカテゴリーもまだ曖昧ですが、「観光地に訪れて楽しむ」という視点でまとめてみました。

バーチャル修学旅行360

画像:JTB『リアル×VR 新感覚体験プログラム「バーチャル修学旅行360」』より

旅行会社のJTBは、『リアル×VR 新感覚体験プログラム「バーチャル修学旅行360」』という商品を扱っています。

コロナ対策から生まれたコンセプトで、修学旅行に特化した内容に。

学生たちは、360度VR映像から修学旅行先を体験できるというもの。

またオンラインで、旅先の観光スタッフと交流もできる仕組みも含まれています。

バーチャル秋葉原

画像:僕が実際に訪れた様子

大日本印刷株式会社とAKIBA観光協議会が企画した「バーチャル秋葉原」は、コロナ禍で減少する観光客の呼び戻しと、クリエイターの創作活動の場として誕生しました。

煌めいた夜の秋葉原に、クリエイターの作品が展示され、外部リンクに接続されたマーケットで購入することもできます。

ジャンプで飛び移って行く空中のステップやコイン集めなど、滞在時間を長くし、遊んで貰う工夫がされていました。

バーチャルOKINAWA

画像:僕が実際に訪れた様子

バーチャルOKINAWAも、コロナ禍で観光客が減少した沖縄を盛り上げるために企画されました。

注目は、焼失した首里城をバーチャルで再現している点。

各スポットに行くと、観光地さながらの解説を見ることができ、コンセプトがよくまとまった印象でした。

Meta Quest 2

VRヘッドセット・Meta Quest 2を装着し、VRゲームとして購入できる観光体験があります。

「OtherSight」は、フォトグラメトリという、写真データから3Dモデルに変換する技術で世界を再現しています。

画像:「OtherSight」より

超リアルな東京の路地裏や海外の観光地を、一部歩き回ることができ、今後も場所が増えていくそうです。

「Teleport Scotland」は、スコットランドの観光地に特化したもので、地図上から好きなスポットに飛べます。

画像:「Teleport Scotland」より

アプリ上に制作された人の配置や動きも、本物さながらで、観光客に混ざって現地を訪れている感覚に。

「BRINK Traveler」の特徴は、大自然に特化した観光ゲームアプリということ。

画像:「BRINK Traveler」より

町やお城ではなく、海外の国立公園やキャニオンを訪れ、絶景を楽しむことができます。

写真を撮って集めたり、現地の自然や地形の解説も日本語で知ることができる、人気コンテンツです。

あくまでも観光ゲームの域ですが、クオリティーは高い。

メタバース観光の問題点

メタバース観光の事例をいくつか紹介しましたが、そこから見えてきた問題点があります。

3つに分けてまとめてみました。

1:観光っぽい体験

今の技術では仕方がないのですが、「メタバース観光にしては、頑張ってるよね」という内容で止まっているのが率直な感想です。

やはり、観光というには、バーチャル空間の表現がワンパターンな気がしてます。

すぐに飽きやすい。

VRを除けば、建物や地形もまだまだ微妙です。

VR系の観光ゲームも、自由度はそこまで高くない。

これが、ただのゲームであればなんとか成立しますが、観光体験・産業と呼ぶには、ちょっと寂しい。

観光体験と、「観光っぽい体験」は似て非なるもの。

2:イベント当日しか集まらない

※実際の様子、バーチャルOKINAWA。他に誰もいなかった・・

メタバースの特徴の1つが「同時アクセスで、色んな人と繋がれ、交流ができる」というものがあります。

メタバース観光であっても、実際の観光地のように人々が散策し、人の気配を感じられると、よりリアルに近づくと思います。

しかし、実際はメタバース観光地のオープンイベントでは集客できても、その後は閑散としています。

※Clusterのバーチャル大阪へ行っても、誰もいない・・。

今回、実際に訪れた全ての場所で、僕以外誰もいませんでした。

観光地というには、とても寂しいものがあり、現時点での限界も感じます。

逆に作り込む必要の無い、VRでの大自然ツアーなどは、「世界同時アクセスで、色んな人と繋がれ、交流ができる」をそこまで意識せずにすみます。

大自然の中、一人静かに穏やかに過ごす...。

このコンテンツは、シンプルでいいですよね。

3:手段と目的があいまい

画像:「バーチャルOKINAWA」より引用

メタバース観光地をいろいろと訪れてみましたが、結局「何がしたいのだろう?」という感想を持ちました。

メタバース内で感動を提供し、完結したいのか?

リアル観光地への導線としたいのか?

その線引きが曖昧だと感じています。

「バーチャルOKINAWA」では、焼失した首里城を再び見れるという内容になっています。

メタバースで作る意味が感じられ、再び観光客を沖縄に呼びこむコンテンツとなっています。

なぜ、メタバースでないといけないのか?

ここはとても大事なポイントです。

メタバース観光が普及するために必要なものとは?

メタバース×観光が、今後普及していくためには、何が必要だと思いますか?

個人的には、急ピッチでメタバースを進めていきたい企業やプロジェクトに対して、一般人は、ついて行けていない印象。

普及とは、利用客も増え、メディアでも頻繁に取り上げられることを意味しますよね。

そのために、必要なこととは...?

まずは、メタバース観光をリアル観光に繋げる

メタバース観光地を作り、何をしたいのか?

そこに観光客を連れてきて、映像を見せて、何を発生させたいのか?

観光の真の価値とは、現地を訪れる体験と感動ですよね?

では、それに結びつく工夫が、メタバース観光にも必要ではないかと思います。

コロナの影響や個人の健康問題はあるにせよ、「やっぱり現地に行きたい!」と思わせたら、いいですね。

  • メタバースのお土産が、現地に行くと限定品で貰える

  • メタバースでスポット巡りをすると、現地の宿泊が無料になる

  • メタバースでツアーを行い、肝心のクライマックスは現地で行う

お城などをメタバースでツアーで見学。

でも最後の「開かずの間」だけは、入れない...。

メタバースお城ツアーに申し込んだ人だけが、実際のお城に行くと「開かずの間」の秘宝を間近で見学できる、など。

観光産業の一番の喜びは、観光客が現地に来ること。

それで潤う人も多い。

メタバース完結型の観光業よりも、現段階では、リアルの観光業との結びつきが重要な時期だと感じます。

大自然のコンテンツに特化する

メタバースの醍醐味は、現実ではあり得ない体験ができること。

企業や企画が張り切って、あれこれ作り上げたバーチャルコンテンツよりも、シンプルな大自然ツアーの方がウケると思います。

この領域は、VRが向いてます。

富士山山頂はなかなか行けないし、火山にも行けない。

エベレストにも行けないし、グランドキャニオンにも行けない。

でも、メタバースとVRではできるんです。

メタバースだからこそできる体験。

単純ですが、強いコンテンツです。

パッケージ商品にする

メタバースの観光地を1つに特化するのではなく、カテゴリーでまとめるアイデアもありです。

リアルの観光客なら「沖縄に行きたい」で、当然、沖縄を選びますよね?

でも、メタバースというコンテンツで初めから売るなら、観光地のパッケージ化でもいいと思います。

  • 南国ツアー(沖縄、ハワイ、グアム、サイパン)

  • オーロラツアー(グリーンランド、アラスカ、カナダ)

  • 遺跡ツアー(ピラミッド、マチュピチュ)

サブスクで好きなカテゴリーで動画を探すように、メタバース観光地も、その日の気分で選べるようになると便利。

日本人向けの商品を意識して、パッケージ化するのもあり。

高齢者向けにデバイスとセットで考える

画像:日経BP「高齢者の眠っていた能力をVR旅行で引き出す」より

高齢者向けのメタバースコンテンツは、今後増えていくと思います。

なぜなら、高齢者の特徴がメタバース観光の需要とマッチしているからです。

  • 健康問題で遠出できない

  • 人生で訪れてみたかった場所への想いが再燃

  • 若い頃の想い出

  • お金がある

  • 時間がある

足腰の不調や体力不足は、メタバースにはそこまで関係ありません。

操作方法によっては、座ってるだけでも可能ですし、冷暖房の効いたベッドの上で楽しむこともできます。

人生を振り返る時間も増え、若い頃の想い出や、昔の憧れも再燃しやすい。

デバイスの理解が難しい高齢者に向けて、メタバース観光とセットで分かりやすく販売すれば、需要も増えるかもしれません。

健康な高齢者だと、これがきっかけになり、現地へ旅行に出かけてくれるかもしれません

1社だけでもいいので成功例を出す

どこか1社だけでもいいので、そこそこの反響があれば業界全体の突破口になります。

その他の企業やプロジェクトも真似してくるからです。

現在は、メタバース観光の正解を、まだどの企業もつかみ切れていない様子。

1つのビジネスモデルが成功すれば、メタバース観光が普及していく起爆剤になり得ます。

メタバースプラットフォームの開発を含めて、どこが覇権を取るか、静観する勇気も必要な時期。

UI・UXに優れ、ウケのよいプラットフォームでコンテンツ開発に集中するのも、必要な判断です。

メタバース観光の現在地を知り、問題点を意識し、業界全体で普及させよう

今回のまとめです。

バーチャル〇〇というコンテンツが流行る中、持続型の観光コンテンツは皆無に等しく、まだまだ満足度の高いものにはなっていません。

  • 持続型の集客

  • 目的か手段か整える

  • 優れたプラットフォームを選択し、ユーザー目線で考える

やはり、メタバースだからこそ体験できる価値を提供しつつ、どれだけリアルの感動にも紐付けられるかが重要だと思います。

もし、メタバース100%だけで、リアルと同等の感動体験を作り出すなら、VRやデバイスのさらなる進化が必要でしょう。

メタバース観光は、エンタメ寄りのコンテンツにした方が、ウケやすい時期だと感じています。

つまり、デジタル観光客にも「自ら動き、関わって貰う」という仕組みがないと、楽しくないし、飽きられ、バーチャル空間からの離脱率が上がるからです。

ただ見るだけは、つまらない。

例えば、高齢者のメタバースのニーズとは、「行けなかった所に行ける」でしょうか?

違いますよね。

本当のニーズは「行けなかった所に行って、若かった頃のように、自ら自由に観光して歩き回りたい」ですよね?

昔のように、自由に楽しく歩き回れる体験(中身)を作る事が、本当の需要のはずです。

せっかく訪れても、「いるだけ」では永遠に満たされないでしょう。

今のメタバース観光は、立ち上がり時期で、開発側がさまよってる印象。

メタバースだろうが、リアルだろうが、観光客が満たしたい欲求は変わりません。

私たち、Osushi Voxel Studioでも、ボクセルで温泉街を制作しています。

ゲーム系メタバースプラットフォーム「The Sandbox」は、エンタメ要素の強い空間を作ることができます。

滞在率の高い世界を作り、現実との架け橋やビジネス展開に挑戦していきます。

このスタジオでも、社会に対して提供できる楽しいコンテンツを生み出していきますので、いつでもご相談ください。

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